著者
河野 銀子 小川 眞里子 財部 香枝 大濱 慶子 横山 美和
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

「女性研究者の実態と支援政策の国際比較研究」は、欧米やアジアの女性研究者の実態およびその支援政策の動向を比較検討することによって、日本の女性研究者の実態を国際的に位置づけ、科学・学術分野における女性の低参画率の背景を探ることを目的としている。具体的には、a) EU・米国・中国の女性研究者割合等に関する推移の統計的把握および、b) 各国や地域の女性研究者支援政策の系譜の作成、c) 女性研究者割合の増加を阻害する要因と具体的解決策の検討、d) 女性研究者増加の阻害要因と政策に関する理論的検討を行うものである。研究代表者・分担者・研究協力者(大坪久子・日本大学)が、国際ジャーナルへの掲載や国際会議での発表、科学技術社会論学会でのセッションの開催などを通して、研究成果を広く社会に還元しながら実施した。2年度目の平成29(2017)年度はすでに初年度に開始していた a)、 b)、c)、d)のそれぞれを掘り下げた。4調査における具体的な実施状況は下記の通りである。a) については、中国やEUのデータについて、入手可能なデータの整理をし、女性研究者数や割合の特徴を捉えた。 b) については、米国と中国で訪問調査を行い、女性研究者を増やすための政策がどのように始まり、どのような困難があり、その困難をどのように乗り越えたのか、など、量的調査ではとらえることができない実態や背景を把握するためのインタビュー調査を実施した。 c) については、国際比較を可能とするため、公表されている行政資料や国内外の報告書類を収集し、女性研究者支援政策の流れと具体的内容の整理に着手した。また、オーラルヒストリー分析も開始した。 d) については、前年度に行った「パイプラインセオリー」に関するシステマティック・レビューをベースに、特に理論の限界等についてジェンダーサミット10で発表した。