著者
小川 眞里子
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.3_28-3_35, 2010-03-01 (Released:2010-10-25)
参考文献数
9
被引用文献数
1
著者
小川 眞里子
出版者
三重大学人文学部文化学科
雑誌
人文論叢 : 三重大学人文学部文化学科研究紀要 (ISSN:02897253)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.147-162, 2012-03-30

欧州連合(EU)の女性研究者政策は、2000年に出版された『ETANレポート』と『Helsinkiレポート』から本格化し、10年余が経過した。この間の組織上の大きな変化は、2004年から加盟国が15から25カ国になったことである。旧共産圏で比較的男女の格差が少ない新参加国と従来の15カ国とでは、女性研究者を取り巻く環境に大きな違いがあって一律の評価は難しい。最初の2つのレポートは欧州の政策の2方向を象徴するもので、一方で雇用や研究助成金の平等性と人事や査読過程の透明性が求められてきたし、他方で徹底した性別統計の集積による現状分析が追求されてきた。『ETANレポート』の継承発展はMappingthemazeやThegenderchallengeinresearchfundingで行われ、『Helsinkiレポート』の後継報告書は、Benchmarkingpolicymeasuresforgenderequalityinscienceであり、数値に特化したデータ集SheFiguresもユニークだ。産業界で活躍する女性研究者(WIR)の現状を把握し、民間部門での女性の活躍拡大に向けた政策展開も注目される。さらなる注目は、25カ国体制移行にともないETANに呼応して旧共産圏の国々でENWISEが結成されたことである。10年の政策を振り返って、Stocktaking10yearsof・WomeninScience・policybytheEC1999-2009(2010)が出版され、めざすべきはEU全体でジェンダーの構造的変化を起こすことであるとしている。
著者
三成 美保 姫岡 とし子 小浜 正子 井野瀬 久美恵 久留島 典子 桜井 万里子 小川 眞里子 香川 檀 羽場 久美子 荻野 美穂 富永 智津子 桃木 至朗 成田 龍一
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の主な成果は、以下の3つである。①三成・姫岡・小浜編『歴史を読み替えるージェンダーから見た世界史』2014年と長野・久留島・長編『歴史を読み替えるージェンダーから見た日本史』2015年の刊行。②前者(『読み替える(世界史編)』)の合評会を兼ねた公開シンポジウムの開催(2014年7月)。③科研費共同研究会(比較ジェンダー史研究会)独自のウェブサイト(http://ch-gender.jp/wp/)の開設。このウェブサイトは、『読み替える』の情報を補足すること及びジェンダー史WEB事典として活用されることをめざしている。また、高校教科書の書き換え案も提示している。
著者
小川 眞里子
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.43-52, 2021-05-20 (Released:2022-05-21)
参考文献数
17

筆者自身のテーマについては,特集に先立って2020年3月に短い報告を『GRL Studies』に発表しているので,関係図表はそちらに譲り,本稿では出来るだけ重複を避け新しい情報を盛り込むよう努めた.戦前に女性博士は100名以上誕生し,その8割以上は医学博士であった.彼女たちに正規の大学教育は開かれておらず,医学部や工学部が女性に門戸を開くのは戦後のことである.戦前において科学を学び研究を志す女性を救ったのは,1917年創立の理化学研究所であった.戦後,新制大学が開かれ建前上女性はどの学問を志すこともできるようになった.しかし,日本初の女性工学博士の誕生は1957年であり,STEMM分野への女性の進出は依然として少ない状況であった.女性の専攻分野に多様性が出てきたのは,1986年の男女雇用機会均等法が施行されてからである.今日,日本のみならず,世界的にSTEMM分野の人材の多様性が求められ,女性の参入が期待されてはいるが,他の先進国に比べ日本は大きく後れを取っている.九州大学をはじめ女性枠採用教員の活躍は,ダイバーシティ推進に向けた大きな一歩と言えよう.
著者
小川 眞里子
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.66-70, 1993-07-20 (Released:2017-04-27)

「なぜ生物は死ぬのか」という問いには、二つの局面がある。一つは老化や死の原因を問うもので、二つめは、生物が死ぬべく運命づけられている理由を問うものである。本論のねらいは、これらの疑問に生物学がどう答えてきたかを歴史的に明らかにしようとするものである。第一点については、自然死と事故死を区別してかからねばならない。古代ギリシャ時代から、自然哲学者にしろ生物学者にしろ、基本的には自然死すなわち老化過程を扱ってきており、一般に、老化過程は何ものかが失われていく過程として捉えられてきた。第二点については、ドイツのヴァイスマンが19世紀後半の進化論的考察の中から初めて明らかにしたものである。それによって、死は不可避な、忌むべきことがらではなく、外界によりよく適応するために生物が獲得した進化論的戦術と見なされることになった。
著者
小川 眞里子
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.66-70, 1993-07-20

「なぜ生物は死ぬのか」という問いには、二つの局面がある。一つは老化や死の原因を問うもので、二つめは、生物が死ぬべく運命づけられている理由を問うものである。本論のねらいは、これらの疑問に生物学がどう答えてきたかを歴史的に明らかにしようとするものである。第一点については、自然死と事故死を区別してかからねばならない。古代ギリシャ時代から、自然哲学者にしろ生物学者にしろ、基本的には自然死すなわち老化過程を扱ってきており、一般に、老化過程は何ものかが失われていく過程として捉えられてきた。第二点については、ドイツのヴァイスマンが19世紀後半の進化論的考察の中から初めて明らかにしたものである。それによって、死は不可避な、忌むべきことがらではなく、外界によりよく適応するために生物が獲得した進化論的戦術と見なされることになった。
著者
財部 香枝 河野 銀子 小川 眞里子 大坪 久子
出版者
中部大学国際関係学部
雑誌
貿易風 : 中部大学国際関係学部論集 : Chubu international review (ISSN:18809065)
巻号頁・発行日
no.9, pp.152-165, 2014-04

The authors reveal and compare the changing patterns of gender segregation in the composition of students who have graduated from universities in Japan, Korea, and Taiwan since 2004. The students are classified into 7 categories in accordance with the ISCED97: Education, Humanities & Arts, Social Sciences, Science & Mathematics, Engineering, Agriculture & Veterinary, and Health & Welfare. We discuss (1) the situation of female PhD graduates and (2) the ratios of men and women at the various levels of higher education (bachelor, master, PhD) in each field.
著者
小川 眞里子
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.10-15, 2008-04-01 (Released:2012-10-30)
参考文献数
11
被引用文献数
2
著者
小川 眞里子
出版者
科学技術社会論学会
雑誌
科学技術社会論研究 (ISSN:13475843)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.9-20, 2009-10-20 (Released:2021-08-01)
参考文献数
30

It is not until about 1990 that the scarcity of women in S&T became a topic to be discussed. A full-fledged struggle to increase the number of female researchers in the EU began in 1998 with the purpose of increasing the scale of research and development to 3% of the GDP by 2010. Without female researchers, this goal is impossible, and a great deal of talent will be wasted. In terms of Asian countries’ progress on this issue, Asian researchers have held workshops and symposia in order to increase the number of women in S&T. This special issue contains six papers on women in S&T in Japan. Kawano’s paper deals with the horizontal segregation of female high school students. Uchida’s paper deals with professional choices by female graduates from technical colleges and emphasized the importance of education for their career paths. Miura’s paper explored the horizontal segregation and vertical segregation in S&T. Shiomitsu and Tsugawa investigated the social background to female researchers. Takarabe concludes that increasing the number of female researchers in the private sector is important for the future development in S&T in Japan. Finally, as a supplementary explanation I introduced the Dual-Career Academic Couple Problems which is newly emerging among female researchers.
著者
河野 銀子 小川 眞里子 財部 香枝 大濱 慶子 横山 美和
出版者
山形大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

「女性研究者の実態と支援政策の国際比較研究」は、欧米やアジアの女性研究者の実態およびその支援政策の動向を比較検討することによって、日本の女性研究者の実態を国際的に位置づけ、科学・学術分野における女性の低参画率の背景を探ることを目的としている。具体的には、a) EU・米国・中国の女性研究者割合等に関する推移の統計的把握および、b) 各国や地域の女性研究者支援政策の系譜の作成、c) 女性研究者割合の増加を阻害する要因と具体的解決策の検討、d) 女性研究者増加の阻害要因と政策に関する理論的検討を行うものである。研究代表者・分担者・研究協力者(大坪久子・日本大学)が、国際ジャーナルへの掲載や国際会議での発表、科学技術社会論学会でのセッションの開催などを通して、研究成果を広く社会に還元しながら実施した。2年度目の平成29(2017)年度はすでに初年度に開始していた a)、 b)、c)、d)のそれぞれを掘り下げた。4調査における具体的な実施状況は下記の通りである。a) については、中国やEUのデータについて、入手可能なデータの整理をし、女性研究者数や割合の特徴を捉えた。 b) については、米国と中国で訪問調査を行い、女性研究者を増やすための政策がどのように始まり、どのような困難があり、その困難をどのように乗り越えたのか、など、量的調査ではとらえることができない実態や背景を把握するためのインタビュー調査を実施した。 c) については、国際比較を可能とするため、公表されている行政資料や国内外の報告書類を収集し、女性研究者支援政策の流れと具体的内容の整理に着手した。また、オーラルヒストリー分析も開始した。 d) については、前年度に行った「パイプラインセオリー」に関するシステマティック・レビューをベースに、特に理論の限界等についてジェンダーサミット10で発表した。