著者
大石 美佳 山下 美紀 正保 正惠 竹田 美知
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2014

<b>目的</b> 教育期から労働期への移行段階における若年女性の自立と家族資本との関連を明らかにすることを目的として、女子大学生を対象に質問紙調査を実施した。本報告では、女子大学生のキャリアデザインの実態を把握し、家族資本との関連を検討する。 <br><b>方法</b> 2012年11月~12月、女子大学の大学生を対象に「大学生の生活環境と将来設計についての調査」を実施した。配布数1209票、有効回答数は1097票である(回収率90.7%)。家族資本を経済的サポート(家計のゆとり)と情緒的サポート(家族からの理解)の二側面から、キャリアデザインを自立度、理想のライフコース、将来設計、就職先条件からとらえ、関連を検討した。<br><b>結果</b> 女子大学生の家族資本は経済的サポート、情緒的サポートともに高く、経済的サポートと情緒的サポートには高い相関がみられた。女子大学生の自立度は低く、約8割が経済的に自立していない、約6割が精神的に自立していないと自己評価した。理想のライフコースは「結婚出産で中断、再就職」、理想の夫婦の役割分担は「夫婦で仕事も家事育児も」がもっとも多かった。将来に向けて就職活動に25.8%、結婚活動(婚活)に8.4%、資格・技能の習得に51.3%が力をいれていると答えた。就職先として重視する条件は「福利厚生」「能力個性発揮」「給料」(上位3つ)であった。家族資本とキャリアデザインとの関連については、経済的サポート、情緒的サポートともに、理想のライフコース、将来設計、就職先条件とのあいだに関連がみられた。
著者
正保 正惠 竹田 美知 山下 美紀 大石 美佳
出版者
福山市立大学教育学部
雑誌
福山市立大学教育学部研究紀要 = Bulletin of the Faculty of Education, Fukuyama City University (ISSN:21876347)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.39-45, 2015

In this study, we analyzed the factors of the uneasiness of students about the scholarship return. As a method, we performed the questionary survey to the students of A public university and the multiple regression analysis. The results are as follows. (1) It promotes uneasiness of the return most that the scholarship is spent for cost of living. (2) When a family understood the uneasiness of the student and did emotional support, uneasiness was reduced. (3) For uneasiness of the future return, support such as the student support of the university side does not have an influence at all. (4) The consultation of the trouble made "friend of the same sex" or "family" mainly. Including the students with resources, the public support from the university will be effective as right coping.
著者
竹田 美知 山下 美紀 大石 美佳 正保 正恵
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究委員会
雑誌
Journal of the Faculty of Human Sciences, Kobe Shoin Women's University : JOHS (ISSN:21863849)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.43-58, 2015-03

本研究の目的は教育から労働への移行期である女子大学生を対象として、どのように将来のライフコースを設定しているか、将来のライフコースを設定するときに家族資本がどのように期待されているか、さらに社会的資本がどのように認知され期待されているかについて明らかにした。調査は、2012 年11 月から12 月に実施され、関東、関西、中国地区の女子大生を対象として無記名による自記式質問紙法により実施された。調査の結果、現在の両親の役割分担の現状が女子大生のライフコースに大きく影響をおよぼし、さらに「性別役割分業」に対する意識が将来のライフコースを規定していることが明らかになった。また、母の職業経歴は娘である女子大生の役割モデルとして捉えられており、理想のライフコースも母のライフコースを踏襲している。専業主婦コースを選択した群は家族内経済資源が裕福であるが、家族内社会関係資源である性別役割規範に将来のライフコースを縛られている。両立コースを選択した群は資格・技能といった個人資源を持つことを希望し、女性が働くことについて家族がサポートしており、家族外社会関係資源を豊富に持っていた。
著者
山下 美紀 大石 美佳 正保 正惠 竹田 美知
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.194, 2014 (Released:2014-07-10)

目的 教育期から労働期への移行段階における若年女性の自立と家族資本との関連を明らかにすることを目的として、女子大学生を対象に質問紙調査を実施した。本報告では、女子大学生の生活評価(「生きづらさ」)、心理的適応(「自尊感情」)、心身の状況を把握し、家族資本との関連を検討する。 方法 2012年11月~12月、女子大学の女子大学生を対象に「大学生の生活環境と将来設計についての調査」を実施した。配布数1209票、有効回答票の1097票を分析に使用した(回収率90.7%)。家族資本を経済的サポート(家計のゆとり)と情緒的サポート(家族からの理解)の二側面からとらえ、生活評価に関わる項目は「生きづらさ尺度」(山下、2011)、「自尊感情尺度」(Rosenberg、1965)および「心身の状態」(11項目)からとらえた。結果 女子大学生の家族資本は経済的サポート、情緒的サポートともに高く、家族の経済的サポートと情緒的サポートには高い相関がみられた。女子大学生の「生きづらさ」得点は平均15.31 点(レンジ8-32点 SD=5.20)、「自尊感情」得点は平均30.48点(レンジ10-50点 SD=4.53)であった。家族資本と「生きづらさ」等の生活評価との関連については、経済的サポート、情緒的サポートともに「生きづらさ」「心身の状態」との間に関連がみられた。とくに、情緒的サポートとの相関が高かった。