著者
兵頭 武志 北里 新一郎 本城 勇介 大竹 雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.I_191-I_196, 2013 (Released:2013-09-13)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

港湾構造物は厳しい海洋環境にあることから,塩害が劣化の主要因とされる.特に桟橋上部工コンクリートの下面側は塩害による劣化進行が速く,維持管理上,重視すべき主要な構造部材である.上部工下面側については,通常の点検では,海上から小型船舶を使ってアクセスし,外観目視調査により概略の健全性評価を行う.さらに詳細に調査する場合は,コア採取による塩化物イオン量測定を実施することになるが,荷役作業など施設の利用中は調査が行えないことやコア採取時の足場の確保など,効率的に行うには制約や課題が多い. 本研究では,離散的な位置での情報から対象域全体の情報を推定する場合によく用いられる空間統計学(クリギング)を適用し,桟橋上部工におけるいくつかの塩化物イオン量の離散的なデータから対象全体の劣化状況分布を推定するとともに,目視点検結果と塩化物イオン量の分布の関連性を比較分析し,効率的な維持管理方法を提案する.
著者
吉田 郁政 大竹 雄 本城 勇介
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.1-13, 2015 (Released:2015-05-20)
参考文献数
42
被引用文献数
2 5

観測点の最適な位置および点数を決める問題について,情報の価値Value of Information(以下,VoI)と確率論的空間分布推定手法であるクリギングに基づく方法の提案を行った.不確定性の伴う情報からなんらかの意思決定を行う問題において,新たな観測情報が与えられれば判断の誤りのリスクは減少する.VoIを新たな観測情報の追加による判断の誤りのリスクの削減量と定義して,それを最大化するように追加観測点の位置を決め,さらにトータルコストの最小化により最適な観測点数を決める.トータルコストは観測コストとVoIの和として求める.実在の堤防に沿った液状化対策区間の選定の問題を対象に,既存ボーリングに対する追加ボーリングの位置およびその点数の最適化について,提案手法を用いた検討例を示した.