著者
本城 勇介 諸岡 博史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F (ISSN:18806074)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.1-13, 2010 (Released:2010-01-20)
参考文献数
18

社会基盤施設に関連した事故に関する判例などが報道されると,工学で考えられている設計問題の枠組みと,法律で規定されている枠組みに差があることを感じることがある.本研究はこのような法律の考え方と,設計の考え方の関係を明確にし,社会基盤施設に求められる安全性や技術者の責任を明らかにすることを目的とする.判例を検討していると,瑕疵に関する考え方も,徐々に安全性が相対的なものであるという認識に変化していると思われる.判例は依然通説である「客観説」をとっているが,その判断にあたり,予見可能性,回避可能性など技術的見識を加え,結果の重大性や構造物の重要性などを多面的に勘案するようになってきていると思われる.
著者
本城 勇介 工藤 暢章
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.589, pp.321-333, 1998-03-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
12
被引用文献数
3 1

地盤工学や構造工学で逆解析を成功させるためには, 逆解析の目的に応じた観測データの適切な取得が必要であると考えられる. 本研究では, 逆解析における事前情報, 観測情報, 予測の過程における情報の流れを, 情報理論で広く用いられるシャノンの情報エントロピーにより記述し, これを規準として逆解析を行なうことを前提とした場合の, 観測計画の評価を行う方法の基本的な考察を行った. この方法と, 従来から実験計画法の分野で提唱されてきた観測計画の評価基準との関係についても明確化した. 提案された方法は, 比較的簡単な例題に適用され, その有用性が示された.
著者
兵頭 武志 北里 新一郎 本城 勇介 大竹 雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.I_191-I_196, 2013 (Released:2013-09-13)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

港湾構造物は厳しい海洋環境にあることから,塩害が劣化の主要因とされる.特に桟橋上部工コンクリートの下面側は塩害による劣化進行が速く,維持管理上,重視すべき主要な構造部材である.上部工下面側については,通常の点検では,海上から小型船舶を使ってアクセスし,外観目視調査により概略の健全性評価を行う.さらに詳細に調査する場合は,コア採取による塩化物イオン量測定を実施することになるが,荷役作業など施設の利用中は調査が行えないことやコア採取時の足場の確保など,効率的に行うには制約や課題が多い. 本研究では,離散的な位置での情報から対象域全体の情報を推定する場合によく用いられる空間統計学(クリギング)を適用し,桟橋上部工におけるいくつかの塩化物イオン量の離散的なデータから対象全体の劣化状況分布を推定するとともに,目視点検結果と塩化物イオン量の分布の関連性を比較分析し,効率的な維持管理方法を提案する.
著者
吉田 郁政 大竹 雄 本城 勇介
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.1-13, 2015 (Released:2015-05-20)
参考文献数
42
被引用文献数
2 5

観測点の最適な位置および点数を決める問題について,情報の価値Value of Information(以下,VoI)と確率論的空間分布推定手法であるクリギングに基づく方法の提案を行った.不確定性の伴う情報からなんらかの意思決定を行う問題において,新たな観測情報が与えられれば判断の誤りのリスクは減少する.VoIを新たな観測情報の追加による判断の誤りのリスクの削減量と定義して,それを最大化するように追加観測点の位置を決め,さらにトータルコストの最小化により最適な観測点数を決める.トータルコストは観測コストとVoIの和として求める.実在の堤防に沿った液状化対策区間の選定の問題を対象に,既存ボーリングに対する追加ボーリングの位置およびその点数の最適化について,提案手法を用いた検討例を示した.
著者
松井 謙二 本城 勇介
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学研究発表会 発表講演集
巻号頁・発行日
vol.39, pp.31-32, 2004

ISSMGE/TC23国内委員会(委員長:本城勇介・岐阜大教授)では,H15年度より「Eurocode 7評価」に関するWG活動を行ってきた.これはEN1997-1(Eurocode 7:地盤設計の一般ルール)ドラフトがほぼ完成しCENメンバー国の公式投票にかけられる段階に至り,地盤コード21を作成中のわが国としても,Eurocode 7に対する評価を統一しておく必要があることによる.ここでは,Eurocode 7が世界標準となった場合を想定して,わが国としてこれを導入した場合の問題点を,適宜地盤コード21と対比しながら指摘する.