著者
臼井 颯汰 栗野 盛光 大藤 剛宏 繁野 麻衣子
出版者
公益社団法人 日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌 (ISSN:13498940)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.1-21, 2022 (Released:2022-03-04)
参考文献数
26

臓器移植は,他の救命手段のない患者に,他者の健康な臓器と取り替えて機能を回復させる医療である.臓器移植は治療のための最終手段であり移植数を増やすことは重要な課題であるが,臓器を提供するドナーがいても医学的制約と社会的制約により移植不可能なことがある.社会的制約の克服方法の一つに交換移植(ドナー交換移植)があり,交換移植のシステムを導入している国も複数ある.交換移植のなかでも,レシピエントとドナーの2組の間でドナー交換をする循環型は非2部グラフ上のマッチングとして表現できる.移植数を増やすという目的に従うと,安定性の概念を大域的に拡張して要素数の多いマッチングを含むポピュラーマッチングによる交換が一つの方法となりえる.そこで,本研究では,交換移植のシステムとしてポピュラーマッチングのなかで要素数が最大のドミナントマッチングに着目し,ドミナントマッチングを求める発見的解法を示し,その方法を用いて肺移植を対象にシミュレーションをおこなう.
著者
栗野 盛光 島田 夏美
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.10, no.Special_issue, pp.S12-S15, 2017 (Released:2018-04-12)
参考文献数
5

本研究は,自動車を運転するドライバーが走行情報の情報開示における意思決定問題について,oTreeによる被験者実験を行う.栗野・高原(2016)の理論モデルとの整合性や現実への制度設計に関して分析する.リスク態度の測定も行い,実験分析はリスク態度ごとにも行った.結果は,人々が完全情報開示・規制速度を選択するのには,観察確率・罰金・報酬全て効果があることが分かった.さらに,罰金よりも報酬のほうが効果を持つ .また,観察確率の上昇は,完全情報開示・規制速度の選択を増やし,ある確率を境に急に完全情報開示・規制速度選択の割合が増加する.リスク回避的な人ほど,小さい観察確率の上昇に反応することが分かった.
著者
大澤 義明 城所 幸弘 栗野 盛光 小林 佑輔 櫻井 一宏 小林 隆史 和田 健太郎 高野 祐一
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2020-04-01

EVシフトが進めば、大幅な税収減となり新たな財源の確保が必要となる。一方で、インフラ維持管理費用が深刻な問題となる。走行距離など移動経路に応じて課税する受益者負担の考え方はわかりやすく身の丈にあったインフラ量を誘導する。道路修繕更新費用の一部が走行税で賄われる受益者負担課金を想定し、地方自治体まちづくりに与える影響を分析し、社会最適化などの理論モデルを構築する。
著者
赤林 英夫 敷島 千鶴 島田 夏美 竹ノ下 弘久 加藤 承彦 井深 陽子 稲葉 昭英 野崎 華世 川本 哲也 中村 亮介 直井 道生 佐野 晋平 田村 輝之 栗野 盛光
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2021-07-05

新型コロナパンデミックは、子供の教育格差研究に対し、取り組むべき課題と研究手法との双方に、変革の必要性を迫っている。社会のオンライン化に伴い、家庭環境が子供に与える影響が強まることが懸念されている。また、教育格差拡大を防ぐために、世界各国で、新たな政策的対応の必要性が議論されている。そこで、本研究では、全国の子供を対象とし、オンラインにより、ポストコロナの新たな課題に対応した調査や実験による研究手法を考案する。それらを通じ、コロナ禍が子供の学力や日常生活に及ぼした影響を厳密に分析し、国際比較も行うことで、コロナ後の研究と政策のあり方を提示する。