著者
大西 康雄 大西 康雄 OHNISHI Yasuo オオニシ ヤスオ Onishi Yasuo
出版者
山梨県立大学
雑誌
山梨国際研究 山梨県立大学国際政策学部紀要 = Yamanashi glocal studies : bulletin of Faculty of Glocal Policy Management and Communications (ISSN:21874336)
巻号頁・発行日
no.9, pp.11-24, 2014

McLuhan's "Understanding Media" is well known for its difficulty in understanding. Especially his concept of "hot / cool" medium is central symbol of difficulty and ambiguity of the book. In this article, I try to restructure the concept for better understanding and application of McLuhan's thought. I try to decompose the concept to three conceptual dimensions. Its first dimension is the dimension of social context: openness of interpretation. Its second dimension is the dimension of medium format: displacement easiness of medium. Its third dimension is the dimension of synaesthesia. On the third dimension, I propose that we should treat it as completely different dimension from "hot / cool" concept.
著者
近藤 尚己 山縣 然太朗 大西 康雄
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

地域のソーシャル・キャピタル、即ち人々の結束や信頼を高めるような社会的ネットワーク資源の醸成が、高齢者の健康維持に貢献することが期待されている。しかし、健康資源が人的ネットワークを介してどのように伝達し、個人の健康へと影響していくかについては明らかになっていない。本研究では、数理社会学の「ネットワーク分析」手法を用いて、高齢者のネットワークのダイナミズムと健康との関連を理解することを目的として、ネットワーク分析手法の公衆衛生領域への応用を試み、また、そのための課題整理を行った。初年度に山梨県A町の全高齢者を対象に健康状態、社会経済状況、心理社会状況、生活習慣、および社会的ネットワーク等に関する郵送質問紙調査を行った。2年目以降は、山梨県内で歴史的に継続実施されてきている無尽講(回転型貯蓄金融講)やその他の地域活動へ参加している人を対象に訪問調査を実施し、各無尽講のグループ内、およびグループ間の関係性に関する量的・質的データを構築した。このデータを日本老年学的評価研究データと個人リンケージして分析した結果、ソーシャル・キャピタルが、個人のメンタルヘルス(抑うつ傾向)に対して抑制的に関与し、ネットワーク内における情緒サポートの授受の関与が示唆された。また、無尽講への参加には二面性があり、楽しみながら高強度に参加している場合死亡リスクを下げるが、掛け金が高すぎるストレスフルなグループへの参加は逆効果となることが明らかになった。本研究により、地域組織を媒体としたネットワークデータが公衆衛生研究へと応用可能であることがわかった。また、大規模調査においてネットワークデータを取得する際の課題が整理できた。本研究は基盤研究A「高齢者における健康の社会的決定要因に関する大規模パネル調査(代表:近藤尚己)」へと引き継がれ、今後長期の縦断的な分析を進めていく。
著者
大西 康雄
出版者
尾道短期大学
雑誌
尾道短期大学研究紀要 (ISSN:02875764)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.157-166, 1982

本書のテーマは、アメリカの現行社会保障制度(OASDHI) の再検討である。このテーマの追求上、本書は以下の構成をとっている。即ち、第1章は、現行社会保障制度、中でも、主としてOASDIの要領のよい説明(第1-第4節)に始まれ次いで、関連する他制度の説明(第5節〉に移り、最後に、問題とすべき論点について述べている(第6-第7節)。第2章では、これらを受けて、まず、アメリカの所得補償制度の全体像の中にOASDIを位置付け(第8節)、次に、上述の問題点に対する現行社会保障制度の諸改正を提案している(第9一第13節)。以下、順を追って、各章・節の内容に幾分立ち入ってみよう。
著者
大西 康雄
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.53-70, 2003-03-31 (Released:2009-01-20)
参考文献数
28

Krackhardtによって提起された認知社会ネットワーク研究は、もともと「実在」するネットワークをより「正確」に把握するという問題意識から出発した。その研究枠組みが提起する問題は、いままで無前提に研究の準拠としてきたパーソナルネットワークを集計して構成した全体ネットワーク(LAS)以外にも全体ネットワークの構成方法がありうるということである。本稿では、認知社会ネットワーク研究の流れを紹介するとともに、山梨県内の一地域で実施した地域政治家のネットワークデータの分析を通じて、コンセンサスネットワーク(CS)とLASネットワークに対する対象者のネットワーク認知の「正確さ」(一致度)に関する分析的有効性の差異の検討を中心として、認知社会ネットワーク研究が提起した問題について考察を加える。