著者
大西 正樹 肖 水芳 大久保 公裕 池田 雅一 横島 一彦 奥田 稔
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.228-235, 1993
被引用文献数
5

スギ花粉飛散開始の2週間前よりfluticasone propionate (FP) の局所投与を行いスギ花粉症患者の鼻粘膜粘液上皮層に浸潤した好塩基性細胞, 好酸球の動態を観察し, FPの鼻アレルギー症状抑制機序を検討した。スギ花粉症患者を2群に分け実薬投与群は季節前, 初期にFP局所投与, プラセボー群はプラセボーの局所投与を行った。また季節中期, 後期は両群ともFP局所投与を行った。実験は二重盲検法で行った。投与前, 初期終了時, 後期終了時に鼻粘膜擦過を行い擦過片中の好塩基性細胞, 好酸球数のカウントを行った。同時に擦過片を蒸留水中で凍結融解した後, 両細胞数を定量的に評価するため擦過片中の総ヒスタミン, eosinophil cationic protein (ECP) の含有量を測定した。季節前からFP局所投与を行った実薬投与群は, プラセボー群に比べスギ花粉症状をよく抑制し鼻粘膜粘液上皮層中の好塩基性細胞, 好酸球の増加を抑制した。粘膜擦過片中のヒスタミン量, ECP量はFP局所投与で減少傾向を示した。
著者
奥田 稔 富山 俊一 大西 正樹 平良 晋一 宇井 浩一
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2Supplement1, pp.326-341, 1995-03-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
15

アレルギー性鼻炎症状を有するボランティアを対象にR50547点鼻剤を投与し, 本剤の薬物動態および鼻誘発反応に対する効果を検討した.薬物動態を検討した結果, 0.1および0.2mg投与時のt1/2およびTmaxは, 健常人で行われた単回投与試験結果とほぼ一致していた.鼻誘発反応に対する本剤の抑制効果を検討した結果, 有効率 (有効以上の%) が50%以上であつた持続時間は, 0.05, 0.1および0.2mg投与群でそれぞれ8, 8および12時間であつた. これら有効率の持続時間から, 本剤の至適投与回数は, 0.05および0.1mgでは1日2~3回, 0.2mgでは1日2回と推察された.以上より, R50547点鼻剤の鼻誘発反応に対する抑制効果が認められ, 本剤がアレルギー性鼻炎に対し, 少ない投与回数で効果が持続できる有用な薬剤である可能性が示唆された.