- 著者
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植田 昌治
久住 武
大谷 純
- 出版者
- 日本心身健康科学会
- 雑誌
- 心身健康科学 (ISSN:18826881)
- 巻号頁・発行日
- vol.6, no.1, pp.1_30-1_38, 2010-02-10 (Released:2010-09-28)
- 参考文献数
- 9
- 被引用文献数
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高所不安による立位保持への影響を確認するため,健常成人男性31名を対象に,高さ1mテーブル中央上と,通常時の立位保持60秒間の足圧中心値測定を行った.加えて不安を惹起する原因の所在が異なることによる立位保持への影響の違いを確認するため,高さ1mテーブル上で,対象者の前・後・左・右側がテーブル縁に近くなる位置で足圧中心値測定を行った.また対象者に生じた不安と足圧中心値との相関を確認するため,STAI(状態─特性不安検査)等を用いて不安評価を行った.その結果,開眼状態では,テーブル中央時の総合プレート値での総軌跡長などが,通常時に比べて有意な減少を認めた.またテーブル上で立つ位置を変えて実施した足圧中心値測定では,開眼状態では後不安時の左プレート値・右プレート値の前後方向軌跡長などが他の場面に比べて有意な増加を認めたことより,高所不安により足関節底屈筋などに反射的な収縮が生じ,協調的な姿勢保持が阻害されたこと,後方向への転落防止のためには前足部が有効に機能できず不利なこと,転落方向への視覚情報がなく,後方への転落は危険であるとの認識から不安が増大したことなどが関与したものと推測された.またSTAI特性不安得点と後不安時の右プレート値の左右方向最大振幅などとの間に有意な負の相関を認めた.特性不安の大きい者ほど右足の側方の動きが減少することより,初めて動作練習を行う不安になりやすい傾向であると認識した患者には,右足の側方への動的な反応を要求する場面を設定し,運動学習を行わせる必要性が示唆された.