著者
若木 重行 谷口 陽子 岡田 文男 大谷 育恵 南 雅代
出版者
国立研究開発法人海洋研究開発機構
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2021-07-09

本研究では、考古遺物としての漆工芸品の漆塗膜の理化学的分析より漆工芸品の製作地を推定するための方法論を提示することを目的とする。その実現のため、漆・下地・顔料などの漆塗膜の各成分の分離、ならびに分離した微少量の試料に対する多元素同位体分析を実現するための分析化学的手法開発を行う。漢代漆器・オホーツク文化期の直刀に対して、開発した手法による分析と蒔絵の種類・製作技術の解析などの情報を統合し、総合的に製作地の推定を試みる。
著者
岡田 文男 大谷 育恵
出版者
京都芸術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

日本では古代より、漆に黒色顔料を混和して表面から黒くみえる漆を長期にわたり利用してきたが、現在ではウルシオールと鉄イオンの反応により黒く発色させた「鉄黒漆」を一般に用いている。申請者は漆文化財の塗膜分析を通して、建造物塗装や仏像、漆工品の文化財修理において「鉄黒漆」が用いられていることを発見した。「鉄黒漆」の利用開始時期が不明なまま、それを漆文化財の修理に用いることは、漆文化財に本来用いられた漆液と異なるものを付加するおそれがある。そこで漆文化財の横断的調査を通して「鉄黒漆」の利用開始時期の解明を試みる。