- 著者
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岡田 文男
大谷 育恵
- 出版者
- 京都芸術大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2021-04-01
日本では古代より、漆に黒色顔料を混和して表面から黒くみえる漆を長期にわたり利用してきたが、現在ではウルシオールと鉄イオンの反応により黒く発色させた「鉄黒漆」を一般に用いている。申請者は漆文化財の塗膜分析を通して、建造物塗装や仏像、漆工品の文化財修理において「鉄黒漆」が用いられていることを発見した。「鉄黒漆」の利用開始時期が不明なまま、それを漆文化財の修理に用いることは、漆文化財に本来用いられた漆液と異なるものを付加するおそれがある。そこで漆文化財の横断的調査を通して「鉄黒漆」の利用開始時期の解明を試みる。