著者
髙山 真記子 大貫 麻美
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.363-369, 2014-11-17 (Released:2014-12-04)
参考文献数
8
被引用文献数
2 1

高等学校「生物Ⅰ」で単元「動物の生殖と発生」の学習終了時に, 「生命の連続性」概念系に関する理解を深めることを目的としたコンセプトマップ法の導入を行った。この実践は, 2010年から2012年にかけて3回行った。実践Ⅰでは, 異なる学習区分で扱った内容の関連に気づき1つのマップを作ることができなかった学習者(レベル1)が18.1%存在した。そのため, 実践Ⅱ及び実践Ⅲでは, 教師から予め, すべての概念ラベルがとぎれることなくつながるようコンセプトマップを作成するよう指示をした。その結果, 実践Ⅱでは96.3%が, 実践Ⅲでは100%の学習者が異なる学習区分で扱った内容間に「受精」という関連事項を見出し, 一つのマップを作ることができていた(レベル2)。循環する「生命の連続性」概念系を示す学習者(レベル3)も, 実践Ⅰでは1%であったが, 実践Ⅱでは約80%に増加し, 実践Ⅲも同様の結果であった。感想文の分析からは, 生命の連続性に関する情意面をも含む学びの成果や, コンセプトマップ法の有意味性に関する記述があることが分かった。
著者
大貫 麻美
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 45 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.189-190, 2021 (Released:2021-12-20)
参考文献数
8

STEM/STEAM 教育は近年国内外で大きく注目されている.一方で日本の幼児教育における実践的研究はまだ少ない.本発表においては,日本の幼児教育の特性である「遊び」を通しての総合的な指導に着目し,既報の事例研究を基に,幼児がクラフト紙を用いて遊ぶ過程で多様なプログラミング的思考の萌芽が見られること,モンテッソーリ教育園において園児が自ら選んだ生命科学に関する活動を行う過程で,算数・数学の基礎的概念や,表現活動につながる学びがあること,親や保育者との関係の中で自発的な活動に進展が見られたり,科学的思考の萌芽が精緻化されたりすること等を示した。これらをふまえ,日本における幼児向けSTEM/STEAM 教育の在り方について検討し,(1)幼児が充実感や満足感を得られる「遊び」としての活動の設定, (2)幼児が主体的に遊ぶ過程で科学的な気づきが得られうる環境構成, (3)幼児の発見に寄り添い発展を支援する保育者・教育者,を重要な要素として示した.
著者
大貫 麻美 鈴木 誠
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.513-526, 2023-03-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
27

自然科学に関する幼児期からの継続的なコンピテンス基盤型教育の重要性は近年,国際的に周知されている。一方で,日本では,生命科学を科目として扱う幼児教育はなされていない。本論文では,日本の幼児教育において実施可能な生命科学に関するコンピテンス基盤型教育の検討のために,幼児期に育成が期待される生命科学に関する資質・能力の整理を試みた。まず,幼児期の生命科学教育が設定されている米国,オーストラリア,フィリピンの幼児教育スタンダードを調査し,先行研究に依拠しながら整理した。また,日本と同様に生命科学に関する科目設置のないフィンランドのコンピテンス基盤型幼児教育についても調査,分析を行った。これらの知見を基に,幼児期に育成が期待される生命科学に関する資質・能力について,日本の幼稚園教育要領を参照しながら考察を行った結果,日本の幼児教育で扱われる5領域全体を横断する形での学びが期待されることが分かった。
著者
原口 るみ 大貫 麻美 土井 美香子 寺井 千重子
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.499-500, 2020 (Released:2020-11-27)
参考文献数
5

It is important to develop the qualities and abilities to be able to make a conscious effort to maintain and promote one's health from early childhood. In that sense, "milk" was chosen as a theme that combines the two aspects of food education and life science education. A "RIKADOKU (science reading)" program for children using picture books was designed corresponding to the evaluation index of "RIKADOKU" program created in the previous research based on The BSCS 5E Instructional Model by Bybee (2006). By using the picture books correspond to each stage of The BSCS 5E Instructional Model, it is expected that the children are able to recall their experience, and to acquire the new words for expressing their thoughts.