著者
大迫 一史 黒瀬 光一
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

オオグソクムシを食用として利用することを目的に、タンパク質回収法の検討、回収タンパク質のゲル形成能、内在性プロテアーゼの検討、およびアレルゲン性の検討を行った。タンパク質は塩水利用回収法で機能性を保持したまま回収可能であることが明らかとなった。また、回収タンパク質のゲル形成能は魚類に比較すると弱いが、十分食用可能であることがわかった。一方で、金属依存型プロテアーゼおよびセリン型のプロテアーゼがゲル形成を阻害することが示唆された。また、甲殻類と相当性が高いトロポミオシンを有する事から、これの低減化の必要性が示唆された。
著者
岡本 昭 濱田 友貴 三浦 勝貴 野中 健 桑原 浩一 大迫 一史 三嶋 敏雄 橘 勝康
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.918-923, 2006 (Released:2006-09-22)
参考文献数
22
被引用文献数
7 8

養殖イサキの死後変化に及ぼす致死条件(延髄刺殺,苦悶死,温度ショック,脊髄破壊)と保存温度(氷蔵,5, 10, 15, 20℃)の影響を検討した。致死条件実験では ATP 量,IMP 量,K 値,硬直指数の経時変化は脊髄破壊が最も遅かった。夏期(飼育水温 25℃)と冬期(15℃)のイサキを用いた保存温度実験における死後変化は冬期群が夏期群に比較して遅く,10℃ 保存で K 値,硬直指数の上昇が最も遅延した。養殖イサキの死後変化の遅延は飼育水温に関らず,保存 24 時間以内で脊髄破壊後 10℃ 保存が最適であった。
著者
吉田 優花 五十嵐 史子 高橋 希元 大迫 一史 永井 宏史
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.18-00039, (Released:2018-12-04)
参考文献数
16
被引用文献数
1

新鮮なカミクラゲSpirocodon saltatrixは,独特な強い匂いを有することを見出した。その匂いはキュウリ様臭であった。そこで,このカミクラゲの有する特徴的なキュウリ様匂い物質について同定を試みた。GC/MS, GCを用いた官能試験,標品を用いた試験結果から,カミクラゲの有するキュウリ様臭物質は(E)-2-nonenalならびに(E,Z)-2,6-nonadienalと同定した。
著者
伊藤 克磨 松嶋 はるか 野崎 征宣 大迫 一史 松林 法寛
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.70-75, 2006 (Released:2006-01-31)
参考文献数
17
被引用文献数
3 10

これまでからすみ市販製品についてその特性を明らかにする研究例がないことから,市販品及びその原料卵巣の粗脂質含量,粗タンパク質含量,脂質クラスの成分分析を行った。市販品は,個体差は大きいものの成熟度の高い原料を用い,粗脂質およびワックスエステル含量の高い製品が製造されている。トリアシルグリセロールは,過去の測定例と比較して高い含量を示した。からすみ製造過程で,脂質はタンパク質と同様に分解する。ワックスエステルの分解は明らかにできながったが,からすみ製造過程で酵素分解による脂質の分解が起こり,トリアシルグリセロールは減少し遊離脂肪酸は増加する。
著者
大迫 一史
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

マアジ鱗ゼラチンから高い物性を有する可食性フィルムを調製する方法について検討した。マアジ鱗から抽出温度および抽出時間を変えて得られたゼラチン溶液に可塑剤としてグリセロールを添加して,これを一定の湿度および温度下で乾燥させることによりフィルムを調製した。70℃で1時間抽出したものが歩留まりが高く(2.5%),また,それから調製したフィルムが最も高い引っ張り強度と引っ張り伸び率を示した。また,フィルムの物性はゼラチン溶液の乾燥温度にも影響され,低温で乾燥させたものの方が,高温で乾燥させたものよりも高い物性を示した。これら物性の違いは,ゼラチン中のα-ヘリックスの含量に依存することが推察された。