著者
岡本 昭 濱田 友貴 三浦 勝貴 野中 健 桑原 浩一 大迫 一史 三嶋 敏雄 橘 勝康
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.918-923, 2006 (Released:2006-09-22)
参考文献数
22
被引用文献数
7 8

養殖イサキの死後変化に及ぼす致死条件(延髄刺殺,苦悶死,温度ショック,脊髄破壊)と保存温度(氷蔵,5, 10, 15, 20℃)の影響を検討した。致死条件実験では ATP 量,IMP 量,K 値,硬直指数の経時変化は脊髄破壊が最も遅かった。夏期(飼育水温 25℃)と冬期(15℃)のイサキを用いた保存温度実験における死後変化は冬期群が夏期群に比較して遅く,10℃ 保存で K 値,硬直指数の上昇が最も遅延した。養殖イサキの死後変化の遅延は飼育水温に関らず,保存 24 時間以内で脊髄破壊後 10℃ 保存が最適であった。
著者
久保 久美子 松本 欣弘 桑原 浩一 岡部 修一 谷山 茂人 橘 勝康 村田 昌一
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.82, no.5, pp.743-752, 2016 (Released:2016-10-06)
参考文献数
24
被引用文献数
4

インピーダンス(電気抵抗)を用いて非破壊で鮮魚の脂肪量を推定する機器開発を目指した。周波数には5, 20, 50, 100 kHzを用いた。どの周波数でも死後の経過時間により電気抵抗は変動したが,100 kHzの電気抵抗と脂肪量との相関が高かった。温度変化により電気抵抗の変動を確認し,魚体サイズに応じた電極幅にすることで精度の向上が図られたため,脂肪量推定には魚体温と取上げからの経過時間を統一し,魚体サイズに応じた電極幅にすることで脂肪量を推定できると考えられた。
著者
橘 勝康 原 研治 野崎 征宣 槌本 六良
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

ふ化直後のマダイとトラフグにカロテノイド(マダイ:β-カロテンあるいはアスタキサンチン,トラフグ:β-カロテン)で栄養強化した初期餌料を投餌し無投薬で生産を試みた。マダイでは、ふ化後20日の飼育で,β-カロテン及びアスタキサンチン強化区の生残率が対照区と比較して高くなった。トラフグでは,ふ化後28日の飼育でβ-カロテン強化区の生残率が対照区と比較して高くなった。両魚種ともに全長からみた成長にはカロテノイド強化による有意な差は認められなかった。飼育最終日の仔魚より脾臓を採取し,リンパ球の幼若化反応を検討したところ,両魚種ともにPWM20μg/mlあるいはCon A 100μg/mlの刺激で,カロテノイド強化区が対照区に比較して有意に高い幼若化の反応性を示した。これらの強化初期餌料でマダイやトラフグの種苗を飼育することにより,種々の感染症に対して抵抗力の高い健康な種苗の無投薬での生産の可能性が考えられた。引き続いてβ-カロテン強化モイストペレツトでブリ一年魚の飼育を2-3ヶ月間無投薬で行い飼育開始と飼育終了時の血液値と免疫防御能の比較を行った。飼育終了時における血液値では,両区とも飼育開始と飼育終了時では顕著な違いを認めず,実験期間を通じて健康であったと考えられた。実験終了時の免疫防御能をリンパ球の幼若化能を比較すると,β-カロテン区がマイトーゲン添加培養の全てで対照区より高い幼若化を示し免疫防御能が高いと考えられた。以上より,β-カロテン,アスタキサンチン共に免疫賦活作用を持ち,これらを餌料に添加することで無投薬飼育が可能となることが分かった。
著者
本田 俊一 荒川 修 高谷 智裕 橘 勝康 八木 基明 谷川 昭夫 野口 玉雄
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.815-820, 2005 (Released:2005-10-07)
参考文献数
14
被引用文献数
58 62

無毒養殖トラフグに種々のテトロドトキシン(TTX)添加飼料を与える 60 日間の飼育試験を計 5 回実施した。ナシフグ残滓から抽出した粗毒を投与された試験魚は,低用量では皮や肝臓に微量の毒を,高用量では皮と内臓に少量,肝臓と卵巣に多量の毒を蓄積した。毒蓄積率は,水槽飼育の当歳魚で 2 割未満,網生け簀飼育の 2 年魚では 3 割程度で,一旦蓄積した毒は投与を止めても長期間各組織に保持されていた。精製 TTX の投与では,毒の蓄積は粗毒と同程度であったが,ナシフグ残滓を直接投与した場合は,総じて高濃度の毒蓄積がみられた。
著者
槌本 六良 宮田 克也 松尾 重己 大里 進子 高良 治江 三嶋 敏雄 橘 勝康
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.301-306, 1992-02-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

As a part of a study on the improvement of flesh texture in cultured red sea bream, we examined whether body density was useful to estimate the body fat content in live fish. A significant negative correlation was seen between body fat content (BF) and body density (BD) for cultured red sea bream aged one and two years as shown below. BD=-0.0018BF+1.0997 (n=97; p<0.001) The deviation of body density from this regression line, the residual value for each fish, was effected by the muscle ratio in the whole body. These results indicate that body density is useful not only to estimate the body fat content but also to surmise the relative level of muscle ratio in live fish.
著者
八木 基明 橘 勝康 三嶋 敏雄 原 研治 槌本 六良
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.501-505, 2001-12-20 (Released:2010-10-28)
参考文献数
16

ふ化直後のマダイとトラフグにカロテノイド(マダイ:β-カロテンあるいはアスタキサンチン,トラフグ:β-カロテン)で栄養強化したワムシを投餌し種苗生産を試みた。マダイでは,ふ化後20日の飼育で,β-カロテン及びアスタキサンチン強化区の生残率が対照区と比較して高くなった。トラフグでは,ふ化後28日の飼育でβ-カロテン強化区の生残率が対照区と比較して高くなった。両魚種ともに全長からみた成長にはカロテノイド強化による有意な差は認められなかった。飼育最終日の仔魚より脾臓を採取し,リンパ球の幼若化反応を検討したところ,両魚種ともにPWM20μg/mlあるいはCon A100μg/mlの刺激で,カロテノイド強化区が対照区に比較して有意に高い幼若化の反応性を示した。これらの強化ワムシでマダイやトラフグの種苗を飼育することにより,種々の感染症に対して抵抗力の高い健康な種苗の生産の可能性が考えられた。
著者
梁 佳 槌本 六秀 肖 寧 川口 夕貴 小野 要 濱田 友貴 谷山 茂人 橘 勝康
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.168-173, 2011
参考文献数
20

The ultrastructural changes with freshness decreasing of pink (P), white (W) and red (R) muscle in cultured carp were investigated during storage in ice in order to evaluate their ultrastructural characteristics and destruction after killing. The contents of ATP-related compounds in the three muscle types were higher in the order of W>P>R, and the increasing of K value was faster in the order of R>P>W. Destruction of zigzag structure of Z line, sarcoplasmic reticulum, and mitochondria was faster in the order of R>P>W. Disappearence of glycogen granule was also faster in the order of R>P>W. These results suggest that the interposition of pink muscle fibers into the dorsal ordinary muscle might accelerate freshness decreasing of fish.
著者
槌本 六良 橘 勝康 原 研治 石原 忠
出版者
長崎大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

種々の食用魚種における筋タイプと死後硬直進行を検討し、以下の結果を得た。種々の魚種の普通筋にはタイプII-aとII-b及びピンク筋の筋タイプが存在したが、その死後硬直との関係では、普通筋部にピンク筋が介在している魚種の死後硬直の進行速度とその到達レベルが高かった。白筋・ピンク筋・赤筋の分取し易いコイを用いて検討を行ったところ以下の結果を得た。筋肉内エネルギー貯蔵物質(ATP関連化合物総量・グリコーゲン量)はピンク筋・白筋・赤筋の順で多く、乳酸脱水素酵活性は白筋とピンク筋が赤筋に比較して高かった。すなわちピンク筋の嫌気的代謝能力は極めて高かった。筋タイプ別の死後硬直の進行はピンク筋・赤筋・白筋の順に速く、アクトミオシンの超沈殿反応でみた筋収縮モデルではピンク筋と白筋が赤筋よりそのレベルが高かった。筋原線維Mg^<2+>-ATPase活性ピンク筋・白筋・赤筋の順で高かった。各筋タイプから調節した筋小胞体のCa放出能・Ca up take・Ca^<2+>-ATPasaからみたCa^<2+>調節能はピンク筋と白筋が赤筋よ 高かった。また電子顕微鏡を用いた形態計測の結果、筋小胞体の筋原線維に対する充実度(容積占有率・表面積率)はピンク筋・白筋・赤筋の順で高かった。すなわち、筋肉の収縮を支配し死後硬直進行に大きく係わるCa^<2+>調節能はピンク筋が最も高いと考えられた。以上の結果より、普通筋部へのピンク筋の介在が死後硬直の進行を速めると同時にその収縮レベルを高くしていると考えられた。
著者
谷山 茂人 高谷 智裕 反町 太樹 相良 剛史 久保 弘文 大城 直雅 小野 要 肖 寧 橘 勝康 荒川 修
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.49-55, 2013-02-25 (Released:2013-03-08)
参考文献数
37
被引用文献数
1 5

2009年1~6月に沖縄県沿岸で採集した小型巻貝8科15種計64個体のうち,5種にマウス毒性が認められた.このうち,キンシバイの毒力は総じて高く,筋肉で最高461 MU/gに達した.その他の4種(サツマビナ,ヘコミマクラ,イボヨフバイ,カゲロウヨフバイ)の毒力はおおむね10 MU/g前後であった.LC-MS分析により,有毒個体の毒の主体はいずれもTTXで,キンシバイではこれに加えて4,9-anhydroTTX,4-epiTTX,11-oxoTTXを含むことが示された.また,アワムシロの可食部からもTTX(5.08 MU/g)が検出された.一方,残りの9種には,マウス毒性もTTXも全く認められなかった.