著者
大道 等
出版者
国際武道大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

1:歩行という系統発生的な運動学習を経る動作様式においても、技術差のあることた示唆された。それは「歩行指導」の存在することから傍証される。これは歩行の運動失調症への機能回復訓練に示唆となる。2:近年のフィットネス・スポーツブームの背景もあって、「ウォーキングなるフィットネス運動」が成立した。ジョッギングよりもブームの期間が長く、そこではエステ志向も散見する。前項1の意味においても、ウォーキング動作は体力科学的に正しい歩き方の存在が意識化されている。運動の量と動作の質、つまり生理強度と力学的機序が明らかにされねばならず、本研究はその両面から明らかにし得た。3:歩行を健康科学の観点からみるにせよ、教育的接近法によって解釈するにせよ、そこでは「フォーム」の経時的変化をパターンとしてみる必要がある。そのためには、ビデオレコーダー、使い捨てフィルム、デジタル・カメラ等が有効であり、さらにOA機器の普及によるファクシミリの広い普及により、指導者と歩行者の伝達が極めて容易になった。これらの映像器械の民主化はバイオメカニクス研究の営みを大きく変えた。そして現に変えつつある。連続分解写真に源がある。4:当初、筆者らが考察し、ソニーKKから開発販売された、動点検出システムは15年を経て、その科学的社会的役割が終焉したことが明らかになった。それは、ビデオプリンターとファックスの価格低下が、当システムの原理性を安価性と物量において敗北したのである。5:ビデオプリンター等を用いて、歩行・走行・投・打・蹴・舞・落などのスキル向上のカルテを作成した。これらは医学でいうところのカルテとその存在価値は全く同じである。この映像のデータバンクの整備を志向するさきがけとなる役割を本研究は担った。6:体育指導法における動作フィードバックの必要性が強調された。