- 著者
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大槻 勤
大野 かおる
- 出版者
- 東北大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2005
環境の変化が崩壊定数(半減期)に最も現れやすいと予想される核外電子捕獲(Electron Capture(EC)崩壊は核外の1sや2s電子が原子核に捕獲されて崩壊する。本研究者らはフラーレン(C_<60>)内にEC崩壊核種である^7Beを内包させることに成功したことにより、^7Beの半減期測定が可能となった。本研究ではフラーレンという特殊な環境にある^7Beの半減期がどれほど変化するか調べることを目的とする。本年度までに、フラーレン中の^7Beの半減期がヘリウム温度の環境下でどれほど変化するかを調べた。また、ベリリウム金属中でも^7Beの半減期がヘリウム温度でどれほど変化するかを調べた。分子動力学計算を駆使して^7Beの原子核位置での電子密度を調べ、実験・理論両面から核外の電子状態がEC崩壊にどれほど影響を及ぼすか解明した。その結果、以下の研究成果が得られた。1)金属ベリリウム中の^7Beの半減期は室温で53.25日、C_<60>中の^7Beの半減期はT=5Kで52.45日であった。この半減期の差異は約1.5%短く、これまでの観測で最大の達いとなった。2)^7Beをドープした金属ベリリウムをT=5Kに冷却した場合と室温中の場合では約0.3%後者の方が半減期が長くなることが分かった。3)密度汎関数理論・局所密度近似(LDA)に基づき、研究分担者(大野)が開発した全電子第一原理計算手法(全電子混合基底法)を用いて、各々の実験のケースに沿った原子核位置での電子密度を決定した。これらの成果はアメリカ物理学会誌等に投稿中である。