著者
大野 曜吉 仁平 信
出版者
日本医科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

本研究では、毒性の極めて強いアルカロイドであるアコニチンに注目し、体内での薬物動態を動物を用いて検討することを目的として課題申請した。従来このような報告が見られなかったのは、中毒レベルでの血液や体液からのアコニチンの定量が極めて困難であったためである。そこで、我々はGC-MSを用いたSelected lon Monitoring法によって微量定量分析を試みた。水柿らの報告した方法に則り、一連の抽出段階ごとに慎重に検討し、更にヒパコニチンを内部標準物質とすることでアコニチンの微量定量が可能となった。ICR雄性マウスの血液試料についてアコニチンの定量を行った結果、腹腔内0.30mg/kg投与群では、投与15分後で17.2ng/mlと最高血中濃度となり、以後ほぼ指数関数的に低下し、120分後で5.93ng/mlとなった。また、0.35mg/kg投与群では同様に投与15分後で32.1ng/mlと最高血中濃度となり、120分後で10.7ng/mlとなった。片対数グラフ上でほぼ直線となる投与後30分以降の血中濃度から薬物除去速度定数(K_<el>)を求めると、0.3mg/kg投与群で0.00718min、0.35mg/kg投与群で0.00835/minと計算され、半減期はそれぞれ、96.5min、83.0minと算出された。以上より、アコニチンの生体内における除去速度は、その血中濃度と比例することが明らかとなった。更に、同様投与量のアコニチンに対し、その非競合的拮抗物質であるテトロドトキシン0.01mg/kgを同時投与した動物実験を実施し、アコニチンの定量を行い、最終段階の検討を進めている。現在までの結果では、アコニチン0.3mg/kg群、0.35mg/kg群のいずれにおいても、死亡時間の延長効果はみられず、投与後15分前後で半数以上が死亡し、充分数の生存例から血中濃度曲線を得ることはできていない。アコニチンとテトロドトキシンとの混合投与では、予期しない効果が発現した可能性があり、それぞれの投与量を段階的に組合せた実験がなお必要であることが示唆された。
著者
大野 曜吉
出版者
日本医科大学医学会
雑誌
日本医科大学雑誌 (ISSN:00480444)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.89-94, 1993-04-15 (Released:2009-11-13)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1
著者
水柿道直 大山 良治 木村 勝彦 石橋 正兀 大野 曜吉 内間 栄行 永盛 肇 鈴木 康男
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
衛生学 (ISSN:0013273X)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.359-365, 1988
被引用文献数
2

A gas chromatography/selected ion monitoring (GC/SIM) method for the simultaneous determination of aconitum alkaloids such as aconitine, mesaconitine and hypaconitine has been developed. Aconitum alkaloids were converted to their TMS ether derivatives by treatment with N, O-bis (trimethylsilyl) trifluoroacetamide in pyridine at room temperature. The gas chromatograms of reaction products showed in each case a well-resolved doublet consisting of a major (>70%) and a minor components, when analyzed using a 5%-phenylmethylsilicone cross-linked fused silica capillary column. These alkaloid derivatives gave simplified mass spectra with a base peak at m/z 698 for aconitine, m/z 684 for mesaconitine and m/z 596 for hypaconitine. When GC/SIM of aconitine was carried out under monitoring of the ion at m/z 698,detection limit was 10 picograms with signal-to-noise ratio of greater than 10. Linearity was obtained over a range from at least 10 to 1000pg. Similar results were obtained with another alkaloids. The use of this method for the measurement of aconitum alkaloids in biological fluids is described.
著者
大野 曜吉 山本 伊佐夫
出版者
日本医科大学医学会
雑誌
Journal of Nippon Medical School (ISSN:13454676)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.320-321, 2002 (Released:2002-08-23)
参考文献数
1
著者
平川 慶子 小池 薫 大野 曜吉 崔 范来 金涌 佳雅 佐藤 格夫 大野 曜吉 崔 范来 金涌 佳雅 佐藤 格夫 増野 智彦 栗林 秀人
出版者
日本医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

MRI装置を用いた死後画像診断におけるスペクトルデータの活用に関する基盤研究を行なった。ラット死体の骨格筋および脳組織の死後早期の代謝物質の変化について、^1H NMRスペクトルデータをパターン認識した結果、死後経過時間の推定や死因の検索に有用な解析結果を得た。また、死体のMRI画像測定データを用いて、組織内の温度分布の時間変化を可視化することができた。