著者
大風 翼
出版者
東北大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

・低温風洞実験に基づく高風速時における吹雪境界層の特徴量の把握を行った。低温風洞の床を雪の飛散しないHard snowから、新雪のようなLoose snowに切り替え、吹雪を発達させ、超音波風速計、Snow Particle Counterを用いて吹雪の特徴量を測定する実験を行った。・飛砂に関する先行研究や南極での野外観測結果などを参考に、雪の削剥に関するサブモデルの定式化を行い、申請者の飛雪現象予測モデルの雪面境界条件として組み込んだ。続いて、今回実施した風洞実験や既往の野外観測を対象に削剥のサブモデルの中に含まれるモデル係数のパラメトリックスタディを行った。パラメトリックスタディの結果を実験・実測の結果と比較し、雪の削剥に関するサブモデルのモデル係数をチューニングし、決定した。・雪の削剥に関するサブモデルを組み込んだ飛雪現象予測モデルを用いて、既往の野外観測を対象に、単体建物周りの雪の空間密度及び積雪分布の予測を行った。建物周辺でのみ削剥が発生するような低風速なケース、広範囲で地吹雪が発生するような高風速のケース、風向や風速が大きく変動するケースなど、さまざまな条件の実験を対象に積雪分布の予測を行ったが、建物側方や建物風上側の吹きだまりや吹き払いの傾向は概ね既往の野外観測を再現できることを確認した。
著者
大風 翼 菊本 英紀 小野 浩己 今野 雅 池谷 直樹 挾間 貴雅 中尾 圭佑 岸田 岳士 田畑 侑一 中島 慶悟 義江 龍一郎 富永 禎秀
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.26, no.62, pp.179-184, 2020-02-20 (Released:2020-02-20)
参考文献数
20
被引用文献数
6

Appropriate large-eddy simulation (LES) guidelines for pedestrian wind environments are being established by the working group of the Architectural Institute of Japan. We conducted LESs for a flow field around an isolated building to clarify the influence of computational conditions on turbulent statistics. We performed a cross-comparison study by examining both experimental and LES results for various computational conditions such as grid arrangements, subgrid scale models, spatial derivation schemes for convection term, and convergence criterion for a coupling algorithm of flow and pressure fields. Results can be used to provide LES guidelines for predicting the pedestrian wind environment.
著者
富永 禎秀 大風 翼 菊本 英紀 白澤 多一 義江 龍一郎 持田 灯
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.22, no.51, pp.609-614, 2016 (Released:2016-06-20)
参考文献数
10

Recently, applications of CFD (Computational Fluid Dynamics) are expanding to various environmental issues such as pollutant/thermal dispersion in urban areas. The outdoor environment sub-committee of the Architectural Institute of Japan have conducted several benchmark tests for obtaining basic information and knowledge in order to provide the extended practical guidelines of CFD, which can be applied to more broad environmental issues than the present ones. This paper reports the results which considered the sensitivity of various computational conditions in the RANS (Reynolds-Averaged Navier-Stokes equations) model to the prediction accuracy of pollutant concentration distributions for two different configurations.
著者
大風 翼
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

1)「積雪環境予測」のための数値モデルの開発・昨年開発した雪粒子が流れ場へ及ぼす影響を表現するサブモデルについては、風速が比較的を大きく、雪粒子がより多く飛散する状況下でも適応できるよう、平成23年度後半に追加で行った風洞実験を基に、モデル係数のチューニングを行った。・雪の飛散・堆積モデルについて、昨年度に開発したサブモデルをさらに改良し、雪面から飛散し雪の積雪全体に対する寄与率を導入することで、降雪時に、風によって形成される建物周辺の吹きだまりの形成要因の分析を可能にした。2)吹きだまりを最小にすることを目的とした市街地形態に関するパラメトリックスタディ・上記の1)で完成させた「積雪環境予測」を用いて、市街地形態に関わる建物の密度、隣棟間隔等のパラメータを系統的に変化させた数値解析に基づく積雪環境の数値予測を行い、積雪分布や融雪エネルギーの水平分布を求めた。・建物高さHと隣棟間隔Dの比H/Dが0.71になると、南北の建物間の融雪エネルギーのピーク値は120[W/m2]と,それよりもH/Dが小さい(隣棟間隔が広い)ケースのピーク値(約160[W/m2])に比べて3/4程度まで急減することがわかった。3)積雪時の都市・建築空間における対流・放射の相互作用のメカニズムの検討・上記の2)の解析結果の分析を進め、積雪時の都市・建築空間における対流・放射の相互作用のメカニズムを明らかにした。建物南側では、短波放射と下向き長波放射による熱取得量が、顕熱や潜熱の輸送による熱取得に比べ大きいことが分かった。・これを踏まえ、都市・建築空間の積雪環境を形成する都市全体として吹きだまりを最小にする形態を明らかにした。建物高さHと隣棟間隔Dの比で一般化すると、0.50<H/D<0.6[-]のとき、すなわち,建物高さに対して1.75~2倍の隣棟間隔があれば,南北に並ぶ建物の間の領域の積雪量が最も小さくなる可能性の高いという結論を得た。