著者
天白 陽介 守川 恵助 今岡 泰憲 武村 裕之 稲葉 匠吾 楠木 晴香 橋爪 裕 廣瀬 桃子 鈴木 優太 畑地 治
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.327-333, 2020-12-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
22

近年,サルコペニアと摂食嚥下機能障害の関連性について注目されており,骨格筋量の減少は摂食嚥下機能障害の要因となると報告されている.本研究は骨格筋量の指標である骨格筋量指数(以下 SMI)が高齢肺炎症例の退院時普通食経口摂取可否を予測する因子となるかを検討することとした.対象は肺炎の診断名で当院に入院した101名(84.3±9.5歳 男性/女性:63/38)とした.普通食経口摂取の基準は退院時Functional-oral-intake-scale(以下 FOIS)6以上とした.評価項目は言語聴覚士介入時に合わせて評価した.対象を退院時FOISの値で2群に分類し,検討した.群間比較の結果では体重,Body mass index,Mini-Mental State Examination,除脂肪量,SMIにおいてFOIS6以上群が有意に高い結果であった.ロジスティック回帰分析ではSMIが独立した因子として抽出された. Receiver Operatorating Characterristic curveでは男性 5.8 kg/m2,女性 4.3 kg/m2がカットオフ値として算出された.SMIは高齢肺炎症例の退院時普通食経口摂取可否を予測する因子である可能性が示唆された.
著者
武村 裕之 守川 恵助 今岡 泰憲 稲葉 匠吾 楠木 晴香 天白 陽介 橋爪 裕 廣瀬 桃子 鈴木 優太 畑地 治
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.131-135, 2020-08-31 (Released:2020-09-02)
参考文献数
14

【目的】本研究は急性期呼吸器疾患患者における筋力トレーニングの回数が筋肉量に及ぼす影響について調査する.【対象と方法】対象は介入時に病棟ADLが自立していた急性期呼吸器疾患患者20名を介入時期により低回数群(以下L群)12名,高回数群(以下H群)8名に分類した.L群が修正Borg scale 3,H群は修正Borg scale 5 に達するまで筋力トレーニングを実施した.【結果】筋力トレーニングの回数は上肢がL群で54.5回,H群が182.6回,下肢においてもL群で69.0回,H群が182.0回で有意差を認めた.介入前後の筋肉量の比較では上肢がL群で介入時 4.4 kg,退院時 3.8 kg,H群で介入時 3.8 kg,退院時 3.6 kgと有意差を認めなかった.下肢においてもL群で介入時 13.8 kg,退院時 13.4 kg,H群で介入時 10.9 kg,退院時 11.0 kgと有意差を認めなかった.【結語】急性期呼吸器疾患患者に対する筋力トレーニングの回数は退院時の筋肉量に影響を及ぼさなかった.
著者
今岡 泰憲 廣瀬 桃子 山口 みさき 天白 陽介 塩津 裕康
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.442-449, 2020-08-15 (Released:2020-08-15)
参考文献数
27

要旨:本研究の目的は,急性期病院において作業療法士が肺炎患者の病棟トイレ自立使用可能・不可能を判断する下肢機能評価のカットオフ値を算出することである.研究デザインは横断研究とした.対象は肺炎患者56名,調査項目は,SPPB,TUG,膝伸展筋力とした.結果,病棟トイレ使用可能・不可能に関連する因子としてTUGが抽出され,カットオフ値:11.8秒,AUC:0.807,感度:69.4%,特異度:89.5%であった.作業療法士は,算出されたTUGのカットオフ値:11.8秒を用いることで,観察による主観的な評価だけでなく,客観的な評価基準に基づいて,病棟トイレ自立使用可能・不可能を判断することが可能となる.
著者
武村 裕之 今岡 泰憲 守川 恵助 北山 可奈 稲葉 匠吾 楠木 晴香 橋爪 裕 小澤 香奈 鈴木 優太 西川 涼太 天白 陽介 岡田 誠
出版者
一般社団法人 日本呼吸理学療法学会
雑誌
呼吸理学療法学 (ISSN:24367966)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.2-10, 2023-03-25 (Released:2023-03-25)
参考文献数
27

目的:慢性閉塞性肺疾患(Chronic obstructive pulmonary disease:COPD)急性増悪患者への骨格筋評価は身体機能を判断する上で重要である。筋輝度(Echo Intensity:EI)は骨格筋の非収縮性組織を反映し注目されている。しかし,身体機能と骨格筋の非収縮組織との関係性は不明である。本研究ではCOPD急性増悪患者のEIと身体機能の相関関係を調査したので報告する。方法:2019年5月から12月に当院へ入院したCOPD急性増悪患者17名を対象とした。調査項目は初回理学療法介入時に測定した。超音波検査には日立製作所社製のF37を使用し,大腿直筋(Rectus femoris: RF)の遠位1/3のEIを測定した。画像解析にはImage Jを使用し,8−bit Gray Scaleによるヒストグラム解析を行った。身体機能評価はShort Physical Performance Battery(SPPB),6分間歩行距離(Six minutes walk distance:6MWD)とした。統計学的解析はSpearmanの順位相関係数を用いて,EIと身体機能項目との関連を調査し,統計処理はEZR version 1.38を使用し有意水準を5%とした。結果:EIはSPPB(r=−0.59 p<0.01)と負の相関を認めたが,6MWDとは相関を認めなかった。結論:COPD急性増悪患者におけるRFのEIと身体機能の相関関係を調査し,RFのEIはSPPBと中等度の負の相関を認めた。