著者
太田口 和久
出版者
東京工業大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

大規模プラント排ガス中のCO_2を除去する技術のうちモノエタノ-ルアミン化学吸収法は、吸収能力および経済性および経済性などの点で高く評価されている。この方法では、CO_2吸収後のモノエタノ-ルアミンは水蒸気の作用によりCO_2を分離し再生される。しかし、長期間に亘る反復使用の後に劣化物を含んだ吸収液のCO_2吸収能力は低下し、吸収液は廃棄されている。本研究では、そのような使用済みモノエタノ-ルアミンを大腸菌Escherichia coli K12株を用いて生分解し、有価物の酢酸へと変換するバイオリアクタ-を考案し、培養条件が生物反応に及ぼす効果について検討した。培地成分について吟味した結果、モノエタノ-ルアミンはE.coliの生育のための窒素源となるが、効率良い増殖を望むためにはグリセロ-ルまたはグルコ-スなどの炭素源が不可欠であることがわかった。モノエタノ-ルアミンを分解するエタノ-ルアミンアンモニアリア-ゼは、その生合成および機能発現のためにビタミンB_<12>を必要とした。この酵素は、反応生成物のアセトアルデヒドにより不活性化したが、培養液中のアセトアルデヒドの蓄積を抑えるためにはアセトアルデヒドを酢酸へと変換するアルデヒドデヒドロゲナ-ゼの活性を高めることが大切であることがわかった。酢液は、これらの酵素の活性を低下させ、また細胞の増殖を抑制したためpH制御が生分解反応を促すことを演繹した。モノエタノ-ルアミン自身をpH制御用のアルカリ溶液とする新しい培養方法を考案し最適pH値を求めた。モノエタノ-ルアミンの処理産および酢液の生成量はpHが7.5の時に最大となり、処理量1g/(l・h)および酢液生産性0.9g/(l.h)が得られた。
著者
鈴木 孝弘 太田口 和久 小出 耕造
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.1224-1233, 1990-11-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
21
被引用文献数
2 4

化学物質の引火点と化学構造との定量的な関係は従来ほとんど検討されていない.本研究では引火点に関係している構造因子の次元数を見いだすために, 50種の化合物の引火点およびこれと何等かの関係がある他の10種の物性のデータセットについて主成分分析法による解析を行った.その結果, 引火点を記述するためには2つの構造因子だけで十分であることがわかった.第1の因子は分子のバルクすなわち大きさや形と関係していると考えられた.そしてこの因子は分子結合性とよい相関があることがわかった.第2の因子は寄与が小さいが, 分子中の官能基の特有な極性能と関係していると考えられ, 藤田の無機性値と相関づけることができた.この解析結果に基づき, 引火点を化学構造の情報のみから予測する推算式を提案した.さらに, 本推算式の適用性を検討するために164種のさまざまなタイプの化合物についてそれらの引火点の予測を行いその有用性を確認した.
著者
藤野 真人 篠崎 和夫 名取 幸和 太田口 和久
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.266-279, 2007 (Released:2007-08-01)
参考文献数
15

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