著者
田辺 和俊 鈴木 孝弘
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.A41-A48, 2021 (Released:2021-09-15)
参考文献数
15

全世界に蔓延している新型コロナウイルス(COVID-19)の日本における死亡要因を探るために,都道府県別の死亡率を目的変数とし,生活や健康,社会経済的要因など各種の指標を説明変数として重回帰分析による実証研究を試みた.目的変数と説明変数との非線形関係に対処するためにSupport Vector Machineを適用し,感度分析により要因を探索した.その結果,死亡率を上げる危険要因として生活保護,都市化,貧困率,サービス業,性比の5種,死亡率を下げる防御要因として単独世帯,食事,睡眠の3要因,併せて計8種の要因が得られた.特に,いわゆる「三密」に関連する都市化,サービス業,単独世帯の3要因の寄与がもっとも大きいこと,次いで貧困層の実態を反映する生活保護と貧困率の寄与が大きいことなど,新型コロナウイルスの予防対策に関して新規かつ有用な知見が得られた.
著者
平 朝彦 飯島 耕一 五十嵐 智秋 坂井 三郎 阪口 秀 坂口 有人 木川 栄一 金松 敏也 山本 由弦 東 垣 田中 智行 西村 征洋 鈴木 孝弘 木戸 芳樹 渡邊 直人 奥野 稔 井上 武 黛 廣志 小田 友也 濱田 泰治 室山 拓生 伊能 隆男 高階 實雄 勝又 英信 原田 直 西田 文明 南川 浩幸 金高 良尚
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.7, pp.410-418, 2012-07-15 (Released:2012-12-04)
参考文献数
20
被引用文献数
7 5

東北地方太平洋沖地震において関東地方を中心に前例のない広域的な液状化被害が報告されている.都市地盤における液状化現象を理解し,その対策を立てるには,液状化が地下のどこで起ったのかを同定することが極めて重要である.本報告では,千葉県浦安市舞浜3丁目のボーリングコア試料に対して,X線CTスキャン解析を実施し,非常に鮮明な地層のイメージの取得に成功した.この結果,地面下13 mまでの地層を5つのユニットに区分することができ,その中で6.15 mから8.85 mまでの間で地層のオリジナルな構造が破壊されており,液状化した層であると判定した.この手法は,今後の液状化研究に関して,大きな貢献が期待できる.
著者
田辺 和俊 鈴木 孝弘
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.247-267, 2019-10-15 (Released:2019-11-15)
参考文献数
93

近年のわが国の重大社会問題の一つである自殺には地域差が存在するため,都道府県別の自殺死亡率に有意な影響を与える要因の解明を目的とする実証研究を試みた.47都道府県の男女別年齢調整自殺死亡率を目的変数,それとの関連が推測される健康,経済,社会,自然分野の指標54種を説明変数としてサポートベクター回帰分析を行い,自殺死亡率に対する決定要因を探索し,その相対的影響度を推定した.その結果,男女別にそれぞれ12種の要因が得られ,男性では精神保健福祉士数,家計収入,患者数などの要因,女性では悩み相談,出生率,残業時間などの要因の影響が大きいことを見出した。また,これまで未検証の精神保健福祉士数や残業時間,精神状態が有意の影響を与えるが,自殺率との関係が深いとされてきた失業率や離婚率は決定要因にはならなかった.さらに,自殺率が最も高い秋田県について決定要因の結果に基づき自殺対策の提言を試みた.
著者
平 朝彦 飯島 耕一 五十嵐 智秋 坂井 三郎 阪口 秀 坂口 有人 木川 栄一 金松 敏也 山本 由弦 東 垣 田中 智行 西村 征洋 鈴木 孝弘 木戸 芳樹 渡邊 直人 奥野 稔 井上 武 黛 廣志 小田 友也 濱田 泰治 室山 拓生 伊能 隆男 高階 實雄 勝又 英信 原田 直 西田 文明 南川 浩幸 金高 良尚
出版者
The Geological Society of Japan
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.118, no.7, pp.410-418, 2012
被引用文献数
5

東北地方太平洋沖地震において関東地方を中心に前例のない広域的な液状化被害が報告されている.都市地盤における液状化現象を理解し,その対策を立てるには,液状化が地下のどこで起ったのかを同定することが極めて重要である.本報告では,千葉県浦安市舞浜3丁目のボーリングコア試料に対して,X線CTスキャン解析を実施し,非常に鮮明な地層のイメージの取得に成功した.この結果,地面下13 mまでの地層を5つのユニットに区分することができ,その中で6.15 mから8.85 mまでの間で地層のオリジナルな構造が破壊されており,液状化した層であると判定した.この手法は,今後の液状化研究に関して,大きな貢献が期待できる.
著者
田辺 和俊 鈴木 孝弘
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.223-242, 2015-09-28 (Released:2015-11-20)
参考文献数
160

近年,国家間あるいは各国内の所得格差が幅広い関心を集めている.格差の原因に関する理論的研究はこれまでに数多く行われているが,現実の所得分布を再現する理論モデルは未だ得られていない.所得格差の原因を解明する目的で,所得分配に影響すると考えられる要因を説明変数として回帰分析(OLS)を行い,決定要因を探索した実証的研究が多数報告されている.しかし,これまでは少数の説明変数と線形のOLSのために高い精度のモデルが得られていなかった.本研究では,非線形回帰分析手法の一つであるサポートベクターマシン(SVM)を用いて161カ国のジニ係数(目的変数)と経済,政治,教育,健康,技術分野の57種の説明変数との相関を解析し,感度分析法を用いて57種の変数の中から所得格差の決定要因を探索する実証研究を試みた.その結果,25種の要因によって161カ国のジニ係数を決定係数(R2)0.795という高い精度で再現するモデルを構築した.また,25種の決定要因の中では政治的要因の寄与が最大であり,次いでGDP等の経済的要因と医療費等の健康要因がほぼ同程度の寄与であることが判明した.
著者
鈴木 孝弘 田辺 和俊 中川 晋一
出版者
東洋大学自然科学研究室
雑誌
東洋大学紀要 自然科学篇 = JOURNAL OF TOYO UNIVERSITY NATURAL SCIENCE (ISSN:13468987)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.69-82, 2018-03

Elderly dementia would be considered as one of serious social issues in near future inJapan. A nonlinear regression method by support vector machine (SVM) was appliedto search factors related to patient rates of 47 prefectures among 34 kinds of lifestylehabit factors. Fourteen kinds of related factors were obtained; depression, alcohol,hyperlipidemia, hobby, fruits, stress disease, high blood pressure, soy product, cereal,fresh fish, cooking oil, exercise, fresh vegetable, and diabetes. Depression is the mostimportant factors to patient rates, and the relative significance of the related factors tothe patient rates of elderly dementia is discussed on the basis of their sensitivities. Theinformation obtained could be used for serving as a reference to factors which shouldbe verified in cohort or case-control studies for clarifying the causes of elderly dementiain Japan.
著者
田辺 和俊 鈴木 孝弘
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.247-267, 2019

<p> 近年のわが国の重大社会問題の一つである自殺には地域差が存在するため,都道府県別の自殺死亡率に有意な影響を与える要因の解明を目的とする実証研究を試みた.47都道府県の男女別年齢調整自殺死亡率を目的変数,それとの関連が推測される健康,経済,社会,自然分野の指標54種を説明変数としてサポートベクター回帰分析を行い,自殺死亡率に対する決定要因を探索し,その相対的影響度を推定した.その結果,男女別にそれぞれ12種の要因が得られ,男性では精神保健福祉士数,家計収入,患者数などの要因,女性では悩み相談,出生率,残業時間などの要因の影響が大きいことを見出した。また,これまで未検証の精神保健福祉士数や残業時間,精神状態が有意の影響を与えるが,自殺率との関係が深いとされてきた失業率や離婚率は決定要因にはならなかった.さらに,自殺率が最も高い秋田県について決定要因の結果に基づき自殺対策の提言を試みた.</p>
著者
鈴木 孝弘 太田口 和久 小出 耕造
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.1224-1233, 1990-11-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
21
被引用文献数
2 4

化学物質の引火点と化学構造との定量的な関係は従来ほとんど検討されていない.本研究では引火点に関係している構造因子の次元数を見いだすために, 50種の化合物の引火点およびこれと何等かの関係がある他の10種の物性のデータセットについて主成分分析法による解析を行った.その結果, 引火点を記述するためには2つの構造因子だけで十分であることがわかった.第1の因子は分子のバルクすなわち大きさや形と関係していると考えられた.そしてこの因子は分子結合性とよい相関があることがわかった.第2の因子は寄与が小さいが, 分子中の官能基の特有な極性能と関係していると考えられ, 藤田の無機性値と相関づけることができた.この解析結果に基づき, 引火点を化学構造の情報のみから予測する推算式を提案した.さらに, 本推算式の適用性を検討するために164種のさまざまなタイプの化合物についてそれらの引火点の予測を行いその有用性を確認した.