著者
岸本 真治 立石 順久 奥 怜子 橋口 直貴 中西 加寿也
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.207-211, 2022-12-28 (Released:2022-12-28)
参考文献数
10

心筋炎など呼吸不全以外のCOVID-19に伴う病態についてはいまだ不明な点が多い。今回, 呼吸不全を伴わない重症心筋炎症例を経験したので報告する。症例は新型コロナウイルスワクチン未接種の47歳, 女性。倦怠感を主訴に来院した。SARS-CoV-2関連検査が陽性で, 血液検査や心臓超音波, 心電図, 冠動脈造影検査の結果からCOVID-19関連心筋炎と臨床的に診断した。来院時ショック状態でVA-ECMOでの補助を要したが, 次第に心機能は回復し離脱できた。なお経過中, 呼吸状態は安定していた。COVID-19には呼吸不全を伴わない心筋炎のみの症例も存在することに留意し, ショックを呈する症例では, 心筋障害を評価する目的で心筋トロポニンを測定することがCOVID-19早期発見のために有用と考えられる。またCOVID-19関連心筋炎は急速に劇症化し得ることから, 早い段階から集学的治療が可能な医療機関での治療が望ましい。
著者
大網 毅彦 中西 加寿也 大島 拓 奥 怜子
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.409-413, 2012-07-01 (Released:2013-01-16)
参考文献数
15
被引用文献数
1

溶連菌感染の関与が示唆された中毒性表皮壊死症の1例を報告する。【症例】症例は38歳,男性。入院2日前から全身に皮疹を認め,近医からの投薬を受けていたが,皮疹に加え眼球口唇の発赤が出現し,当院受診となった。皮膚所見と病理所見からStevens-Johnson症候群と診断し,ステロイドパルス療法を開始した。入院3日目に皮疹が全身に拡大したため,中毒性表皮壊死症への進展と考えて,全身管理目的にICU入室となった。血漿交換に加え,免疫グロブリンと皮膚細菌培養で検出した溶連菌に対する抗菌薬投与を開始した。3日間連日の血漿交換により皮疹の拡大は一時的に抑えられたが,再び進行したためさらに3回追加施行し,以後,皮膚所見の順調な改善が得られた。【考察】本症例は薬剤の関与が否定的な中毒性表皮壊死症であり,溶連菌感染の関与が示唆された稀な1例と推察される。