- 著者
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間宮 俊太
阿部 恭久
笹川 真一
指山 浩志
立石 順久
落合 武徳
- 出版者
- 一般社団法人日本消化器外科学会
- 雑誌
- 日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
- 巻号頁・発行日
- vol.36, no.10, pp.1385-1389, 2003-10-01
- 参考文献数
- 10
- 被引用文献数
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8
症例は82歳の男性.全身倦怠感を主訴に2002年4月近医を受診.高度貧血を指摘され,5月23日当科紹介受診,同日精査目的で入院となった.上部消化管内視鏡検査にて胃体部に潰瘍を有する巨大粘膜下腫瘍を認め,腫瘍の生検結果はGIST,uncommitted typeであった.CTでは胃体部に巨大なtumorを,肝臓に巨大な転移性腫瘍,腹腔内に腹膜播種と思われるmassを広範囲に認め,手術不能と考え,在宅中心静脈栄養を行っていた.生検組織を再評価するとc-kit陽性であったため,2002年9月24日よりメシル酸イマチニブの投与を開始した(300mg/日).投与約4週後のCTでは主病巣,すべての転移巣にて著明な縮小を認め(縮小率90%),新たな病変の出現も認められずPRと判断した.副作用として同質性肺炎が出現し,いったん投与を中止したが,ステロイドパルス療法にて速やかに改善したため,ステロイドを併用しつつ投与を再開,現在も外来にて投与継続中である.