著者
小島 佐紀子 奥 裕乃 松月 弘恵
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.89-96, 2021 (Released:2021-02-01)
参考文献数
28

本研究は調理学実習と給食経営管理実習で衛生教育を科目間連携し、手指の洗い残し部位の可視化と質問紙の調査から、手洗い教育の課題を明らかにすることを目的とした。対象は2017年度に本学の管理栄養士専攻2年に在籍し、2018年1月(調理学実習後)および7月(給食経営管理実習後)の調査に回答した44人で、両手および手のひら・甲における洗い残し22部位の観察と、手洗いに関する8項目の重要度と実践度を質問し、調理学実習後と給食経営管理実習後で比較した。手指の洗い残し調査からは、結果を可視化し洗い残しを認識することで、給食経営管理実習後の両手の洗い残しが減った(p <0.001)。22部位のうち特に改善が認められたのは、手首と小指の付け根(各p <0.001)であった。手洗いの実践度では、調理学実習ですでに身に付いている項目と、給食経営管理実習を通して実践度が高まる項目、および改善しない項目に大別できた。実践度が低い項目には衛生教育だけでなく、環境整備により改善される可能性が示唆された。
著者
中岡 加奈絵 田辺 里枝子 奥 裕乃 山田 麻子 野田 聖子 星野 亜由美 祓川 摩有 五関‐曽根 正江
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.57-63, 2016 (Released:2016-04-15)
参考文献数
37
被引用文献数
3 6

高脂肪食におけるビタミンD制限によるアルカリホスファターゼ (ALP) 活性への影響について検討した。11週齢SD系雄ラットをコントロール食 (C) 群, ビタミンD制限食 (DR) 群, 高脂肪食 (F) 群, 高脂肪食でビタミンDを制限した食餌を与えた (FDR) 群の計4群に分けた。実験食開始28日後に, 大腿骨のALP活性は, DR群がC群と比べて有意に低値を示し, FDR群もF群と比べて有意に低値を示した。また, 十二指腸のALP活性においては, FDR群がF群と比べて有意に低値を示した。小腸ALPは, 腸内細菌由来のリポ多糖 (LPS) などを脱リン酸化して解毒していることが示唆されており, 高脂肪食摂取時におけるビタミンD制限が小腸ALP活性を低下させることにより, 腸内ホメオスタシスに影響を及ぼしている可能性が考えられた。