著者
松原 正樹 深山 覚 奥村 健太 寺村 佳子 大村 英史 橋田 光代 北原 鉄朗
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1_101-1_118, 2013-01-25 (Released:2013-03-05)

本論文では創作過程の視点に基づいて自動音楽生成に関するサーベイを行う.Shneidermanの創作過程の枠組みによれば,創作過程はCollect, Relate, Create, Donateの4つのフェーズからなる.計算機システム,ユーザ,システム設計者の3者全体を1つのトータルシステムと捉えると,創作においてそれぞれの要素が4つのフェーズをどう分担するか考えることができる.我々は既存の自動作曲・自動編曲・演奏表情付けシステムに対してこの観点から分析を行った.分類結果より各システムにおける4つのフェーズの共通項や差異を比較することができるようになり,音楽生成研究の進むべき方向性を示すことができた.
著者
竹川 佳成 植村 あい子 奥村 健太 高道 慎之介 中村 友彦 平井 辰典 森尻 有貴 矢澤 櫻子
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2016-MUS-112, no.10, pp.1-6, 2016-07-23

「新博士によるパネルディスカッション」 は,音楽情報科学の研究に取り組んできた博士号を取得したばかりの方を集め,研究の紹介,博士課程進学の動機,博士課程在学中のドラマ,今後の抱負などについてパネル形式で議論する.本稿では,今回パネリストとして参加していただく 7 名の新博士を紹介する.
著者
奥村 健太 酒向 慎司 北村 正
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.557-569, 2016-04-15 (Released:2016-04-20)
参考文献数
26

本稿では,特定の演奏者が持つ表情の特徴に忠実な演奏の自動生成を目的とした手法を提案する.多くの既存手法は演奏生成に際して演奏者が有するような専門知識の入力を必要とする.それらは使用者自身が演奏者として介在する用途には有用であるが,本提案の目的には不向きである.提案手法では演奏者による実際の演奏事例から得られる表情の特徴に対し,楽譜から専門知識を用いることなく得られる情報を関連付けたモデルを定義する.さらに楽譜の指示を基準に用い,個々の演奏事例について定義したモデル群をその表情の特徴別に分類することで,任意の演奏事例に付与された表情の特徴と楽譜の指示との因果関係を体系的に記述した規則を構造化できる.この構造を辿ることで,未知の楽譜の指示に対応する演奏事例の候補が得られる.これらの候補の中から最適な表情を備えた演奏事例の系列を探索する問題を,動的計画法の適用によって解決する.客観評価実験により,提案手法は最適な事例の系列を効率的に探索できることを示した.また,主観評価実験によって提案手法による表情の品質の高さを確認したほか,多様な楽曲で演奏者に忠実な表情の特徴を再現できることを示した.なお,提案手法による演奏は,自動演奏表情付けシステムのコンテストにおいて自律生成部門の第1位を獲得している.