著者
藤田 徹 北原 鉄朗 片寄 晴弘 長田 典子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.12, pp.199-204, 2008-02-09
参考文献数
7

本論文では,アーティストの音楽的特徴を抽出し定量的に扱う手がかりとして,テトラコルド論に着目した音楽分析の結果を報告する.テトラコルド論では,完全4度の音程関係にある2音(核音)と,その中間音(補助音)から作られる音列をテトラコルドと定義し,この音列の組み合わせで様々な音階が作られるとされている.本論文では従来のテトラコルドを内側テトラコルド,補助音が核音の外側にあるテトラコルドを外側テトラコルドと新たに定義し,全48種類のテトラコルドに対してそれぞれの出現確率を調べた.この分析を久石譲,坂本龍一,葉加瀬太郎,小室哲也,西村由紀江の5アーティストと日本民謡,沖縄民謡,クラシックの3ジャンルに対して行った結果, 日本民謡や久石,坂本の楽曲に高い確率でテトラコルドが出現した.また,内側テトラコルドが多いほどメロディの予期性が高く、外側テトラコルドが多いほど意外性が高いことが分かった.さらに得られた出現確率データに主成分分析,線形判別分析による多次元空間へのマッピングを行い,それぞれのジャンルやアーティストの区別にどのようなテトラコルドが寄与しているかを示した.This paper reports the result of a music analysis focused on Tetrachord theory in order to extract and quantify the characteristics of a musician. According to tetrachord theory, a tetrachord is defined as a series of three tones where two core tones are related by a perfect fourth and a single auxiliary tone is placed between the two core tones. From these chordal combinations various types of scales are derived. In this study, however, we define the traditional structured tetrachord as an "inside-tetrachord" and a tetrachord structure where the auxiliary tone is placed outside the perfect fourth as an "outside-tetrachord." We investigated the frequency in which all 48 tetrachords occur to analyse music composed by five Japanese musicians: Joe Hisaishi, Ryuichi Sakamoto, Taro Hakase, Tetsuya Komuro, and Yukie Nishimura, and in three genres: Japanese folk song, Okinawa folk song, and classical music. We found that tetrachords appear more frequently in Hisaishi and Sakamoto's music and in Japanese folk songs. Additionally, the more predictable a melody is the more frequently inside-tetrachords appear, while the more unpredictable a melody is the more frequently outside-tetrachords appear. Furthermore, we showed which tetrachord contributes to distinguish different musicians and music genres by mapping the frequency rate obtained into a feature space using PCA and linear discriminant analysis.
著者
甚野 健太 大野 涼平 北原 鉄朗
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.141-142, 2018-03-13

声優やアイドルのライブにおいて,観客側からアーティスト側へ向けた行動として,独特な合いの手が存在する.近年,合いの手の一種として「PPPH」というものが用いられている.本研究では,「PPPH」が入る楽曲に関して,音響特徴量との関係を分析したので報告する.
著者
松原 正樹 深山 覚 奥村 健太 寺村 佳子 大村 英史 橋田 光代 北原 鉄朗
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1_101-1_118, 2013-01-25 (Released:2013-03-05)

本論文では創作過程の視点に基づいて自動音楽生成に関するサーベイを行う.Shneidermanの創作過程の枠組みによれば,創作過程はCollect, Relate, Create, Donateの4つのフェーズからなる.計算機システム,ユーザ,システム設計者の3者全体を1つのトータルシステムと捉えると,創作においてそれぞれの要素が4つのフェーズをどう分担するか考えることができる.我々は既存の自動作曲・自動編曲・演奏表情付けシステムに対してこの観点から分析を行った.分類結果より各システムにおける4つのフェーズの共通項や差異を比較することができるようになり,音楽生成研究の進むべき方向性を示すことができた.
著者
栗原 拓也 木下 尚洋 山口 竜之介 横溝 有希子 竹腰 美夏 馬場 哲晃 北原 鉄朗
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.1073-1092, 2017-05-15

本稿では,カラオケにおいて歌ってない人に対してタンバリンの演奏を促すことで,歌ってない人もカラオケを楽しみ,盛り上げることができるシステムを提案する.カラオケに行った際に,歌われている曲を知らなかったり,どのようにして一緒に盛り上げてよいか分からず,ただ曲を聴いているだけで退屈をしてしまう人は少なくない.そのような場合に対して,カラオケ店に置いてあるタンバリンの使用を促すため,どのようにタンバリンを演奏するか自動で生成・表示し,ゲーム風の画面により正しく叩けているかをフィードバックする.しかし,これだけではタンバリン演奏者が1人でタンバリンの演奏をゲーム感覚で楽しんでしまい,歌唱者や他の人と一体になってカラオケを楽しむ目的からは外れてしまう可能性がある.そこで,歌唱者も含めて全員がタンバリン演奏に参加するようにする.システムを実装し,実際にカラオケ店で実験したところ,次の可能性が示唆された.(I)本システムによりワンパターンなタンバリン演奏を防ぐことができる.(II)タンバリン奏者が知らない楽曲に対しては,譜面の表示によりタンバリンを演奏しやすくなる.(III)カラオケの一体感を高めるには,全員がタンバリン演奏に参加することが効果的である.一方,次のような課題も明らかになった.(i)生成されるタンバリン譜の難度が高く,正確なリズムで演奏できない場合があり,その場合むしろ歌いにくくなる.(ii)タンバリン演奏がうるさく感じられる場合がある.(iii)歌い手がタンバリンを叩く際に,歌いながらタンバリンを叩くのが難しい場合がある.
著者
藤田 徹 北原 鉄朗 片寄 晴弘 長田 典子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.12, pp.199-204, 2008-02-09

本論文では,アーティストの音楽的特徴を抽出し定量的に扱う手がかりとして,テトラコルド論に着目した音楽分析の結果を報告する.テトラコルド論では,完全4度の音程関係にある2音(核音)と,その中間音(補助音)から作られる音列をテトラコルドと定義し,この音列の組み合わせで様々な音階が作られるとされている.本論文では従来のテトラコルドを内側テトラコルド,補助音が核音の外側にあるテトラコルドを外側テトラコルドと新たに定義し,全48種類のテトラコルドに対してそれぞれの出現確率を調べた.この分析を久石譲,坂本龍一,葉加瀬太郎,小室哲也,西村由紀江の5アーティストと日本民謡,沖縄民謡,クラシックの3ジャンルに対して行った結果, 日本民謡や久石,坂本の楽曲に高い確率でテトラコルドが出現した.また,内側テトラコルドが多いほどメロディの予期性が高く、外側テトラコルドが多いほど意外性が高いことが分かった.さらに得られた出現確率データに主成分分析,線形判別分析による多次元空間へのマッピングを行い,それぞれのジャンルやアーティストの区別にどのようなテトラコルドが寄与しているかを示した.This paper reports the result of a music analysis focused on Tetrachord theory in order to extract and quantify the characteristics of a musician. According to tetrachord theory, a tetrachord is defined as a series of three tones where two core tones are related by a perfect fourth and a single auxiliary tone is placed between the two core tones. From these chordal combinations various types of scales are derived. In this study, however, we define the traditional structured tetrachord as an "inside-tetrachord" and a tetrachord structure where the auxiliary tone is placed outside the perfect fourth as an "outside-tetrachord." We investigated the frequency in which all 48 tetrachords occur to analyse music composed by five Japanese musicians: Joe Hisaishi, Ryuichi Sakamoto, Taro Hakase, Tetsuya Komuro, and Yukie Nishimura, and in three genres: Japanese folk song, Okinawa folk song, and classical music. We found that tetrachords appear more frequently in Hisaishi and Sakamoto's music and in Japanese folk songs. Additionally, the more predictable a melody is the more frequently inside-tetrachords appear, while the more unpredictable a melody is the more frequently outside-tetrachords appear. Furthermore, we showed which tetrachord contributes to distinguish different musicians and music genres by mapping the frequency rate obtained into a feature space using PCA and linear discriminant analysis.
著者
甚野 健太 大野 涼平 北原 鉄朗
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.141-142, 2018-03-13

声優やアイドルのライブにおいて,観客側からアーティスト側へ向けた行動として,独特な合いの手が存在する.近年,合いの手の一種として「PPPH」というものが用いられている.本研究では,「PPPH」が入る楽曲に関して,音響特徴量との関係を分析したので報告する.
著者
大塚 匡紀 北原 鉄朗
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.419-420, 2015-03-17

本稿では、MIDIギターとNMFによる音響信号処理を統合し、リアルタイムに自動採譜を行う手法について述べる。MIDIギターは、DAWなどで作曲をするギタリストには有用であるが、弦の振動をピックアップで取得する構造のため、ピッキングの取りこぼしなどが発生し、MIDIキーボードに比べると入力される演奏情報の正確性に難がある。そこで、MIDIギターピックアップによる処理とNMFによる音響信号処理を統合し、お互いに長所と短所を補正することにより、採譜の高精度化を目指す。
著者
北原 鉄朗 勝占 真規子 片寄 晴弘 長田 典子
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.1067-1078, 2009-03-15
被引用文献数
1 1

本論文では,ベイジアンネットワークを用いたコードネームからの自動ヴォイシングシステムについて述べる.ヴォイシングは音楽的同時性や音楽的連続性を考慮しながらテンションや転回形を決定する必要があり,自動的に決定するのは容易ではない.この問題を解決するため,メロディやヴォイシング進行を考慮した事例学習型のコード·ヴォイシングモデルを構築する.このモデルでは,音楽的同時性と連続性を,「現在のコード」のヴォイシングを表すノードとメロディや前後のコードのヴォイシングを表すノードとの確率的な依存関係として表現する.このモデルにおいて最ももっともらしいヴォイシングを確率的推論によって導くことで,音楽的同時性と連続性を両方満たすヴォイシングを得ることができる.実際にジャズの楽譜から学習したヴォイシング推定モデルによって実験したところ,音楽的同時性と連続性を両方満たすヴォイシングが出力されることを確認した.This paper describes an automatic chord voicing system using the Bayesian network. Automatic chord voicing is not easy because it is necessary to decide tension notes and inversions by taking into account both musical simultaneity and sequentiality. To solve this problem, we construct a chord voicing model based on the Bayesian network. This model represents musical simultaneity as probabilistic dependencies between voicing and melody nodes and sequentiality as probabilistic dependencies between current-chord and previous- or followingchord voicing nodes. This modeling makes it possible to infer the most likely voicings that have both simultaneity and sequentiality. Experimental results of chord voicing for jazz musical pieces showed that our system generated chord voicings that have appropriate simultaneity and sequentiality.
著者
橋田 光代 片寄 晴弘 平田 圭二 北原 鉄朗 鈴木 健嗣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.127, pp.67-72, 2008-12-12
参考文献数
5
被引用文献数
6

演奏表情付け研究における評価研究プロジェクトとして 2002 年よりスタートした Rencon プロジェクトでは,2008 年 8 月 25~27 日,音楽の知覚と認知に関する国際会議 ICMPC との共催で,第 7 回演奏表情付けコンテスト ICMPC-Rencon を開催した.今回,初めての試みとして,今回は,人間による手作業の修正を極力排除した自律システム部門と,人間による演奏表情付けを主目的としたシステムのための打ち込み部門とを設け,当日発表の新曲に制限時間つきで演奏生成させるという条件のもとでコンテストを実施した.また,エンターテイメントイベントとして 「観客に見せる」 ことに重点を置き,演奏生成処理の様子や制作者らへのインタビュー,自動ピアノでの再生といった,会場での演出に対する工夫も行った.本稿では, ICMPC-Rencon 実施概要について報告するとともに,実施内容に対する検討について述べる.Rencon (Performance Rendering Contest) is an annual international competition at which entrants present the computer systems they have developed for generating expressive musical performances and audience members and organizers judge the performances. At the ICMPC10, the competition consisted of an autonomous section (for evaluating the ability of the entered systems to generate performances autonomously) and a system-supported section (for evaluating human performances done using computer systems). In this paper, we report the overview of the competition and discuss some of our innovation such as stage-managing as an entertainment and developing an Internet voting system.
著者
浜中 雅俊 東条 敏 平田 圭二 吉井 和佳 北原 鉄朗
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

メロディレンダリングの自動化を達成する.構築するシステムではまず,ユーザが作成中のメロディで変更 したい部分を選択する.すると,タイムスパン木分析器が付近のメロディを分析しタイムスパン木が抽出され る.次に,メロディレンダリングによって,タイムスパン木の構造を維持しながら差し替えできるメロディ候補が複数作成される.そして,メロディ候補が提示されユーザが選択する.これを繰り返していくことでメロディに変更を加え,メロディ全体がユーザの意図に近づいていく.レンダリングシステムは,作曲家の生産性を向上するツールとなることが期待される.
著者
草野 有沙 西 由佳梨 北原 鉄朗
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.187-188, 2018-03-13

社会問題として若者の活字離れが問題視されている。一方で、スマートフォンやタブレットといったスマートデバイスの普及率が増加現象にあり、中でも若者はスマートデバイスを用いてゲームを頻繁に行っている。そこで我々は読書を習慣としない若者に対して読書を促進する音楽付き読書アプリを提案する。本システムでは、アニメーションや音楽を用いてゲームのような感覚で本を読むことができる。
著者
山本 雄也 叢 悠悠 島村 龍太郎 菅野 幸夫 北原 鉄朗 糸山 克寿
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2022-MUS-133, no.7, pp.1, 2022-01-18

本稿では第 133 回音楽情報科学研究会における既発表の国際会議・萌芽・デモ・議論セッションの発表内容について述べる.本セッションでは, 査読付きジャーナルもしくは国際会議にて既発表の研究成果や,これからの発展が期待される萌芽的な研究まで,幅広くポスター発表・デモ・議論できる場である.今回のセッションでは,合計 4 件の発表が行われる.
著者
田原 花蓮 植村 あい子 北原 鉄朗
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2021-MUS-130, no.9, pp.1-8, 2021-03-09

本研究は既存のポピュラー音楽をファミコン風の音楽に自動編曲することを目的としたものである.ファミコン音楽は最大同時発音数が 4 音までという制約が決められているため,音を削除しなければならない.そこで各パートに対して適切な音削除が行えるよう,各パートに対して音を簡略化する「変換ルール」を複数設計し,遺伝的アルゴリズム (genetic algorithm:GA) を用いて最も相応しい変換ルールをパートごとに決定していく手法を用いてファミコン風音楽の生成を行った.MIDI ファイルを用いてファミコン風アレンジを行い,主観評価と客観評価に分けて評価実験を行った.主観評価では,プロの作曲家に評価(1 から 7 の 7 段階)してもらったところ,リズムの自然さについては,変換ルールありで小節ごとに GA を行ったアレンジ 1 では平均 5.8 が得られた.一方,主旋律とベース以外のパートの選び方の妥当性については,ランダムよりも低い結果になるなど,課題が残った.客観評価では,変換ルールありで小節ごとに GA を行ったアレンジ 1,続いて変換ルールなしで小節ごと GA を行ったアレンジ 4 が総合的に高い評価が確認できた.
著者
松方翔吾 寺澤洋子 松原正樹 北原鉄朗
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS)
巻号頁・発行日
vol.2013-MUS-99, no.39, pp.1-5, 2013-05-04

本研究は,トランペット演奏時の口唇周囲の筋活動を解析することを目的とする.口唇周囲の筋肉は口の形(アンブシュア)を一定に保つために深く関わっており,アンブシュアを保つことはトランペットを上手に演奏するために必要とされている.従来研究では,音の高さや強さ,楽器習熟度の観点からトランペット演奏時の口唇周囲の筋活動を解析していたが,プレイヤーの演奏可能な音域や他楽器の演奏経験を考慮していなかった.そこで我々は,それらの問題を解決するために,口唇周囲の筋活動(上唇の口輪筋,下唇の口輪筋,口角下制筋,口角挙筋)を表面筋電図を用いて解析した.その結果,次のことが分かった.(1)低い音より高い音を演奏中の方が筋活動が活発になるが,その度合いは演奏者の演奏可能な音域によって変化する.(2)初心者は上唇より下唇の筋活動の方が活発であり,熟達者はその違いはない.そして,トランペットと同様に唇を震わせて演奏する金管楽器の奏者は,初心者と同じような筋活動を示す.
著者
草野 有沙 西 由佳梨 北原 鉄朗
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.60, no.11, pp.1978-1982, 2019-11-15

本稿では,テキストの順次表示機能とBGM機能により読書を促進するモバイルアプリケーションを提案する.読書に興味を持ちつつもあまり読書を行わない人々がいる.このような人々に対して,書籍の内容をゲーム風に表示できれば,読書のとっつきにくさは軽減されると予想される.本アプリでは,ロールプレイングゲームのようにテキストを1文字ずつ表示し,BGMを小見出しごとに切り替える.25名による実験の結果,よく読書をする人以外に対しては高い評価を得ることができた.
著者
中條 早織 豊田 裕也 北原 鉄朗
雑誌
第78回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, no.1, pp.591-592, 2016-03-10

演劇は様々な芸術的表現が組み合わさり作られるものである。舞台によって演出プランや役者の動き方は変化する。しかし本番の舞台で練習することはあまりできず、多くの場合本番の直前のみになってしまうのが現状である。さらに初心者にとって舞台全体を頭の中でイメージすることや、スタッフ全員でそのイメージを共有することは容易ではない。そこで本研究では演劇初心者へ舞台づくりの支援となる Android 端末を用いた Unity3D アプリケーションによるシステムを提案する。本アプリケーションを使用することでよりよい演出プランが生まれたり、スタッフ全員での演出との意図を合わせやすくなり、より一体感のある舞台の完成が期待できる。
著者
橋田 光代 松井 淑恵 北原 鉄朗 片寄 晴弘
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.1090-1099, 2009-03-15

音楽研究用のデータベースは近年の音楽情報検索技術の発展とともに整備されつつあるが,音楽の印象を決定づけるうえで重要な役割を担っている演奏表情を扱った共通データベースは,一部の民俗音楽学を対象とするものに限られてきた.我々は,音楽情報科学,音楽知覚認知,音楽学などにおける共通研究基盤の構築を目的として,伝統的西洋音楽におけるピアノ演奏を対象とした演奏表情データベースCrestMusePEDBの作成を進めている.現在,ver.1.0/2.0として計60演奏に対する演奏表情データが用意され,本データベースを利用した連携プロジェクトも開始された.本論文では,音楽演奏表情データベース構築上の課題を整理したうえで,CrestMusePEDBの概要,演奏表情データの作成手順について述べ,現在の利用状況,応用領域,課題について議論する.
著者
北原 鉄朗 後藤 真孝 駒谷 和範 尾形 哲也 奥乃 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.89, no.12, pp.2721-2733, 2006-12-01
参考文献数
25
被引用文献数
2

本論文では,多重奏に対する音源同定において不可避な課題である「音の重なりによる特徴変動」について新たな解決法を提案する.多重奏では複数の楽器が同時に発音するため,各々の周波数成分が重なって干渉し,音響的特徴が変動する.本研究では,混合音から抽出した学習データに対して,各特徴量のクラス内分散・クラス間分散比を求めることで,周波数成分の重なりの影響の大きさを定量的に評価する.そして,線形判別分析を用いることで,これを最小化するように特徴量を重み付けした新たな特徴量軸を生成する.これにより,周波数成分の重なりの影響をできるだけ小さくした特徴空間が得られる.更に,音楽的文脈を利用することで音源同定の更なる高精度化を図る.実楽器音データベースから作成した二重奏〜四重奏の音響信号を用いた実験により,二重奏では50.9%から84.1%へ,三重奏では46.1%から77.6%へ,四重奏では43.1%から72.3%へ認識率の改善を得,本手法の有効性を確認した.