著者
奥村 弥生 森田 愛望 青木 多寿子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.90.17343, (Released:2019-07-10)
参考文献数
16
被引用文献数
2

This study aimed to examine the relationship between parents’ involvement in adolescents’ career decision making and its effect on the independence and adaptability of university students. Questionnaires were completed by 180 university students. The results revealed that parents’ involvement was positively related to the dependency and obedience of adolescents, and that decision-making ability was negatively related to obedience. Parents’involvement also decreased decision-responsibility, although it increased decision-making ability. In addition, parents’ involvement was related to students’ satisfaction with university life. First, decision-making ability was positively related to satisfaction with university life. Second, when decision-making ability was high, parents’involvement was not related to satisfaction, while the contrary was also true. When career decision making was difficult, parents’ involvement may have supported better career decision making. In conclusion, it is better that parents are not too involved and encourage decision-making; however, if this is difficult, giving support is better than leaving them alone.
著者
奥村 弥生
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.403-413, 2008-09-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
22
被引用文献数
5 8

人は, 自分の怒りを恥ずかしいと感じたり, 自分の悲しみを大切なものと思うなど, 自己の情動に対して評価を抱くことがある。このような「自己が経験した情動に対する肯定・否定の価値づけを伴う評価」について, 本研究では「情動への評価」として取り上げ, 大学生ら558名に質問紙調査を行って検討した。分析1で, 情動への評価を測定する尺度を作成し, 信頼性・妥当性の検討を行った。この情動への評価尺度は,「他者懸念」「必要性」「負担感」の3つの下位尺度から構成された。次に分析2で, 情動への評価と情動認識困難および情動言語化困難との関連について検討した。その結果, 情動への否定的評価 (「他者懸念」と「負担感」) は, 認識困難・言語化困難傾向と正の関連を持っていた。これにより, 情動への評価は, 情動がシグナルとして適応的に機能するか否かに重要な役割を担っていることが示唆された。
著者
奥村 弥生
出版者
山梨英和学院 山梨英和大学
雑誌
山梨英和大学紀要 (ISSN:1348575X)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.A59-A68, 2011 (Released:2020-07-20)

本研究では,情動の抑制と統制可能感という二つの次元から捉えた表出統制モデルを提示し,情動への評価との関連を通して検討を行った。大学生186名に質問紙調査を行った。分析の結果,怒りの場合は,統制可能感が高いと情動への否定的評価が低く,肯定的評価が高いことが示された。悲しみの場合は,男性の場合に抑制と統制可能感の交互作用が認められた。抑制が高い場合に,統制可能感が低い方(出せない)が高い方(出さない)よりも否定的評価が高いことなどが示された。これについて,各情動の特徴や性役割期待の影響という視点から考察を行った。以上の結果から,抑制と統制可能感による二次元表出統制モデルの有用性と,各スタイルにおける情動への評価の違いが示された。