著者
紙谷 喜則 イッサザカリア アブドゥルスディ 比恵島 裕美 守田 和夫 八木 史郎
出版者
農業生産技術管理学会
雑誌
農業生産技術管理学会誌 (ISSN:13410156)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.23-27, 2009-07-15 (Released:2019-04-12)
参考文献数
14
被引用文献数
1

市販されているpH12程度の次亜塩素酸ナトリウムは100-200mg/Lに希釈すると次亜塩素酸の存在濃度が一番高くなる.大腸菌を用いたインビトロ試験および,レタスを用いた殺菌効果確認試験では,中性から酸性域にかけて,次亜塩素酸ナトリウム水の殺菌効果は次亜塩素酸濃度に依存していることが確認された.レタスを次亜塩素酸ナトリウム水に浸漬後のすすぎ水pHを3-10まで変化させた場合にも,中性から酸性域おいては次亜塩素酸を形成することにより殺菌効果が上昇することが確かめられた.しかし,アルカリ域においてもpH10にて殺菌効果が増大する傾向が見られた.アルカリ性を呈する主因が水酸化ナトリウムであることから洗浄・剥離効果による物理的除去である可能性が考えられた.次亜塩素酸ナトリウム溶液を純水で希釈する場合100〜200mg/Lに希釈して用いることが望ましい.殺菌効果を高めるにはすすぎ水pHを4以下にすると良いことが確認された.
著者
紙谷 喜則 イッサ.ザカリア アブドゥルスディ 比恵島 裕美 守田 和夫 八木 史郎
出版者
The Society of Agricultural Structures, Japan
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.141-146, 2008-09-25 (Released:2011-09-05)
参考文献数
10

強酸性電解水は, 次亜塩素酸塩を含むため, 強い殺菌効果があることが知られている。その殺菌効果により, 手指消毒液生成装置として医療機器に承認され, また, 食品添加物として日本の厚生労働省によって認可された。現在, 強い農薬を使用している農業分野では, 代替農薬として使用されることが期待されている。農業の分野では, 主に, 地下水を使用して電解水を生成される。地下水には様々なイオン種が存在するために, 強酸性電解水を生成する上でpHバッファー効果を有する。従って, 被電解水の水質が強酸性電解水の殺菌効果へ及ぼす影響を検討した。試験に使用される被電解水は, 日本の地下水の水質調査結果からアルカリ度に注目し, NaHCO3を希釈調整して用いた。本報告書では, 炭酸イオンの濃度と強酸性電解水のpHの相関を確認した。電気分解に用いられる原水のアルカリ度 (炭酸イオンに濃度) が0mg/L (純水) の時に, 食品添加物に規制された中心値 (pH2.5) になる電解電流値は8Aであった。この電解電流値で生成すると, 炭酸イオン濃度が68mg/Lの時, 食品添加物に規制された上限 (pH2.7) となることが確認された。また, 日本で使用される地下水の最大アルカリ度は150mg/L以下であり, その時のpHは3.3まで上昇した。pH3.3とpH2.7 (規格値上限) にて同じ有効塩素濃度に調整し, 大腸菌を用いて殺菌速度を比較したところ, pH3.3の方が早い傾向が見られた。強酸性電解水の生成に炭酸イオンを含んだ, 地下水を使用しpH承認範囲 (pH2.5±0.2) から外れ, pHが3.3になったとしても, 大腸菌を用いて確認した結果, 殺菌速度に大きな影響は無かった。
著者
大久保 孝雄 田中 俊一郎 田中 史彦 辻 聡 守田 和夫 ウラサ リチャードルーカス
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.110-116, 2000-09-01

生籾の低温乾燥では品質の劣化を促進する化学反応が抑制されるため, 高品質米の生産が可能であることが示唆されている. 本研究では生籾の充填層および多段式乾燥装置における乾燥解析モデルを構築し, 生籾の冷却乾燥過程における籾水分を予測した. その結果, 実験値と計算値はよく一致し, モデルの妥当性が実験的に検証された. また, 冷却乾燥では水分むらの少ない均一乾燥が達成されることが明らかになった.
著者
田中 俊一郎 田中 史彦 大久保 孝雄 前田 欣治 守田 和夫 ウラサ リチャードルーカス
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械學會誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.104-109, 2000-09-01
被引用文献数
1

初期含水率23.5%d.b. の生籾 (品種: ヒノヒカリ) の通風乾燥特性について研究を行った。実験は, 5, 10, 15, 20℃の4段階の温度条件に対し, 6.31~87.1%の範囲で7段階の相対湿度条件を設定して, 籾薄層の低温空気通風下における乾燥特性を明らかにした。その結果, 以下の知見を得たので報告する。1) 生籾の乾燥は減率乾燥第2段の乾燥速度式により律速される, 2) 生籾の薄層における乾燥モデル式として球モデルの適合性が高い, 3) 球モデルを仮定することによって決定した乾燥速度定数は温湿度に依存する, 4) 生籾の平衡含水率は Chen-Clayton 式を当てはめることにより温湿度の関数として整理される, 5) 生籾に含まれる水分の蒸発潜熱が熱力学的に算出された。以上の成果は, 生籾の常温以下での乾燥を行う上で基礎となる。