著者
紙谷 喜則 イッサザカリア アブドゥルスディ 比恵島 裕美 守田 和夫 八木 史郎
出版者
農業生産技術管理学会
雑誌
農業生産技術管理学会誌 (ISSN:13410156)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.23-27, 2009-07-15 (Released:2019-04-12)
参考文献数
14
被引用文献数
1

市販されているpH12程度の次亜塩素酸ナトリウムは100-200mg/Lに希釈すると次亜塩素酸の存在濃度が一番高くなる.大腸菌を用いたインビトロ試験および,レタスを用いた殺菌効果確認試験では,中性から酸性域にかけて,次亜塩素酸ナトリウム水の殺菌効果は次亜塩素酸濃度に依存していることが確認された.レタスを次亜塩素酸ナトリウム水に浸漬後のすすぎ水pHを3-10まで変化させた場合にも,中性から酸性域おいては次亜塩素酸を形成することにより殺菌効果が上昇することが確かめられた.しかし,アルカリ域においてもpH10にて殺菌効果が増大する傾向が見られた.アルカリ性を呈する主因が水酸化ナトリウムであることから洗浄・剥離効果による物理的除去である可能性が考えられた.次亜塩素酸ナトリウム溶液を純水で希釈する場合100〜200mg/Lに希釈して用いることが望ましい.殺菌効果を高めるにはすすぎ水pHを4以下にすると良いことが確認された.
著者
八木 史郎 畑 邦彦 馬田 英隆
出版者
鹿児島大学農学部演習林
雑誌
鹿児島大学農学部演習林研究報告 (ISSN:13449362)
巻号頁・発行日
no.40, pp.49-66, 2013-03

鹿児島のキノコ(1)(馬田ら2009)と(2)(八木ら2011)に記述されたように,日本は,北から南まで多様な森林相をもち,それに対応するようにキノコ相も異なっている。最近の温暖化とも関連してキノコは,環境指標や,森林保護の点から,また食を含む生物資源としての点からもっと知識の集積が必要であるが,特に南九州においてはまだ不十分な状況にある。筆者らは,南九州キノコ会を立ち上げ,2006年から定期的に観察会を開催してきた。前2報は2006年~2007年,2008年~2009年の観察会で見られたキノコを資料としてまとめたものであった。本報告書は2010~2012年の観察会第18回から32回の観察記録を資料としたものである。観察場所は,紫尾山,県民の森,清浦,八重山,吉野公園,高隈演習林,藺牟田池周辺,吹上浜の8地点であった。この間には,梅雨時では豪雨のために中止,順延が多く,また紫尾山においては雷雨による中止や短時間で切り上げという事もあった。第22回観察会の記録としては10種以上観察されたがPCの不具合で記憶にあった2種のみの記載とした。過去7年間に観察されたきのこの属する科名を表1に示す。観察されたきのこの種類は種を特定できたと判断したものだけで300種を超える。観察されたきのことしてはキシメジ科,フウセンタケ科,イグチ科,ベニタケ科,タコウキン科のものが多かった。きのこの分類は現在DNAの一部の比較によって大きく変わりつつあり,まだその作業は進行している途中に有り,十分に落ち着いていない現状であるので,本資料はこれまでの形態的分類によるものを基準とし,新しい分類に立脚した資料とはしていない。
著者
紙谷 喜則 イッサ.ザカリア アブドゥルスディ 比恵島 裕美 守田 和夫 八木 史郎
出版者
The Society of Agricultural Structures, Japan
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.141-146, 2008-09-25 (Released:2011-09-05)
参考文献数
10

強酸性電解水は, 次亜塩素酸塩を含むため, 強い殺菌効果があることが知られている。その殺菌効果により, 手指消毒液生成装置として医療機器に承認され, また, 食品添加物として日本の厚生労働省によって認可された。現在, 強い農薬を使用している農業分野では, 代替農薬として使用されることが期待されている。農業の分野では, 主に, 地下水を使用して電解水を生成される。地下水には様々なイオン種が存在するために, 強酸性電解水を生成する上でpHバッファー効果を有する。従って, 被電解水の水質が強酸性電解水の殺菌効果へ及ぼす影響を検討した。試験に使用される被電解水は, 日本の地下水の水質調査結果からアルカリ度に注目し, NaHCO3を希釈調整して用いた。本報告書では, 炭酸イオンの濃度と強酸性電解水のpHの相関を確認した。電気分解に用いられる原水のアルカリ度 (炭酸イオンに濃度) が0mg/L (純水) の時に, 食品添加物に規制された中心値 (pH2.5) になる電解電流値は8Aであった。この電解電流値で生成すると, 炭酸イオン濃度が68mg/Lの時, 食品添加物に規制された上限 (pH2.7) となることが確認された。また, 日本で使用される地下水の最大アルカリ度は150mg/L以下であり, その時のpHは3.3まで上昇した。pH3.3とpH2.7 (規格値上限) にて同じ有効塩素濃度に調整し, 大腸菌を用いて殺菌速度を比較したところ, pH3.3の方が早い傾向が見られた。強酸性電解水の生成に炭酸イオンを含んだ, 地下水を使用しpH承認範囲 (pH2.5±0.2) から外れ, pHが3.3になったとしても, 大腸菌を用いて確認した結果, 殺菌速度に大きな影響は無かった。
著者
山内 正仁 松元 皓隆 山田 真義 八木 史郎 村山 陵 山口 善敬 山口 隆司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.85-92, 2012 (Released:2012-04-20)
参考文献数
15
被引用文献数
1

本研究では,まずきのこ栽培用の焼酎粕・でん粉粕培地の臭気物質の同定と定量を行った.その結果,アセトイン,酪酸,ジアセチルが主成分となり,これらにその他の臭気物質が混ざり合うことで独特の不快な臭いを発していることが示唆された.また,これらの臭気物質は培地に菌糸が蔓延するにつれて消失した.つぎに液体培地を用いて,主成分の臭気物質の消臭メカニズムを検討した.その結果,これらの臭気物質は菌体外酵素の働きで消失している可能性は低く,きのこ菌糸そのもので分解されている可能性が高いことが示唆された.さらに,臭気指数およびにおいの質について調査し,焼酎粕・でん粉粕培地の臭いは,培養が進むにつれて培地本来の酸っぱい臭いから,きのこの匂いへ,においの質が変わると同時に,臭気指数は減少することが明らかになった.