著者
布施 孝志 安井 仁 清水 英範
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.496-504, 2006 (Released:2006-09-20)
参考文献数
26
被引用文献数
2

江戸市中における景観において,富士山等の遠地形は重要な要素の一つであったといわれている.しかしながら,史料に記述された地点以外における遠地形の視認可能性は,これまでのところ議論されていない.本研究では,当時の人々の眺望対象であった遠地形が江戸市中のいかなる地点から視認できたか,その可能性について分析を行うことを目的とする.最初に,古地図の幾何補正を行い,デジタル地形モデルを作成する.更に,視認可能性の分析にとって重要となる構造物の高さデータを整備する.これらのデータを用い,江戸市中からの富士山等の可視マップを作成する.その結果,史料に記載の見られない江戸各所からも富士山視認の可能性のあることが明らかとなった.
著者
安井 仁 清水 正啓 山田 明 前田 知行 小林 義典
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.148-152, 1991-01-01
被引用文献数
14

過去18年間に上行結腸癌, 早期胃癌, 直腸癌および残胃癌の消化管領域に限局した異時性4重複癌が発生し, そのおのおのに右半結腸切除術, 幽門側胃切除術, 腹会陰式直腸切断および残胃全摘除術の根治手術を施行しえた75歳, 男性の症例を経験した. 患者はおのおのの手術後, 再発なく社会復帰を果たすことができた. 本症例は当院において長期に経過観察する過程で比較的早期に発見され, すべて根治手術が可能であった. 重複癌発生の特殊要因は認めなかった. 4・5重複癌は臨床例, 剖検例をあわせて本邦で107例報告されているが, このうち消化器に限局したものは15例である. 本邦における剖検重複癌の統計的検討を行った. 重複癌の悪性腫瘍に占める頻度は10年間で倍増しており, かつ4重複以上の高次重複癌が増加する傾向があるので, 術前・術後の他臓器原発癌に対する配慮が重要である.