著者
清水 英範 布施 孝志 中田 真人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.473-492, 2008 (Released:2008-09-22)
参考文献数
66
被引用文献数
2 2

広重や北斎などの江戸の風景画には,富士山や江戸湾などの地形や江戸城の眺望を巧みに取り入れた素晴らしい都市景観が数多く描かれている.しかし,これらの風景画の多くは名所絵であり,江戸の都市景観の実態は,現代に至るまで,ほとんど明らかにされていない.本研究では,江戸絵図を基礎資料として,当時の都市景観をビジュアルに再現するための方法論を構築した.具体的には,江戸絵図の幾何学的な歪みを補正し,明治時代の東京の地形データと現代の広域地形データを統合し,さらに,江戸市中や江戸城の建造物について,主に高さ情報の時代考証を行った.そして,これらの成果を総合して,富士山や江戸湾,江戸城などの眺望を考慮に入れた,江戸の都市景観再現CGを構築した.
著者
布施 孝志
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.225, 2007

<BR><B>1. はじめに</B><BR> 現代に至るまで、東京において数多の都市開発が行われてきた。その対象も、規模を問わず多岐にわたる。これらの開発においては、多かれ少なかれ、地形改変がともなってきた。都市計画による開発の概要は、東京市史稿や区史等において垣間見ることができるが、その中には、地形改変に関する記述を見出すことはできない。更には、個々の小規模開発においては、広く知られていないものも多く存在する。<BR> 一方で、旧版地形図に代表される地図は、作成された時代の都市や地域の姿を雄弁に物語っている。これまでにも、地図を頼りに幾多の開発が行われ、現在の都市の姿があるといえる。その地図を時系列で示せば、都市の歴史を如実にあらわすことができる。<BR> 近年では、GISの技術を用いて、これら旧版地形図をアーカイブ化することにより、その有効活用が期待されているところである(国土交通省国土地理院, 2004)。その結果、時系列情報を統一座標系で管理することが可能となり、比較対照や定量的分析が容易となる。換言すれば、様々な断片的情報を集約し、表現・分析することが可能となるのである。<BR> 以上の背景の下、本研究は、東京都心部における、明治期以降の地形変化を抽出し、地形改変の変化を整理することにより、広く知られていない開発の歴史の発掘を試み、東京の姿を再認識することを目的とする。<BR><B>2. 旧版地形図のデジタルアーカイブ</B><BR> 本研究では、東京都心部における地形改変を網羅的に抽出するために、旧版地形図のデジタルアーカイブ化を行う。対象として、地形表現がなされている初期の大縮尺地形図として、五千分一東京図測量原図(1886、1887発行)に着目する(山口・師橋・清水, 1984)。更に、1909年以降発行されている、1万分1地形図のうち、1909年、1930年(関東大震災後)、1955年(第2次大戦後)、1983年(現図郭に変更後最初のもの)もあわせてデジタル化を行う。なお、対象範囲は、五千分一東京図測量原図にあわせ、東京都心部の7.5km四方とする。これらの地形図を幾何補正によりラスターデータとして整備した。更に、このラスター地形図より、標高点、等高線、水涯線をデジタイジングすることによりデジタル地形モデルを作成し、今後の分析を考慮し、5mグリッドのDEMを整備した。<BR><B>3. 地形変化の抽出・分類</B><BR> 前節で作成した五千分一東京図測量原図によるデジタル地形データと、現在の数値地図5mメッシュ(標高)との差分をとることにより、地形変化箇所の抽出を行う。差分結果のうち、標高値変化の大きな箇所に限定し、土地利用との変化をあわせてみることにより、252箇所を調査対象とした。なお、土地利用変化を追うために、デジタル化していない旧版地形図も、紙媒体のまま適宜参照した。抽出された地形変化箇所を、地形変化の形状、主な土地利用の変化から分類を行う。地形変化形状としては、盛土(盛土、及び崖の盛土)、切土(切土、及び崖の切土)、盛土と切土の両者に分類が可能である。土地利用の変化に関しては、鉄道建設、道路建設、宅地造成、公園等の整備に分類される。<BR><B>4. 地形改変の事例</B><BR> 分類結果より興味深い箇所を例示する。鉄道建設、道路建設の例では、後楽園付近における丸の内線や道路建設のための斜面掘削や九段坂における路面電車開通のための坂の緩勾配化がみられる。宅地造成においては、市ヶ谷台町において、監獄の移転に伴い、谷地が埋め立てられた例がみられる。その他、広く知られていない地形改変の痕跡を確認することができ、東京における都市開発と地形改変の関連性を認識することができた。<BR><B>5. おわりに</B><BR> 本研究では、デジタルアーカイブ化された旧版地形図とデジタル地形モデルを主に用いることにより、地形改変の歴史を追跡し、土木史における旧版地形図の意義を示した。今後は、インフラ整備による開発と、それ以外の開発との分類を行い、都市に与えるインパクトを議論していくことが課題である。<BR><B>文献</B><BR> 国土交通省国土地理院(2004)『基本測量長期計画』<BR> 山口恵一郎・師橋辰夫・清水靖夫(1984)『参謀本部陸軍部測量局「五千分一東京図」測量原図複製版(36面)解題』日本地図センター.
著者
布施 孝志 安井 仁 清水 英範
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.496-504, 2006 (Released:2006-09-20)
参考文献数
26
被引用文献数
1

江戸市中における景観において,富士山等の遠地形は重要な要素の一つであったといわれている.しかしながら,史料に記述された地点以外における遠地形の視認可能性は,これまでのところ議論されていない.本研究では,当時の人々の眺望対象であった遠地形が江戸市中のいかなる地点から視認できたか,その可能性について分析を行うことを目的とする.最初に,古地図の幾何補正を行い,デジタル地形モデルを作成する.更に,視認可能性の分析にとって重要となる構造物の高さデータを整備する.これらのデータを用い,江戸市中からの富士山等の可視マップを作成する.その結果,史料に記載の見られない江戸各所からも富士山視認の可能性のあることが明らかとなった.
著者
中西 航 福冨 義章 布施 孝志
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集 (ISSN:21872929)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.A_1-A_6, 2017-04-01 (Released:2017-04-01)
参考文献数
14

歩行空間の性能評価において歩行者流の密度-速度関係を考える場合、この関係がミクロスケールで地点依存しうる課題がある。しかし、現状の測定手法では地点依存を考慮した適切な測定箇所の設定は容易でない。これに対し、密度-速度関係の空間内での分布をも詳細に把握できれば、より精緻な設備配置や流動制御への展開が期待できる。本研究では、歩行者流の密度-速度関係に空間相関構造を組み込み、空間全域の測定データをひとつの回帰式でモデル化する方法を示す。空間フィルタリング手法である Harmonic Spatial Filtering により定式化し、横断歩道での実データに対し密度-速度関係と空間内の相関構造とを推定した。空間相関を考慮しない場合と比べて回帰精度の向上を示すとともに、推定された空間相関構造を解釈した。
著者
中西 航 布施 孝志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.I_673-I_681, 2016 (Released:2016-12-23)
参考文献数
14

本研究では,GPS測位値のような誤差を有する時系列観測を得たときに,その測位精度を表すモデルのパラメータをデータ適応的に推定する手法の有用性を示す.まず,測位精度を既往研究を援用してモデル化する.つぎに,一般状態空間モデルの枠組みにこのモデルを統合する.具体的には,ネットワーク上を移動する歩行者から取得される測位値に基づき,測位精度を歩行者位置,経路選択および移動速度と同時に逐次ベイズ推定する定式化を行った.仮想ネットワーク上から生起した擬似的な測位値への適用により推定精度を検証するとともに,従来手法との比較を通して提案手法の利点を示した.さらに,実空間上のデータにおいても,提案手法が機能することを確認した.
著者
溝口 肇 宮武 昌史 布施 孝志
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.133, no.7, pp.700-706, 2013-07-01 (Released:2013-07-01)
参考文献数
19
被引用文献数
2 2

A train scheduling method to minimize the trip time of passengers under restricted electrical energy is investigated in this paper. This method assumes that the consumed electrical energy of one railway artery, all the vehicles of which are local trains, is restricted to a certain value. The endogenous variables of this method are the running time for each interstation, the consumed energy for each interstation, and the number of vehicles. The solution depends on the Kuhn-Tucker theorem on the constraints of both the number of vehicles and the total amount of consumed energy per unit time. This method enables us to determine the running time for each interstation and the number of vehicles according to the solution, which gives priority to small changes in the running time in interstations over decreasing the number of vehicles. Numerical examples verify the effect of reducing the time increment caused by the restriction in some artery without reducing the number of vehicles. The results also imply that the effect on passengers of each energy-saving method differs for every traffic artery.
著者
神谷 啓太 布施 孝志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.I_759-I_769, 2016

近年,流動的な人口の把握が多分野から注目されており,GPSにより収集した大量の位置情報を用いたメッシュ人口のモニタリングが期待される.モニタリングでは異常状態の検知が重要だが,統計的異常検知手法の開発は扱うデータに応じてアドホックに行われている.本研究では異常検知問題を特徴付ける要因を整理し,メッシュ人口データのモニタリングを,半教師学習した統計モデルにより時系列データ中の文脈型異常を検知する問題と設定した.そして,時系列データの潜在状態数を推定可能な階層ディリクレ過程隠れマルコフモデルを援用した異常検知手法を提案した.シミュレーション実験では潜在状態の事後分布を比較する手法を用いることで高い性能を確認し,実データへの適用では列車運転見合わせが発生した時刻での高い異常スコアの検知を確認した.
著者
中西 航 布施 孝志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.I_549-I_557, 2017 (Released:2017-12-27)
参考文献数
23

歩行者行動の高解像度な把握により街路上の施設配置の高度化などが見込まれる.一般に,高解像度に捉えた歩行軌跡は道路ネットワークの真上には存在しない.しかし,ネットワークに測位値を吸着させる従来のマップマッチング手法は,軌跡をネットワーク上に復元することが前提であるという課題を有する.そこで本研究では,ネットワークが有する誤差を連続空間上で明示的に考慮する手法を提案する.歩行軌跡のネットワークからのずれを潜在変数と捉え,これをGNSS測位値により測位誤差を考慮しながら逐次推定する手法である.誤差を有する観測から,ネットワーク上で移動を記述でき,かつ実際の位置をネットワーク上に限定しない軌跡を得る定式化を行うとともに,複数の設定におけるシミュレーションデータへの適用を通し,その有用性を示した.
著者
布施 孝志 永良 慶太
出版者
一般社団法人 日本写真測量学会
雑誌
写真測量とリモートセンシング (ISSN:02855844)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.205-212, 2014 (Released:2015-11-01)
参考文献数
15

With increasing widespread use of three-dimensional data, the demand for simplified data acquisition is also increasing. The range camera, which is a simplified sensor, can acquire a dense-range image in a single shot ; however, its measuring coverage is narrow and its measuring accuracy is limited. We had overcome the former drawback by registering sequential range images. This method, however, assumes that the point cloud is error-free. In this paper, we have developed an integration method for sequential range images with error adjustment of the point cloud. The proposed method consists of ICP (Iterative Closest Point) algorithm and self-calibration bundle adjustment. The ICP algorithm is considered an initial specification for the bundle adjustment. By applying the bundle adjustment, coordinates of the point cloud are modified and the camera poses are updated. Through experimentation on real data, the significance of the proposed method has been confirmed.