著者
鴨井 幸彦 田中 里志 安井 賢
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.67-80, 2006 (Released:2007-07-27)
参考文献数
30
被引用文献数
8 12

砂丘の形成年代は, 砂丘砂層や砂丘間凹地の腐植土, および砂丘の基盤層中に含まれる有機物の年代から決めることができる. 新しい年代値とともに, これまでの多くの年代測定値をまとめて整理し, 越後平野における砂丘の形成年代と形成過程を明らかにした. 約8,000年前に縄文海進とともに海水面が上昇すると, 越後平野の内陸部でラグーンを伴ったバリア島システムが成立した. 約6,000年前の海水準高頂期後, 海水準が安定するか, やや低下すると, 信濃川などの流入河川によって堆積物が豊富に供給され, 沖積平野は急速に拡大した. 海岸砂丘の発達は, 海岸線の前進と停止に呼応して断続的に進み, 10列の砂丘が形成された. 砂丘の形成年代は, 新砂丘I-1が約6,000年前, 新砂丘I-2が6,000~5,500年前, 新砂丘I-3が5,000年前, 新砂丘I-4が約4,500年前, 新砂丘II-1が約4,000年前, 新砂丘II-2が約3,500年前, 新砂丘II-3約3,000年前, 新砂丘II-4が2,000~1,700年前, 新砂丘III-1が1,700~1,100年前, 新砂丘III-2が約1,100年前である.
著者
平松 由起子 安井 賢 卜部 厚志 本郷 美佐緒
出版者
Japan Society of Engineering Geology
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.153-161, 2005-08-10 (Released:2010-02-23)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

2004年7月13日, 新潟県中越地方を中心とした記録的な集中豪雨により, 五十嵐川や刈谷田川など複数の河川が各所で越流および破堤し, 三条市, 中之島町および見附市などで甚大な被害が発生した. 筆者らは刈谷田川沿いの中之島町中之島および見附市南部の被害状況について調査し, 洪水流の流下様式と地形の関係について検討した. 中之島町中之島は沖積低地上に立地し, 堤防の急激な破堤によって破堤箇所近傍では段波が発生した. 洪水流は主に道路や空き地を通って拡散したこと, 自然堤防の高まりを避けて途中から流路を変更したこと, および寺院に植えられている樹木や今回の破堤で生じた瓦礫の存在により, 洪水流の嵩上げが生じたことなどが明らかになった. 一方, 見附市南部は多くの段丘面で囲まれた谷底平野に位置し, 稚児清水川の破堤によって堤内に流入した洪水流の流路は現堤防と段丘面に規制された. 洪水流は沖積面の狭まる地形的狭窄部に位置していた旧堤防により一時的に塞き止められて嵩上げされ, その後, 旧堤防を破壊して, 稚児清水川から4km下流の, 堤防よりも低い段丘面の狭窄部を直撃したことが明らかとなった.