著者
安斉 俊久
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.111, no.2, pp.213-220, 2022-02-10 (Released:2023-02-10)
参考文献数
18

左室駆出率(left ventricular ejection fraction:LVEF)が50%以上,ナトリウム利尿ペプチド値の上昇を認め,心エコー等で拡張不全が示唆される心不全は,LVEFの保たれた心不全(heart failure with preserved ejection fraction:HFpEF)と定義される.高齢女性に多く,高血圧,心房細動,糖尿病等の併存症を高率に認める.神経体液性因子抑制薬による予後改善効果は示されておらず,うっ血に対する利尿薬と併存症に対する治療のみが推奨されてきたが,最近,SGLT2(sodium glucose cotransporter 2)阻害薬の有効性が報告された.
著者
執行 秀彌 大原 貴裕 岩山 忠輝 舟田 晃 長谷川 拓也 神﨑 秀明 安斉 俊久
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.187-190, 2015 (Released:2016-02-15)
参考文献数
14

症例は70歳, 女性. 主訴は意識消失. 大動脈弁閉鎖不全症, 感染性心内膜炎に対してBentall手術 (Prima Plus 21mm, Intergrad 20mm), 右室形成術を施行した. 術後完全房室ブロックと低心機能を認め心臓再同期療法ペースメーカー (Medtronic Consulta CRT-P C3TR01) を留置した. 3カ月に及ぶ長期入院を要した. 退院後, 立位にて調理中に突然の意識消失をきたし, 精査のために入院. 心電図では失神をきたすような不整脈を認めず, 心筋逸脱酵素上昇等異常所見を認めなかった. 経胸壁心エコー図では, 局所壁運動異常や大動脈弁置換弁の異常所見を認めなかった. 頭部単純CT, 脳波検査でも異常所見は認めなかった. 神経調節性失神を疑いヘッドアップチルト試験を施行. ニトロール負荷にて急激な血圧低下, 失神症状を認めた. カルベジロールのα1遮断作用が失神の誘因となった可能性を考慮し, カルベジロールからビソプロロールへ変更した. 変更後ヘッドアップチルト試験を再施行したが, 血圧低下, 失神症状を認めなかった. 以降症状再発なく経過している. 低心機能例に対してβ遮断薬を投与する際には神経調節性失神の副作用も考慮に入れて薬剤選択する必要があると考えられた.
著者
鈴木 哲 松井 岳巳 安斉 俊久 孫 光鎬 菅野 康夫
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では,マイクロ波を用いた完全な非接触での生体計測手法を応用し,血圧変動を推定する手法の確立を目指すことを目的とした.手法の有効性の確認のための,①推定法の理論的検討,②システムの試作,③実験室内における試作したシステムの評価実験,を実施した.さらに,臨床的知見の蓄積とシステムの問題点の確認のため,④医療現場における心不全患者へ適用した実証実験,の4点の実施を目標とした.結果として,理論構築およびシステム試作,さらに評価実験を行い,ある程度良好な結果を得た.一方で,臨床的知見の蓄積のための調査については,安全性と精度に課題があったため十分な実施が出来ず見送る結果となった.