著者
安江 任 小澤 聡 荒井 康夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.6, pp.767-770, 1986-06-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
26

水道水の軟化, ボイラーのスケール防止, 焼セッコウやボルトランドセメントの凝結遅延に関連し, 水溶液中のカルシウム, マグネシウムイオンを封鎖することを目的として, クエン酸ナトリウ, ショ糖, ブドウ糖, ジグリコール酸などの錯形成能,錯イオンの組成を比較検討した。測定方法には濁度法, 金属指示薬法, イオン選択電極電位差法, 電気伝導度法を用いた。クエン酸ナトリウムおよび糖類のイオン封鎖能は測定方法によってかなり相違し, その理由を考察した。クエン酸ナトリウムはカルシウムイオンに対する封鎖能が大であり, たとえぽpH8.5での封鎖能は26.8g であるのに対してマグネシウムのそれは17.0g であった。本研究で確認した錯イオンのほとんどは結合比が1/1であるが, ジグリコール酸のカルシウム錯イオンにかぎり結合比は1/2であった。また, 錯イオンの多くはpH8.0~9.5の水溶液中でもっとも安定である。
著者
荒井 康夫 安江 任
出版者
無機マテリアル学会
雑誌
石膏と石灰 (ISSN:21854351)
巻号頁・発行日
vol.1983, no.187, pp.357-366, 1983-11-01 (Released:2011-03-07)
参考文献数
17
著者
梅垣 高士 戸田 善朝 鈴木 喬 門間 英毅 安江 任 荒井 康夫
出版者
東京都立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

リン酸塩類の水和およびその生成物について、研究・調査を行い、下記のような成果を得た。1)ポルトランドセメントや石膏から得られる水和硬化体は、多孔体となるため、曲げ強度が充分でない。リン酸カルシウム類の水和硬化体も同じ欠点を持っているので、硬化体の密度を増加させることと水和生成物粒子同士の結合強度を増加させる目的で、水和反応時に水溶性の高分子化合物を添加して、硬化体の調製を行っている。現在のところ、硬化体の密度の増加は、十分でないものの、曲げ強度は、改善された。(梅垣高士,山下仁大)2)アパタイト水和硬化体を調製する際に、出発物質として、非晶質リン酸カルシウムの利用を試み、また、有機酸を添加してその効果をしらべた。(安江任、荒井康夫)3)骨生理学上重要な各種カチオンを共存させて水酸アパタイトを電析させて、その生成結晶について、詳細な検討を行った。(門間英毅)4)水酸アパタイトを無機イオン交換体への応用についての検討を行った。その結果、鉛、カドウミウムなどの有害イオンを除去できる可能性を認めた。(鈴木喬)5)コバルト、ニッケルなどのリン酸塩類水和物を合成し、顔料として応用の検討を行い、合成法は、簡便で、従来の顔料と比較しても遜色ないものが得られることを認めた。(戸田善朝)
著者
小嶋 芳行 川野辺 晃生 安江 任 荒井 康夫
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会学術論文誌 : Nippon Seramikkusu Kyokai gakujutsu ronbunshi (ISSN:18821022)
巻号頁・発行日
vol.102, no.1192, pp.1128-1136, 1994-12-01
被引用文献数
20 23

In this report, controls of polymorphism and morphology of calcium carbonate compounds were studied by suspending amorphous calcium carbonate hydrate (ACC) powder in water or MgCl_2 solution. Characteris tics of calcium carbonate compounds formed from ACC were determined by means of X-ray diffraction, thermal analysis (TG-DTA) and scanning electron microscopic observation. ACC was synthesized by adding 0.1mol dm^<-3> CaCl_2 solution into a mixed solution of 0.1 mol dm^<-3> NaOH and 0.1 mol dm^<-3> Na_2CO_3 at 0℃. The calcium carbonate compounds formed easily by suspending ACC in water and was affected remarkably by temperature (0-80℃) and pH (1.7-14.0).Thus ACC changed into hexagonal plate-like calcium carbonate hexahydrate at 0℃, rhombohedral calcite at 15-20℃, spherical vaterite at 30-50℃ and needle like aragonite above 80℃ after aging for 1h. ACC was also changed into vaterite in the pH region of 7.0-9.5 and to basic calcium carbonate above pH 12.8 at 20-40℃. On the other hand, spherical calcium carbonate monohy drate was formed from ACC in MgCl_2 solution (0.03-0.50 mol dm^<-3>) and then changed finally to aragonite after long aging. For example, the amount of spherical monohydrate with a diameter of 30 μm reached a maxi mum after aging for 3d, and it changed to needle like aragonite with an average length of 50 μm after 10d in 0.10 mol dm^<-3> MgCl_2 solution. Accordingly, ACC changed easily to calcium carbonate anhydrides (cal cite, aragonite, vaterite), calcium carbonate hydrates (monohydrate, hexahydrate) and basic calcium car bonate, when ACC was suspended in solutions of different conditions such as ternperature, pH and concentration of MgCl_2.