著者
中島 美香子 小坂 雅夫 門間 英毅
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.707-714, 2002-09-05
参考文献数
7
被引用文献数
1

X線回折計により物体の表面粗さを測定する方法では, 直接物体からの回折線を利用せず, 物体表面に金属薄膜を蒸着し, 表面粗さを複写した膜 (表面レプリカ膜) からの回折線を利用している. 得られた回折プロフィルを分離し, 各ピークの回折角2&theta;, 回折強度<i>I</i>, 積分強度<i>S</i> などを求め, 回折角のずれ&Delta;2&theta;から偏心量<i>x</i>, 強度比から面積比を演算すると統計結果が偏心量-面積の階段状のグラフとして数値化できる. 本報ではより最適な測定条件 (測定波長・金属膜・照射面積) の組み合わせを求めるため, 凹凸が既知の試料を作製し, 実験・検討したところ, 管球としてCu, 表面レプリカ膜としてAuが最適であり, スリットの幅で決まる有効照射面積は16.2&times;10mm<sup>2</sup>と確定できた. 更にこれらの条件を用いた実用例として, 電着水酸アパタイトの表面凹凸測定結果を求めた. その結果, 数種類の凸面の高さを持つ試料の凹凸面積比を統計的に得ることができた.
著者
門間 英毅 神谷 貴志 堤 正幸 長谷川 安利
出版者
The Society of Inorganic Materials, Japan
雑誌
石膏と石灰 (ISSN:21854351)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.208, pp.127-135, 1987

種々の形態とCa/P比の水酸アパタイト (HAp) 粉末の圧粉成形性と焼結性を比較検討した。ブラッシャイト (DCPD) の加水分解によるHAp粉末の假焼後の形態は0.15-0.20μmのテトラポット形微結晶の連結凝集した, モネタイト (DCPA) の加水分解によるものはダンベル状微結晶の凝集した, それぞれ約70×100μmの板状粒子であった。沈殿HAp粉末は微細結晶の凝集した1-6μmの塊状または15-20μmの球状粒子であった。圧粉成形体の密度は〓焼温度とともに高くなるが, 焼結体の密度は〓焼温度700-900℃に, 強度は化学量Ca/P論比より若干低いCa/P比に, それぞれ極大を示した。加水分解法によるHAp粉末でも, 焼結相対密度95%以上, 曲げ強さで100-150MPaの焼結体を得ることができたが, 沈殿HApの方がより易焼結性で高強度焼結しやすかった。焼結体グレインサイズは各HApとも差はないが (約1-4μm), 気孔は沈殿HApより加水分解HApの方で多かった。
著者
門間 英毅
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:18842127)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1098, pp.284-285, 1987-02-01
被引用文献数
8

Brushite and monetite powders were hardened by hydration in the presence of a "solid pH buffer". The hardening was accompanied by the transformation of the starting calcium phosphates into carbonate-containing hydroxyapatite and/or octacalcium phosphate. The resulting hardened bodies had porosities of 71-81% and diametral tensile strengths of 0.1-1.5MPa. Microstructures of the hardened bodies showed that the hardening was caused by the entanglement of microcrystals.
著者
梅垣 高士 戸田 善朝 鈴木 喬 門間 英毅 安江 任 荒井 康夫
出版者
東京都立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

リン酸塩類の水和およびその生成物について、研究・調査を行い、下記のような成果を得た。1)ポルトランドセメントや石膏から得られる水和硬化体は、多孔体となるため、曲げ強度が充分でない。リン酸カルシウム類の水和硬化体も同じ欠点を持っているので、硬化体の密度を増加させることと水和生成物粒子同士の結合強度を増加させる目的で、水和反応時に水溶性の高分子化合物を添加して、硬化体の調製を行っている。現在のところ、硬化体の密度の増加は、十分でないものの、曲げ強度は、改善された。(梅垣高士,山下仁大)2)アパタイト水和硬化体を調製する際に、出発物質として、非晶質リン酸カルシウムの利用を試み、また、有機酸を添加してその効果をしらべた。(安江任、荒井康夫)3)骨生理学上重要な各種カチオンを共存させて水酸アパタイトを電析させて、その生成結晶について、詳細な検討を行った。(門間英毅)4)水酸アパタイトを無機イオン交換体への応用についての検討を行った。その結果、鉛、カドウミウムなどの有害イオンを除去できる可能性を認めた。(鈴木喬)5)コバルト、ニッケルなどのリン酸塩類水和物を合成し、顔料として応用の検討を行い、合成法は、簡便で、従来の顔料と比較しても遜色ないものが得られることを認めた。(戸田善朝)
著者
門間 英毅 上野 精一 堤 正幸 金澤 孝文
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:18842127)
巻号頁・発行日
vol.86, no.1000, pp.590-597, 1978-12-01
被引用文献数
16 19

α-Ca<sub>3</sub>(PO<sub>4</sub>)<sub>2</sub> 粉末-H<sub>2</sub>O系分散液を種々のpHに調製し, これをそのままあるいは反応中のpHを一定保持しながら, 80℃で主に2時間の加温処理を行った. 得られた固相分の結晶相とpH条件との関係を明らかにし, 更にアパタイト生成物に関しては, 反応pH条件とCa/P比, 構成イオン種, 加熱変化及び粒子形態などとの関連を検討した.<br>反応中のpHを一定に保持してもしなくても, pHが約4.6以上であればアパタイト単一相になり, これ以下pH 4.3までは短冊状結晶のアパタイトとオクタカルシウムホスフェートとの混合相になり, pH 4.2-3.0では角板状のCaHPO<sub>4</sub>を主体としていた. アパタイト単一相の場合の結晶は, 保持pH値を変えることによって板状あるいは花片状及び柱状のおのおのの形態に成長した. pHを一定保持しない場合にはすべて花片状であった. 反応中のpHが高いほど, アパタイトへの転化は遅くなるけれども, アパタイトのCa/P比は増大しやすくなった. 高Ca/P比のアパタイトになるほど, 含水量やHPO<sub>4</sub><sup>2-</sup>含量の減少と, OH<sup>-</sup>含量及び結晶性の増大が認められた. アパタイトの含水状態, 含有HPO<sub>4</sub><sup>2-</sup>の脱水縮合温度はオクタカルシウムホスフェートのそれらと類似していた。
著者
門間 英毅 金澤 孝文
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:18842127)
巻号頁・発行日
vol.84, no.968, pp.53-57, 1976-04-01
被引用文献数
50 102

α-燐酸カルシウムの水和反応が塩基性液中, 100℃以下で生じることを見出した. 反応は温度およびpH低下とともに遅くなり, 室温およびpH約5以下ではほとんど進行しなかった. 水和反応生成物は硬化体として得られた. 十分に水和させた生成物は, Ca/Pモル比=1.5のカルシウム欠損水酸アパタイトであると同定された. このアパタイト中には水分子, OH<sup>-</sup>およびHPO<sub>4</sub><sup>2-</sup>のHとして約4.7%の水成分が含まれていた. アパタイト構造は700℃までの加熱によって全含有水分の約75%を揮発させても安定であった. このときHPO<sub>4</sub><sup>2-</sup>の消滅とP<sub>2</sub>O<sub>7</sub><sup>4-</sup>の生成とが確認された. 残りの水分は, OH<sup>-</sup>の除去とβ-燐酸カルシウムの生成とを伴って, 755℃で急激に放出された. アパタイト-燐酸カルシウム分解反応の見掛け活性化エネルギーは65kcal/molであった.