著者
大原 利眞 若松 伸司 鵜野 伊津志 安藤 保 泉川 碩雄
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.137-148, 1995

最近の光化学大気汚染の発生状況を明らかにするため, 関東・関西地方の大気汚染常時監視測定局にて測定された13年間の光化学オキシダント濃度データ (時間値, 月間値) を解析した。併せて, NMHC, NO<SUB>x</SUB>, NMHC/NO<SUB>x</SUB>の濃度測定データについても解析した。得られた結果は次のとおりである。<BR>(1) 光化学オキシダント濃度の経年動向に関する関東・関西地方に共通した特徴は, 日最高濃度出現時刻が経年的に遅くなっていること及び主要発生源地域から遠く離れた地域 (関東地方では北関東地域や山梨県等, 関西地方では京都・奈良地域) において高濃度が出現しやすくなっている傾向にある。<BR>(2) NMHC/NO<SUB>x</SUB>比は経年的に低下傾向にあり,(1) に示した光化学オキシダント濃度の経年動向の1要因と考えられる。
著者
大原 利眞 若松 伸司 鵜野 伊津志 安藤 保 泉川 碩雄 神成 陽容 外岡 豊
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.6-28, 1997-01-10
被引用文献数
14

局地気象数値モデル(メソスケール気象モデル)と光化学反応を含む大気汚染物質の輸送モデル(光化学グリッドモデル)を組み合わせて, 夏季における光化学オキシダント高濃度現象の3次元数値シミュレーションモデルを構築し, 関東地域に適用して検証した。構築したシミュレーションモデルの特徴は, 4次元データ同化手法を用いた局地気象数値モデルと詳細な光化学反応を含む汚染質の輸送モデルを組み合わせた3次元モデルであること, 最新の光化学反応モデルと乾性沈着モデルを使用していること, 生物起源炭化水素の影響を考慮していること, 推計精度が比較的高い発生源データを使用していること等である。夏季の光化学オキシダント高濃度期間として, 立体的な特別観測が実施された1981年7月16日4時から42時間を対象に, 本モデルを用いてシミュレーション計算した。その結果, 光化学オキシダント及びNO_X, NO_2濃度の地域分布や時間変動パターン等について良好な現況再現性が得られた。また, 米国EPAによって示されているモデルの目標水準と比較した結果, その水準を上回っていた。更に, 航空機観測によって得られた上空濃度分布も定性的には再現することができた。