著者
脇 翔吾 赤坂 卓美 安藤 駿汰
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.197, 2022-10-25 (Released:2023-01-01)
参考文献数
95

今日急速に普及している風力発電は、温室効果ガスの削減に大きく貢献する一方で、コウモリ類の事故問題が顕在化してきている。しかし、近年大型風車と同様に普及が進んでいる小型風車による影響は軽視されてきた。そこで本研究では、小型風車によるコウモリ類への影響を把握することを目的に、北海道根室振興局内に存在する小型風車を対象に、小型風車の存在がコウモリ類の活動量に与える影響を明らかにした。キタクビワコウモリとヤマコウモリ属 /ヒナコウモリ属の活動量は風車直近の方が対照区(風車から 100 m以上離れた場所)よりも高かった。また、ホオヒゲコウモリ属の活動量は区間で違いはなかった。本研究の結果は、小型風車では、これまで大型風車で死亡リスクが高いといわれてきた属(キタクビワコウモリとヤマコウモリ属 /ヒナコウモリ属)だけでなく、死亡リスクが低いとされてきた属(ホオヒゲコウモリ属)も少なからず影響が受ける可能性を示唆する。このことから、今まで軽視されてきた小型風車におけるコウモリ類の保全対策は急務であると言える。
著者
安藤 駿 猪瀬 裕介 増田 英孝 佐々木 良一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.2149-2158, 2014-09-15

近年,テレビ番組やWEB放送などでTwitterなどを用いて視聴者の意見を取得し反映するケースが多い.このような場合にはリアルタイムで有益な意見を抽出し,放送に活かすことが望ましい.著者らが開発中のITリスク問題に関する合意形成支援システムSocial-MRCにおいても,数千人規模の参加者の合意形成を支援するためにUSTREAMを用いて放送し,Twitterを改良したものを用いて意見の収集を図っている.しかし意見の数が膨大になり,人の力だけでリアルタイムに意見を分類することは困難である.そこで自動的に有益な意見を抽出する必要があるが,放送を見ながら実時間で意見を記入する場合は,Twitterに限らず投稿される意見は短い文章が多く自然言語処理だけでは満足な結果を得ることが難しい.一般的に機械学習の素性として名詞を用いることが多いが,名詞は議論の内容に依存することが多く,学習時には出てこなかった未知の話題を含む有益な意見が出てくることも多い.このような問題を解決するため,投稿者に選択してもらった意見の対象および意見の種類の項目を素性として用いるとともに未知の名詞の出現頻度を素性に用いるMAUOS方式を開発した.この方式をSocial-MRCを用いた「青少年への情報フィルタリング問題」の合意形成に適用することによって,短い文章において新しい傾向を持つ意見を高い精度で分類することができたので報告する.