著者
武田 一樹 留場 宏道 安達 文幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.555, pp.139-142, 2007-02-28
被引用文献数
2

厳しい周波数選択性フェージング環境下のシングルキャリア(SC)伝送では,周波数領域等化(FDE)を用いても残留符号間干渉(ISI)によりビット誤り率特性が著しく劣化してしまう.筆者らはこれまでFDE に,Tomlinson-Harashima precoding(THP)を組み合わせることで残留ISIを抑圧し,厳しい周波数選択性フェージング環境下でも優れた伝送特性が得られることを明らかにしてきた.更なる伝送品質の改善には,誤り訂正符号化との併用が不可欠である.ターボ誤り訂正符号化では,ビット尤度の計算が必要である.本報告では,THPとFDEを用いた場合のビット尤度の計算法を示すとともに,ターボ符号化SC伝送へのTHPとFDEの適用効果を明らかにしている.
著者
大野 公士 安達 文幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.17-25, 1996-01-25
被引用文献数
51

本論文では,送信電力制御に不完全性が存在するときのDS-CDMA上りリンク容量と平均送信電力との関係をスペース/パス(RAKE)ダイバーシチを考慮して解析し,簡単な計算式を導出した.スペースダイバーシチを用いると,送信電力制御時に瞬間的に大きな送信電力となることが避けられるので他セル干渉を低減でき,上りリンク容量を増大できることを示した.特に拡散帯域幅が狭く,1パス受信となるときにはスペースダイバーシチが必須であることも示した.CDMAではセルのセクタ化によってリンク容量を増大できることが知られているが,アンテナ指向性が他セクタにオーバラップする現実的なアンテナでは,隣接セクタからの干渉が存在する.そこで,アンテナ指向性も考慮した.導出した計算式を用いて,データ変復調にパイロットシンボル内挿補間QPSK同期検波を採用する場合について具体的に上りリンク容量と平均送信電力を計算した.最後に,シャドウイング相関の影響も考察した.
著者
藤原 淳 須田 博人 安達 文幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム
巻号頁・発行日
vol.98, no.601, pp.77-82, 1999-02-18

本検討では,ターボ符号および上りサイトダイバーシチをW-CDMAに適用し,サイトダイバーシチ合成周期をパラメータとして,特性の評価を行った.その結果,合成周期が10msから80msにわたり,サイトダイバーシチによる合成利得が得られることを確認した(最大ドップラー周波数f_Dが80Hzの場合),さらに,サイトダイバーシチ状態において,ターボ符号の特性を,従来法である畳込み符号とRS符号の連接符号と比較し,シャドウイングあり,なしの双方の場合において,ターボ符号の特性が従来法を上回っていることを確認した(f_Dが80Hzの場合).f_Dが5Hzの場合においても,シャドウイングを考慮した場合には,ターボ符号は従来方式より優れた特性を示すことを確認した.
著者
佐和橋 衛 安達 文幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.233-239, 1994-05-25
被引用文献数
3

周波数ホッピングは,フェージングによるバースト誤りをランダム化し誤り訂正効果を高める手段として効果的である.本論文では,ディジタル信号処理による周波数変換法を適用して,高速切換えを実現した周波数ホッピング送受信機の構成を述べている.まず,周波数ホッピング変調信号の生成と周波数変換フィルタを用いたホッピング信号の受信についてそれらの原理を述べる.次に,試作した96周波間(12.288MHz帯域幅)をホッピング可能な1.5GHz帯送受信機の構成(128kbit/s,差動符号化π/4シフトQPSK変調,遅延検波)について述べる.送信側(受信側)の周波数切換え時間はそれぞれ2(32)μsであり,約75μsでホッピング信号の周波数変換,検波が行われることを確認している.最後に,フェージング環境下における周波数ホッピングと誤り訂正の適用効果について実験的に評価している.本提案の方法は分周器と位相同期ループで構成される従来の周波数シンセサイザの代わりに固定周波数発振器を用いるので周波数切換えを高速にできるほか,ベースバンド処理を用いているのでLSI化に向いており,無線機の小型,低消費電力化に適している.
著者
樋口 健一 大川 耕一 佐和橋 衛 安達 文幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.20, pp.13-18, 1999-04-23
被引用文献数
4

W-CDMA基地局間非同期セルラシステムにおける他セル干渉がある場合のスクランブルコードマスクを用いるセルサーチ法について, 2セルを用いる屋外伝送実験によリセルサーチ時間特性を評価をした. 実験の結果, 1セル当たりの通信チャネル数が10で, BS1およびBS2の通信チャネルの受信平均玩E_0/N_0=13dB (平均SIR<lt6;13dB), とまり木チャネルの1通信チヤネルに対する送信電力比が3dB,およぴBS1とBS2のとまり木チャネルの受信電力比S_<BS1>/S_<BS2>=0dBの場合, 走行時 (平均時速30km/h) において90%の確率で約480msec内のセルサーチを完了できることがわかつた. また, 本実験結果を基に, スクランブルコード数が512で3段階セルサーチ法を用いた場合, 90%の確率でセルサーチか約650msec程度で完了できることがわかった.
著者
工藤 栄亮 安達 文幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.688, pp.225-232, 2002-02-27

本論文では,アンテナダイバーシチ受信を用いるOFDM-CDMA下りリンクを対象に,インパルス性の干渉波が存在するときの周波数選択性フェージング環境下でのビット誤り率の計算式を導出し,モンテカルロ数値積分手法により平均ビット誤り率(BER)特性を求めた.OFDM-CDMA周波数等化として誤差最小合成(MMSEC)周波数等化と直交再生合成(ORC)周波数等化を用いた.インパルス性干渉の面積が大きい場合には誤りフロアを生じ,このような誤りフロアに対してはダイバーシチ受信による改善効果が得られないことを明らかにした.また,インパルス性干渉の影響は,MMSEC周波数等化とORC周波数等化とで殆ど同じであり,さらに周波数帯域幅の同じDS-CDMAとも殆ど同じであることが分かった.
著者
工藤 栄亮 安達 文幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.685, pp.225-232, 2002-02-27

本論文では,アンテナダイバーシチ受信を用いるOH)M-CDMA下りリンクを対象に,インパルス性の干渉波が存在するときの周波数選択性フェージング環境下でのビット誤り率の計算式を導出し,モンテカルロ数値積分手法により平均ビット誤り率(BER)特性を求めた.OFDM-CDMA周波数等化として誤差最小合成(MMSEC)周波数等化と直交再生合成(ORC)周波数等化を用いた.インパルス性干渉の面積が大きい場合には誤りフロアを生じ,このような誤りフロアに対してはダイバーシチ受信による改善効果が得られないことを明らかにした.また,インパルス性干渉の影響は,MMSEC周波数等化とORC周波数等化とで殆ど同じであり,さらに周波数帯域幅の同じDS-CDMAとも殆ど同じであることが分かった.
著者
土肥 智弘 奥村 幸彦 安達 文幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム
巻号頁・発行日
vol.97, no.31, pp.17-24, 1997-04-25
被引用文献数
31

広帯域コヒーレントDS-CDMA(W-CDMAの野外伝送実験を行い、チップレート(拡散帯域幅)と送信電力の関係、チップレートと誤り率特性の関係を明らかにした。チップレートの高速化によりマルチパスの分解能力が向上し、RAKE受信後の受信電力の変動幅が小さくなり、低レベルへの落ち込み確率が減少するため、チップレートが高速になるほど送信電力は低減されることを実証した。また、アンテナダイバーシチ受信により誤り率特性が約3dB改善されることも明らかにした。
著者
工藤 栄亮 安達 文幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.461, pp.103-107, 2003-11-15
被引用文献数
10

移動通信の世界では超高速データ伝送の要求が高まっている.データ伝送レートを高速化しつつ送信電力を低減するために,筆者らはバーチャルセルラシステムを提案している.分散配置された多数の無線ポートから構成されるバーチャルセルでは,移動端末の近傍の無線ポートで受信された信号はマルチホップ通信により無線ポート間を中断され,ネットワークと接続されている中央無線ポートへと転送される.このようなマルチホップバーチャルセルラシステムでは効率的なチャネル割当てが必要である.本論文では,チャネル棲み分け法を適用した自律分散型チャネル割当て法を提案している.全ての無線ポートへのマルチホップ通信経路を構築した後にチャネル割当てを行う.全ての無線ポートは各チャネルの優先度関数を記載したチャネルテーブルを具備し,送信する無線ポートが主導して優先度関数にしたがてチャネルを選択する.本論文では,チャネル割当ての失敗率を計算機シミュレーションにより求め,失敗率が最大許容ホップ数にほとんど依存しないことを示す.
著者
福元 暁 佐和橋 衛 安達 文幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.20, pp.31-36, 1999-04-23
被引用文献数
22

基地局から複数アンテナを用いて同一信号を送信する送信ダイバーシチは移動局受信機を複雑化することなく受信特性を改善できる. W-CDMA下りリンク用送信ダイバーシチには, 予め決められた順序パターンで複数アンテナから送信するPre-determine (PD) 型と, 移動局から送信されるAntenna Selection (AS) コマンドに基づいて送信アンテナを選択するFeedback (FB) 型とがある. PD型としてTime switched transmit diversity (TSTD)法, Orthogonal transmit diversity (OTD)法, Space time transmit diversity (STTD)法, FB型としてSelection transmit diversity (STD)法が提案されている. 本稿ではTSTD, OTD, STTD, STDによる下りリンク伝送特性を計算機シミュレーションにより比較検討している. その結果, TPCありの場合には送信ダイバーシチによる特性改善は小さいもののTPCなしの場合には平均BER=10^<-3>を満たす所要送信E_b/N_0を1-3.5dB程度改善できること, また, 低速フェージング領域ではFB型を, 高速フェージング領域ではPD型 (TPCなし) または送信ダイバーシチなし (TPCあり) を組み合わせて用いることが望ましいことが明らかになった.
著者
大川 耕一 安藤 英浩 福元 暁 佐和橋 衛 安達 文幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.20, pp.25-29, 1999-04-23
被引用文献数
1

W-CDMA 5fMHz帯域における3マルチコード多重による2-Mbps伝送特性をハードウェアフェージングシミュレータを用いる室内実験により測定した. SF=4と小さいためにパス数か増大するにつれてマルチパス干渉で特性が劣化するものの, マルチパス数が2の時に2ブランチアンテナダイバーシチ, 2フィンガ/アンテナRake受信を用いることにより所要E_b/N_0=約8dBで平均BER=10^<-6>以下を実現できることを示した.