著者
宜野座 到 渕上 竜也 照屋 孝二 垣花 学 須加原 一博
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.465-470, 2010 (Released:2010-09-15)
参考文献数
13

患者は32歳の女性.アフリカから帰国後,発熱・嘔吐・下痢を発症した.輸入感染症を疑い,血液塗沫検査で赤血球内に2つのクロマチン顆粒をもつ輪状体が複数存在し,熱帯熱マラリアと診断した.赤血球感染率7%で重症マラリアとも診断した.集中治療室で,全身管理およびキニーネ静注による治療を行った.播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)も合併し,血小板輸血とアンチトロンビン製剤投与を行った.その後,マラリア感染およびDICは改善した.抗マラリア薬の適正な使用と,DICに対する早期治療が奏効したと考えられた.
著者
宜野座 到 林 美鈴 垣花 学
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.539-543, 2021

<p>ロボット麻酔システムDogenは,脳波モニタと筋弛緩モニタの情報からプロポフォールとレミフェンタニル,ロクロニウムを自動投与する麻酔維持システムである.今回の臨床治験でロボット麻酔システムの有効性と安全性を検証した.当院では6症例を担当しおおむね安定した麻酔管理を行うことができた.その中で,エフェドリンの中枢神経に対する間接作用がBIS値に影響しロボット麻酔システムが必要以上に鎮痛薬を増量させた可能性のある症例を経験した.ロボット麻酔システムはヒューマンエラーのリスク軽減や麻酔科医の生産性向上などに寄与する可能性がある一方で,使用に際しては十分な麻酔科学的知識が不可欠であると考えられた.</p>
著者
宜野座 到 渡邉 洋平 和泉 俊輔 野口 信弘 照屋 孝二 垣花 学
出版者
一般社団法人 日本心臓血管麻酔学会
雑誌
Cardiovascular Anesthesia (ISSN:13429132)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.79-83, 2020

<p> 38歳の女性,冠動脈3枝病変の不安定狭心症に対して人工心肺下冠動脈バイパス術(On-pump coronary artery bypass, ONCAB)が予定された。麻酔導入後,声門下狭窄に伴う挿管困難が判明した。適切な気道確保を行わなければ,周術期の呼吸器合併症のリスクが高いと判断し,一旦手術を延期しアプローチ法を検討した。後日,上気管切開術と下部胸骨部分正中切開による一期的ONCABを施行し良好な術後経過を得た。</p>