著者
一條 彰子 奥村 高明 岡田 京子 寺島 洋子 藤田 千織 上野 行一 藤吉 祐子 室屋 泰三 今井 陽子 細谷 美宇
出版者
独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

国内外の主要美術館で行われている鑑賞教育のスクールプログラムについて調査し、米国と豪州から教育責任者を招聘してシンポジウムやワークショップを4回開催、海外の先進的事例を日本に紹介した。また、国立美術館と博物館の所蔵作品49点から、小・中学生の発達段階にあわせて作品を選べるウェブプログラム「鑑賞教育キーワードmap」を開設して、学習指導要領に準じた鑑賞授業をどこでも行うことのできる環境を整えた。これらの成果は、美術科教育学会等で発表した。
著者
松田 宗 田中 法博 市川 拓磨 望月 宏祐 室屋 泰三 北村 仁美
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2014-CG-155, no.1, pp.1-7, 2014-06-21

分光的な光反射モデルに基づいた工芸作品の CG 再現手法を提案する.本研究では東京国立近代美術館に所蔵されている 「十二の鷹」 を対象とした.この工芸作品は明治期に鈴木長吉によって制作された金工作品である.最初に 「十二の鷹」 の一つの頭部をレーザレンジファインダで形状計測する.このとき欠損部分は複数のレンジ画像から合成して補完する.2 番目に金工作品の各材質をレンダリングするために分光的な光反射モデルを構築する.このモデルは金属,合金,不均質誘電体の反射を記述することができる.本稿では,合金として朧銀の反射特性をこのモデルで記述した.3 番目に RGB カメラ出力から分光反射率を推定するアルゴリズムを提案する.そして,工芸作品の材質はこの分光反射率に基づいて判別される.最後に推定した材質の情報で工芸作品の CG を生成した.
著者
一條 彰子 寺島 洋子 室屋 泰三 東良 雅人 奥村 高明
出版者
独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、国内外で行われている最新の美術鑑賞教育の理論と方法を整理したうえで、国内各地の美術館の所蔵作品を用いて、探求的な鑑賞プログラムを開発することである。研究初年度となる平成28年度は、国外(オランダ)美術館の先進的な取り組みを視察し、学校教育との関わりついて調査することができた。具体的には次のとおり。国外調査:オランダの主要な5つの美術館(アムステルダム市立美術館、ゴッホ美術館、アムステルダム国立美術館、ユトレヒト中央博物館、マウリッツハイス美術館)を訪問し、教育担当学芸員から次の点について説明を受け、ギャラリートークを視察した。1.鑑賞教育の理論と教授法、プログラムの種類、2.所蔵作品の特徴をどのように活用しているか、3.教育スタンダードをどのように反映させているか、4.学校連携のしくみや教員研修について、5.教育部の組織とスタッフ、6.課題と目標。さらにオランダで近年注目されているギャラリートーク理論「I ASK」について、発行元であるユダヤ歴史博物館よりハンドブックを入手し、オランダ語から翻訳を行った。これらのことから、オランダの美術館ではそれぞれのコレクションに明快に関連付けられた教育ミッションに基づき、ギャラリーでの鑑賞授業を、オンライン教材を用いた学校での事前学習や、美術館アトリエでの事後制作と組み合わせて展開していることが明らかになった。年度後半には、これらの調査成果を分析し、2年目以降に制作する鑑賞教材にどのように活かせるかを検討した。