著者
木野 民奈 丸山 康世 中川 沙綾子 山本 賢史 中島 文香 小河原 由貴 平吹 知雄 宮城 悦子
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.309-314, 2021 (Released:2021-09-06)
参考文献数
19

当院で分娩した妊産婦の風疹抗体保有率と産後の風疹ワクチン接種状況について,後方視的研究を行ったため報告する.2014年1月から2017年12月までに生産児を分娩した妊産婦3,322名を対象とした.妊娠初期の血液検査で風疹抗体価HI ≦ 16倍を低抗体価とし,経産回数や不妊治療の有無,年齢別に,低抗体価の割合と産褥入院中の風疹ワクチン接種の有無を検討した.低抗体価の妊産婦の割合は31.5%,その中で風疹ワクチン接種率は43.6%であった.35歳未満の妊産婦に比べ,35歳以上の妊産婦は抗体保有率が高く,年齢と共に上昇した.また,初産婦は経産婦に比べワクチン接種率が高かった.さらに,不妊治療後の妊産婦でも低抗体価の妊産婦が一定数存在した.風疹・先天性風疹症候群予防のための妊産婦における風疹ワクチン接種率は依然として低く,官民一体となった施策が必要である.
著者
宮城 悦子 沼崎 令子 中西 透 片岡 史夫 猿木 信裕 井畑 穰 伊藤 則雄 吉田 憲生 新原 温子 村松 孝彦 今泉 明 山本 浩史 高須 万里子 光島 徹 杤久保 修 山門 實 青木 大輔 平原 史樹
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.749-755, 2012 (Released:2012-07-13)
参考文献数
17

目的:血漿中アミノ酸濃度はがんを含む各種疾患により変化する.血漿中アミノ酸プロファイルから健康状態や疾病の可能性を把握する「アミノインデックス技術」は複数がんのスクリーニング法として臨床実用化されている.本研究は多施設共同試験により3種の婦人科がん(子宮頸がん,子宮体がん,卵巣がん)の判別を行う指標式を「アミノインデックス技術」を用いて導出し,その有用性を検討することを目的とした.方法:複数施設で子宮頸がん患者208例,子宮体がん患者186例,卵巣がん患者102例,婦人科良性疾患患者305例,健康人1,631例を対象として採血し,血漿中アミノ酸濃度をLC-MSにより測定した.結果:3種の婦人科がん患者の血漿中アミノ酸濃度変化は共通性が高く,婦人科がんのいずれかに罹患している可能性を判別する一つの指標式を「アミノインデックス技術」を用いて導出し,その判別性能評価を行った.導出された指標式の特異度95%での感度は子宮頸がん52%,子宮体がん58%,卵巣がん77%であり,いずれもⅠ期症例から高い感度を示した.また,子宮頸がんでは腺癌も高い感度を示す,子宮体がんではCA125より有意に感度が高い,卵巣がんではCA125と同程度の感度を示すなどの特徴を有していた.結論:「アミノインデックス技術」により導出された,3種の婦人科がんのいずれかに罹患している可能性を評価する一つの指標式は,3種の婦人科がんの簡便な血液検査のスクリーニング法として有用であることが示唆された.