著者
宮寺 良光
出版者
岩手県立大学社会福祉学部
雑誌
岩手県立大学社会福祉学部紀要 = Bulletin of the Faculty of Social Welfare, Iwate Prefectural University (ISSN:13448528)
巻号頁・発行日
vol.18, no.27, pp.103-111, 2016-03

本稿の目的は、貧困問題の地域的特徴を分析し、生活困窮者支援のあり方について検討することにある。 貧困基準は今日、相対的貧困という観点から捉えることが主流である。わが国でもこの状態に置かれる人々が増加し、付随して社会的排除や潜在能力の欠如という問題に直面している。これらの貧困問題を地域別に分析し、地域課題を考察する。 The purposes of this paper are to analyze the regional structure of poverty and to consider the method of support to needy persons. It is the mainstream view to consider poverty from the perspective of relative poverty. In Japan, the people who are also in a state of relative poverty keep increasing, and they're faced with the problems of "social exclusion" and a lack of "capabilities". The targets are to analyze regional structures of these problems of the poor and consider regional Issues.
著者
宮寺 良光
出版者
中央大学経済研究所
雑誌
中央大学経済研究所年報 (ISSN:02859718)
巻号頁・発行日
no.49, pp.175-202, 2017

近年の生活保護受給者増加の背景には,高齢者の生活困窮化が影響している。世帯類型別にみると「高齢者世帯」が生活保護受給世帯全体の半数程度にまで増加しており,このことが生活保護費の増加を懸念する材料になっている。しかし,このような問題の背景には,産業構造と社会保険制度の階層的構造に象徴される社会保障制度の構造的な問題に加え,社会保障・社会福祉の「構造改革」による費用負担構造の変化が新たな高齢者の生活困窮化要因につながっていることが疑われる。 本稿では,高齢者(65歳以上)に関連する統計データのうち,都道府県別に判別できるものを収集し,このデータを元に高齢者の生活保護受給要因について時系列に分析を試みたところ,かつては収入面の問題が主要な生活困窮化の要因であったが,近年では,支出面の問題が高齢者の生活困窮化を促している可能性がうかがえた。また,これらの要因を地域別に分析を試みたところ,都市部と地方部とでは異なる特徴がみられ,目前の課題として地域単位で取り組むにあたっては,地域の特徴を踏まえた課題克服のためのアプローチが必要であることがみいだされた。
著者
宮寺 良光
雑誌
経済研究所年報 (ISSN:02859718)
巻号頁・発行日
no.49, pp.175-202, 2017-10-10

近年の生活保護受給者増加の背景には,高齢者の生活困窮化が影響している。世帯類型別にみると「高齢者世帯」が生活保護受給世帯全体の半数程度にまで増加しており,このことが生活保護費の増加を懸念する材料になっている。しかし,このような問題の背景には,産業構造と社会保険制度の階層的構造に象徴される社会保障制度の構造的な問題に加え,社会保障・社会福祉の「構造改革」による費用負担構造の変化が新たな高齢者の生活困窮化要因につながっていることが疑われる。 本稿では,高齢者(65歳以上)に関連する統計データのうち,都道府県別に判別できるものを収集し,このデータを元に高齢者の生活保護受給要因について時系列に分析を試みたところ,かつては収入面の問題が主要な生活困窮化の要因であったが,近年では,支出面の問題が高齢者の生活困窮化を促している可能性がうかがえた。また,これらの要因を地域別に分析を試みたところ,都市部と地方部とでは異なる特徴がみられ,目前の課題として地域単位で取り組むにあたっては,地域の特徴を踏まえた課題克服のためのアプローチが必要であることがみいだされた。