- 著者
 
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             宮尾 秀樹
             
             一杉 安秀
             
             深井 清子
             
             小野 章
             
             川添 太郎
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - 一般社団法人 国立医療学会
 
          
          
          - 雑誌
 
          - 医療 (ISSN:00211699)
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.36, no.6, pp.566-569, 1982-06-20 (Released:2011-10-19)
 
          
          
          - 参考文献数
 
          - 12
 
          
          
        
        
        
        輸血に伴う低カルシウム血症はACD血中のクエン酸が, 患者血中のイオン化カルシウムと結合することによりおこる. 今回, 我々は胃静脈瘤破裂の患者が, 急速輸血にも, 昇圧剤にも, ステロイド剤にも反応しない重篤な循環虚脱に陥り, カルシウム剤投与により, 急激な循環動態の改善及び心電図上, 心室性期外収縮の消失, ST成分の改善, Q oTc時間の改善をみた. 一般には, 輸血によるイオン化カルシウムの低下は一時的で, 輸血終了後, 次第に上昇してくるといわれている. その理由として, 血中に入つたクエン酸の細胞外液中への拡散, 肝臓によるクエン酸の代謝, 腎臓によるクエン酸の排泄などがあげられている. しかし肝硬変の患者では, クエン酸代謝が障害されているため, 大量輸血時には, 積極的にカルシウム剤を投与すべきであると考える.