著者
西原 紘子 小坂 真子 原口 靖比古 田中 基 照井 克生 宮尾 秀樹
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.106-109, 2013 (Released:2013-03-12)
参考文献数
8
被引用文献数
2

22歳女性,妊娠27週.切迫早産の診断で頸管縫縮術を他院で施行.脊髄くも膜下麻酔に21G Quincke針を使用した.術直後から頭痛・嘔気が持続し,術後4日で初回歩行したところ突然意識消失した.母体搬送後のCTで急性硬膜下血腫と診断され,緊急開頭血腫除去術・外減圧術を施行した.術後経過は良好で後遺症もなく,妊娠32週5日に自然分娩となった.硬膜穿刺後の急性硬膜下血腫は,まれではあるが重篤な合併症である.立位により低髄圧症候群が惹起され,過度な牽引で架橋静脈が断裂し発症したと考えられ,太い脊麻針が誘因であった可能性が高い.妊娠中の開頭手術の麻酔管理についての考察も加えて報告する.
著者
宮尾 秀樹
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.219-226, 2018-10-15 (Released:2018-12-01)
参考文献数
17
被引用文献数
1 1
著者
宮尾 秀樹 一杉 安秀 深井 清子 小野 章 川添 太郎
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.566-569, 1982-06-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
12

輸血に伴う低カルシウム血症はACD血中のクエン酸が, 患者血中のイオン化カルシウムと結合することによりおこる. 今回, 我々は胃静脈瘤破裂の患者が, 急速輸血にも, 昇圧剤にも, ステロイド剤にも反応しない重篤な循環虚脱に陥り, カルシウム剤投与により, 急激な循環動態の改善及び心電図上, 心室性期外収縮の消失, ST成分の改善, Q oTc時間の改善をみた. 一般には, 輸血によるイオン化カルシウムの低下は一時的で, 輸血終了後, 次第に上昇してくるといわれている. その理由として, 血中に入つたクエン酸の細胞外液中への拡散, 肝臓によるクエン酸の代謝, 腎臓によるクエン酸の排泄などがあげられている. しかし肝硬変の患者では, クエン酸代謝が障害されているため, 大量輸血時には, 積極的にカルシウム剤を投与すべきであると考える.
著者
宮尾 秀樹
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.30, no.7, pp.917-924, 2010 (Released:2011-02-07)
参考文献数
14

麻酔中の輸液は血管内輸液,間質への輸液,細胞内への輸液の3本立てで考える.細胞外液製剤はブドウ糖以外の糖を浸透圧調整のため含んでいる製剤が容量効果と利尿効果をもっているので使いやすい.ヒドロキシエチルスターチ(HES)は血管内輸液として適切である.膠質浸透圧は測定膜,内皮細胞臓器特異性,病態を考慮する必要がある.HESには抗炎症作用があり,末梢循環を維持することができる.6% HES70は腎や止血凝固への影響は最も少ない.輸液のモニターとして尿量が臨床的である.圧モニターとしてのCVPより経食道心エコー下の容量負荷を重視した考え方がある.混合静脈血酸素飽和度や乳酸値は輸液を含めた周術期管理の総合的なモニターとして重要である.