著者
宮崎 正浩
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学マネジメント学部紀要 = JOURNAL OF ATOMI UNIVERSITY FACULTY OF MANAGEMENT (ISSN:13481118)
巻号頁・発行日
no.34, pp.5-23, 2022-08

コンゴ民主共和国東部など紛争地域においては、企業は、深刻な人権侵害など、重大な悪影響に手を貸すことになったり、巻き込まれたりする危険にも晒されている。OECDは2011年に「紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス」を制定し、企業が紛争地域における人権侵害や紛争に手を貸してしまうことを回避するための枠組みを提示した。これを受け、米国及びEUでは、企業が使用する紛争鉱物が紛争地域において軍事組織に対し資金又は利益を与えていないかをデュー・ディリジェンスを用いて調査し、その結果を公表することを義務化する法規制が導入された。日本においては、法的措置は導入されていないが、企業の社会的責任(CSR)として紛争鉱物に関する調査が行われている。 本研究は、OECDガイダンスを基にした米国とEUの法規制が導入されることによって、コンゴ東部において紛争鉱物に係る人権侵害などにどのような影響を与えたのか、今後日本としての紛争鉱物に対しどのように取り組むべきかを明らかにすることを目的とする。 本研究では、紛争鉱物に関する米国とEU 規制の概要、これらに関する先行研究の概要をレビューした後、日本企業の紛争鉱物に対する取り組みの調査を行い、その成果を基に考察した。 日本では、紛争鉱物に関する法規制はなく、企業の社会的責任として自主的な取り組みがされているため、日本企業は欧米企業に比較して取り組みが遅れている可能性がある。このため、日本企業の紛争鉱物に関する取り組みを欧米企業と比較して客観的に評価するとともに、日本において紛争鉱物に関するデュー・ディリジェンスを法的義務化することを含め、今後の対策についての検討が強く望まれる、と結論付けた。
著者
加來 秀俊 宮崎 紀子 宮崎 正浩
出版者
活水女子大学
雑誌
活水論文集. 文学部編 (ISSN:21882983)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.123-141, 2016-03-31

The principal aim of the present study was to perform a quantitative analysis of Japanese Edinburgh Postpartum Depression Scale (EPDS) results from a private obstetrics and gynecology clinic in Nagasaki. We investigated how the response of "feeling somehow not right" on the EPDS from early ostpartum women in rest can be interpreted to lead to support. This study also discussed the possible effectiveness of the EPDS and clinical psychology support methods during the early postpartum period. The self-response questionnaire of the EPDS was conducted targeting postpartum women who had full-term pregnancy and normal delivery and who were either 1 month postpartum or 4 to 5 days postpartum in the hospital. Responses from 152 people (complete response rate: 94%) were received from both periods and targeted for analysis. Rather than focusing on postpartum depression in the EPDS evaluation method (Okano, 2005), the present study lowered the classification points from 9 to 7 as one approach so that postpartum women who feel "somehow not right," with symptoms such as mild depression, mild anxiety, mild selfcondemnation, mild functional incompetence in everyday life, or mild insomnia, are not overlooked or neglected. Our results showed no statistically significant difference in either period among both primiparae and multiparae, and it can be presumed that both primiparae and multiparae similarly feel "somehow not right," including feelings of anxiety and self-condemnation. Furthermore, because it was confirmed that both first-time pregnant women and multiparae feel "somehow not right," mainly harboring feelings of functional incompetence in various areas of life, and are unable to resolve these feelings, it will be necessary in the future to enhance the support system, introducing social resources, such as local housework and childcare help services, while also introducing psychological support that can be continuously utilized by postpartum women.
著者
宮崎正浩・籾井まり 籾井 まり
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学マネジメント学部紀要 (ISSN:13481118)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.147-163, 2009-09-15

人類の存続の基盤である生物多様性の損失が加速化している.このため,生物多様性条約(1992年)が採択されるなど,世界的に政府や市民社会の主導によりその保全への取り組みが行われているが,十分な効果は上げられていない.このため,最近では,生物多様性に依存するとともに大きな影響も与えている企業がその社会的責任(CSR)として自主的に保全活動を行うことが期待されている. 本研究の目的は,環境の持続可能性の視点から,CSRとしての企業の活動が生物多様性の保全にどの程度貢献するかについて分析し,それをより有効なものとするためのNGOや政府の役割について明らかすることである. 本研究の結果,環境の持続可能性の視点からは,生物種の絶滅リスクを高めることを防止する必要があるが,これを達成するためには,現状のような企業のCSRとしての自主的取り組みでは不十分であり,企業が生物多様性に与えている影響を定量的に評価し,その公表を法的に義務化するとともに,生物多様性のネットでの損失をゼロすること(ノーネットロス)を目標とした政府の規制や,生物多様性へ影響を与える原材料の国際取引において生物多様性に配慮し持続的な管理がされた原材料のみを適法とする法的拘束力のある国際条約の検討が必要であると結論付けた.