著者
宮川 勇生 山尾 裕道 谷山 圭一 河野 恭悟 春山 康久 森 憲正
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.1089-1093, 1987

単純子宮全摘出術を受けた29症例を対象にCefuzonam (CZON) 1gをOne shot静脈内へ投与した場合の肘静脈, 子宮動脈血中濃度及び卵巣, 卵管, 子宮内膜, 筋層, 子宮頸部, 膣部の各組織内濃度について検討した。<BR>肘静脈及び子宮動脈の血中薬物初濃度は, それぞれ148-1μg/ml, 155.4μg/mlで, 高い血中濃度が得られ, 半減期はそれぞれ1.07時間, 1.02時間であつた。又, CZON投与後4時間10分までは, <I>Escherichia coli</I>をはじめとする多くの細菌に対するMICを上回る濃度であつた。更に, 各骨盤内臓器への薬剤の移行も良好で, 卵管及び子宮内膜の組織内濃度と肘静脈血中濃度の比率は, それぞれ0.74, 0.44で卵管への薬剤の移行が良好であつた。<BR>以上の成績及びCZONの強い抗菌力, 広範囲の抗菌スペクトラム, 更にその安全性から, 新しいCephem系抗生物質として婦人科領域の感染症に対して広い臨床応用が期待される
著者
中村 幸雄 宮川 勇生 石丸 忠之 加藤 紘 木下 勝之 黒島 淳子 小辻 文和 玉舎 輝彦 中村 幸雄 楢原 久司 野田 洋一
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.755-761, 1999-08-01
参考文献数
10
被引用文献数
18

18歳以下の続発無月経症例を対象としてアンケート調査を行い, 依頼した90施設のうち53施設(回収率59%)より288例(有効症例280例)の回答を得た. 無月経に至った誘因としては, 減食による体重減少が44%を占めた. 第1度無月経の誘因は, 不明が最も多く, 減食がこれに次いだ. 第2度無月経の誘因は, 減食が最も多く, 61%を占めた. 減食が誘因の第2度無月経では同誘因の第1度無月経に比較して初診時までの体重減少が有意に著しかった(p<0.02). 第2度無月経では第1度無月経に比較してBMIが有意に低かった(p<0.001). 第2度無月経のBMIのcut off値は18.1であった. 第2度無月経では第1度無月経に比較して有意に無月経の期間が長かった(p<0.001). 第2度無月経では第1度無月経に比較して有意にE_2が低値であった(p<0.0001). 第2度無月経のE_2のcut off値は28.2pg/mlであった. 治療法は, 主としてクロミフェン又はカウフマン療法が行われ, hMG-hCG療法はほとんど行われていなかった. 第2度無月経では約9割にカウフマン療法が施行されていた. 治療により, 基礎体温において第1度無月経の61%に二相性が確認されたが, 第2度無月経では二相性が確認されたのは33%に留まった. 思春期の続発無月経は, その後の妊孕性や骨粗鬆症の発生にも重大な影響を与えることから, 今後, prospectiveな検討をもとにした有効な治療法の確立が必要であるとともに, 減食を中心とした誘因がいかにして除去できるかが重要であると考えられた.
著者
松木 俊二 菅原 英世 坂本 真佐哉 田中 雄一郎 楢原 久司 宮川 勇生 中野 重行
出版者
一般社団法人 日本女性心身医学会
雑誌
女性心身医学
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.62-68, 1999

不妊症経過中に発症したうつ病2症例の睡眠障害に対して,腕時計型活動性モニタリング(ACTIWATCH^<[○!R]>)と睡眠チェックリスト,睡眠日記を併用して評価を行った.症例1は27歳主婦.2度の卵管妊娠(両側卵管摘出)の既往あり.2度目の退院後にパニック障害とうつ病を発症した.ACTIWATCH^<[○!R]>は睡眠薬離脱期に2週間装着した.症例2は35歳主婦.両側卵管閉塞による続発性不妊症(体外受精-胚移植による1児あり).ACTIWATCH^<[○!R]>は睡眠薬導入期に4週間装着した.睡眠-覚醒の客観的評価(ACTIWATCH^<[○!R]>)と主観的評価(チェックリスト,日記)は必ずしも符合しなかった.即ち,患者自身が眠っていると感じた時間帯にACTIWATCH^<[○!R]>で評価した身体活動量は増加し,患者自身が眠れないと感じた時間帯にその活動量は低下していた.睡眠障害患者の睡眠の評価には自覚症状のみでなくACTIWATCH^<[○!R]>や睡眠チェックリスト,睡眠日記を用いた客観的指標の有用な場合があることが示唆された.