著者
宮廻 正明
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.60, no.12, pp.845-854, 2018-03-01 (Released:2018-03-01)
参考文献数
3
被引用文献数
2

人類の共通財産である文化財は,保存と公開のバランスや紛争による破壊,流出の問題に直面している。文化財は唯一無二の存在であり,その真正性は本来,複製が不可能であるが,東京藝術大学ではアナログ技術とデジタル技術を混在させることで,オリジナルの質感,形状,素材,色彩,文化的背景までをも再現する「クローン文化財」の技術を開発し,特許権を取得した。本稿ではクローン文化財の開発目的と意義,今後の展望について,(1)日本文化の特質,(2)芸術のDNA,(3)クローン文化財の制作手法と展示例,(4)平和外交への活用,という4点から述べる。
著者
大河原 典子 宮廻 正明 高林 弘実
出版者
独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

明治から昭和にかけて活躍した日本画家上村松園の技法と表現について、作品の科学的な分析と下絵および自叙伝の調査からその特徴を明らかにすることを目的とした。本画2作品を蛍光X線回折、赤外線撮影、顕微鏡撮影を通じて分析したところ、日本画で古くからある顔料と、明治以降新しく使われ出した顔料がともに検出された。また文献資料にある記述と異なり、絹の表からのみ彩色されていることが解った。表現においては同一画面のなかでも人体とそれ以外で技法に意図的な差異があった。作家の原点である縮図帖の分析では、色とモチーフの分類および電子書籍化を実施した。