著者
宮永 和夫 川原 伸夫 高橋 滋 尾内 武志 森 弘文 横田 正夫
出版者
医学書院
雑誌
精神医学 (ISSN:04881281)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.43-49, 1985-01-15

抄録 CTスキャンを施行した群馬大学医学部附属病院受診者を調査し,透明中隔腔及びヴェルガ腔を有する症例を抽出し検討した結果,以下のような知見を得た。 (1)全科9,408例(男5,104例,女4,304例)中,男29例,女16例の計45例(0.47%)にこれらの腔を認めた。なお男性に女性より多く認められた。 (2)45症例は,透明中隔腔のみ35例(78%),透明中隔腔及びヴェルガ腔9例(20%),ヴェルガ腔のみ1例(2%)に分けられた。 (3)45例には,疾患別にみると,てんかん,頭痛,発育障害,精神分裂性障害などが多く認められた。 (4)内因性精神病,すなわち精神分裂性障害と感情障害においては約5%の頻度でこれらの腔が認められた。 (5)これらの腔と精神分裂病症状の関係は,1)症状形成に関与する,あるいは 2)単なる合併であるというつの可能性が指摘された。
著者
駒井 由起子 比留間 ちづ子 宮永 和夫
出版者
日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.163-173, 2005-04-15

要旨:若年認知症は興奮,暴力,俳徊を主な精神症状とし,発症時のライフサイクルは社会的役割の大きい時期であり老年期認知症とは様相が異なる.社会的認知は低く利用可能なサービスは少ないと同時に,患者は現状のサービス適応が困難である.そのため家族の介護負担は計り知れず,患者を取り巻く状況が複雑に影響し合う特異的な障害構造を呈する.若年認知症家族会「彩星の会」はサービスを補う社会資源として存在し,家族とサポーターが協働で抱える課題に取組んでいる.若年認知症の現状,経過,障害構造についてまとめ,家族会の社会的意義および作業療法士の役割について活動を通して紹介し,専門的支援の必要性と進捗状況,課題について整理する.