著者
神戸 悠輝 宮田 篤郎 栗原 崇
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

うつ病患者の3割は既存の抗うつ薬に耐性を示す難治性うつ病である事から,異なる作用点を持つ薬剤の創出は急務である.ミトコンドリア変性タンパク質ストレスレスポンス (UPRmt) はミトコンドリア内におけるタンパク質の品質管理システムであり,アルツハイマー病やパーキンソン病への関与が報告されているが,うつ病にUPRmtが関与するか否かについてこれまで検討されていなかった.申請者は,うつ病モデルマウスの脳においてUPRmtマーカータンパク質の発現が増強するとともに,UPRmtには抗うつ,抗不安作用がある可能性を明らかにした.すなわち,UPRmtは有用なうつ病治療薬ターゲットとなりうる可能性がある.
著者
有田 和徳 時村 洋 宮田 篤郎 栗原 崇 貞村 祐子 鮫島 芳宗
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

脳卒中後疼痛モデルマウスにおける安定した機械的アロディニア反応および情動行動異常の検出法を確立し、機械的アロディニア反応、自発運動量増加はミクログリア活性化阻害薬(ミノサイクリン、p38MAPキナーゼ阻害薬)が有意な抑制効果を示した。また、N型Caチャネルは、脳卒中後急性期の疼痛行動に関与する可能性が示唆された。一方、脳卒中後少なくとも亜急性期までは、顕著な抑うつ様行動変化は観察されず、慢性期におけるより詳細な検討が今後必要である。
著者
藤田 圭一 宮田 篤 大野 睦雄 三反畑 勇 松本 江基
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学研究発表会 発表講演集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.611-612, 2003

標準貫入試験(SPT)で求めたN値は、現行の設計に広く利用されているが、精度が悪いため他の方法に移行したい希望が多い。計測した打撃効率で補正すると高精度のN値が求められるが、経験式を利用する限り構造物の経済性を追究することは難しい。実験土槽でのSPT時に打撃効率を計測し、補正して求められたサンプラーの動的貫入抵抗Rd100と、SPT直後の静的な押込み試験によるサンプラーの静的貫入抵抗(第1限界抵抗力Py、第2限界抵抗力Pu、最大抵抗力Pmax)との間に相関関係が認められた。SPTの結果をN値という無次元の数値でなく、Rd100(kN)という単位で表示することにより、コーン貫入試験に似たような形で設計に利用することが可能になる。
著者
宮田 篤人 岩橋 直人 槫松 明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.520, pp.87-92, 2001-12-13

本稿では, 人との自然な言語コミュニケーションの基盤となる相互信念を, ロボットが発話理解過程を通して学習する方法について述べる.本方法では, 相互信念は, 複数の信念と, 各信念が人と共有されている確信の強さを示す重み付けによって, 表現される.学習される相互信念は, 音韻, 語彙, 文法, 行動コンテキストの影響, およびその他の非言語的な信念からなる.実験により, はじめは簡単な言語知識しか持たないアームロボットが人と言語と行動を介したインタラクションを通して相互信念を学習し, 断片的であいまいな発話を状況に応じた相互信念を用いて適切に理解して行動できるようになることを示す.本方法は, 人とロボットのインタラクションにおいて, 言語処理と身体性を反映した認知処理の融合を実現しており, より自然なコミュニケーションの実現のための新しいフレームワークを提供するものと考えている.
著者
宮田 篤郎 井上 和彦
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

多機能神経ペプチドPituitary adenylate cyclase-activating polypeptide(PACAP)は、中枢神経系以外に、精巣に比較的高濃度に存在しており、その特異的レセプターと共に発現が精子形成のステージにより周期的に変化する事から、生殖細胞の増殖、分化あるいは生存への関与が示唆されている。我々は、ヒト精巣におけるPACAP遺伝子発現調節機構を解明する目的で、ヒトPACAP遺伝子の精巣特異的プロモーター領域の同定と解析を行った。ヒトゲノムデータベースにおいて、すでに報告されたラット精巣特異的エクソンに対する相同配列を探索したところ、ヒトPACAP遺伝子の翻訳開始点から10.9kb上流に精巣特異的エクソン(hTE)を同定した。RT-PCRによりヒト精巣において、hTEを含むmRNAの発現を確認し、hTE上流領域の約1kbをクローニングした。この領域の様々な長さの欠失変異体を作成し、そのプロモーター活性を、非生殖細胞株(swiss-3T3とPc12)と生殖細胞株(F9とCHo)において、ルシフェラーゼアッセイにより比較評価した。その結果、約80bpの領域において、顕著な転写活性が精巣由来細胞であるF9においては観察されたが、非生殖系細胞株のSwiss-3T3とPC12では見られなかった。この領域のプローブとF9及びマウス初代精巣細胞の核抽出蛋白を用いてゲルシフトアッセイを行ったところ、複数の結台蛋白の存在が確認された。この領域にはC/EBPとAML-1a配列が存在するが、これら単独ではプロモーター活性を示すという報告がないことから、PACAP遺伝子の精巣特異的発現調節に未知の転写因子の関与が示唆された。