著者
宮野 秀市
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.57-63, 2011-05-31 (Released:2019-04-06)

バーチャルリアリティ(VR)エクスポージャーとは、人工的に構築された仮想環境の中で、恐怖反応が低減するまで恐怖刺激を呈示するエクスポージャーであり、通常は、頭部搭載型ディスプレイにコンピュータグラフィックスで制作された恐怖刺激が呈示される。VRエクスポージャーは特定の恐怖症を中心とした不安障害の治療に有効であることが明らかにされている。しかしながら、コンピュータグラフィックスを用いたVRエクスポージャーには仮想環境の構築が技術的に困難でコストが高いという問題があった。そこで、本研究ではビデオカメラで撮影した全周囲パノラマ動画を用いて、恐怖刺激を安価で簡便に制作できるVRエクスポージャーシステムを開発した。また、高所恐怖の傾向が認められる1例にたいして8セッションのアナログ研究を実施し、全周囲パノラマ動画VRエクスポージャーが主観的な恐怖反応を惹起し、その後、恐怖反応を低減させることを示した。
著者
宮野 秀市
出版者
日本デジタルゲーム学会
雑誌
デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.35-43, 2015 (Released:2019-10-01)

本研究の目的は、抑うつ予防を目的とした自助ツールとしてのコンピュータロールプレイングゲームに対する大学生の評価を明らかにすることである。認知行動療法の理論にもとづいて作成された、ワークブック、ウェブサイト、ボードゲーム、コンピュータロールプレイングゲームの四つの自助ツールについての評価を比較検討した。その結果、コンピュータロールプレイングゲームは、他の自助ツールよりも大学生に好まれることがわかった。さらに、各自助ツールに対する自由記述の評価文のテキストマイニングによって、コンピュータロールプレイングゲームは「楽しい」、「面白い」、「やってみたい」などの肯定的な評価をされることがわかった。本研究の結果から、コンピュータロールプレイングゲームの形式で作成された抑うつ予防を目的とした自助ツールは、ユーザーに利用されやすいことが示唆された。
著者
宮野 秀市 貝谷 久宣 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.97-106, 2000-09-30 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、簡易型VRエクスポージャーを雷恐怖症に適用し、その効果を継時的に評価することであった。市販されている頭部搭載型ディスプレイとボディソニック装置を利用して、従来のVRエクスポージャーと比べて安価で操作が簡便な簡易型VRエクスポージャーシステムを構築した。症例は43歳の女性で、これまで17年間、雷恐怖に苦しんできたが、19セッションの介入の結果、質問紙で測定された雷に対する恐怖反応は顕著に低減し、雷によって日常生活が阻害されることもなくなった。2か月後、7か月後のフォローアップにおいても治療効果は維持されていた。本研究により、簡易型VRエクスポージャーが雷恐怖の治療に有効であることが示された。また、仮想環境における臨場感に影響を及ぼす刺激呈示法や臨場感と治療効果の関係について考察した。
著者
宮 兆〓(吉ヘン吉) 大島 哲平 宮野 秀市 増田 信之 関根 正樹 伊藤 智義
出版者
ライフサポート学会
雑誌
ライフサポート (ISSN:13419455)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.194-200, 2012 (Released:2014-01-27)
参考文献数
18

We developed a prototype of simple virtual reality (VR) system as a support tool to overcome fear of heights. The system consists of one personal computer, one projector and a hemisphere dome screen with the diameter of 1 m. It is a dome-screen type VR system because it makes little burden both to a medical doctor (or a counselor) and to a client. The dome screen is a low-cost type made milky-white plastic. We adopted rear projection using only one projector and could get an image with an effective field of vision. We can use a picture or a movie took from a personal-type digital camera. As for the correction of image distortion, we made the software tool originally. Therefore, the running cost is also low and the operation is easy. As the result of evaluation experiment, we confirmed that the system made a feeling of devotion with little sense of incongruity. It seems to show the possibility that the simple VR system can be utilized as a medical service tool of the spread type.
著者
宮野 秀市
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.57-63, 2011-05-31

バーチャルリアリティ(VR)エクスポージャーとは、人工的に構築された仮想環境の中で、恐怖反応が低減するまで恐怖刺激を呈示するエクスポージャーであり、通常は、頭部搭載型ディスプレイにコンピュータグラフィックスで制作された恐怖刺激が呈示される。VRエクスポージャーは特定の恐怖症を中心とした不安障害の治療に有効であることが明らかにされている。しかしながら、コンピュータグラフィックスを用いたVRエクスポージャーには仮想環境の構築が技術的に困難でコストが高いという問題があった。そこで、本研究ではビデオカメラで撮影した全周囲パノラマ動画を用いて、恐怖刺激を安価で簡便に制作できるVRエクスポージャーシステムを開発した。また、高所恐怖の傾向が認められる1例にたいして8セッションのアナログ研究を実施し、全周囲パノラマ動画VRエクスポージャーが主観的な恐怖反応を惹起し、その後、恐怖反応を低減させることを示した。
著者
小澤 夏紀 富家 直明 宮野 秀市 小山 徹平 川上 祐佳里 坂野 雄二
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.45, no.7, pp.521-529, 2005-07-01 (Released:2017-08-01)
被引用文献数
1

痩身記事を含む女性誌への曝露と食行動異常の関係をモデル化することを目的とし,女子学生933名を対象として調査を行った.その結果,定期的に女性誌に曝露している学生はEAT-20のカットオフポイントを超える割合が女性誌を読まない学生の7倍もあることが示された.また,彼女らは女性誌からの影響を受けやすい被影響特性が高く,痩身理想の内面化が顕著という認知的特徴をもっていた.一方,女性誌に曝露していても被影響特性が低ければ摂食障害傾向への影響は小さかった.最後に,共分散構造分析により,被影響特性,痩身理想の内面化,自己像不満,やせ願望は循環的関係を有し,食行動異常に悪影響を及ぼすことが示された.これらのことから食行動異常の予防や治療にはメディア曝露のコントロールが必要ではないかと思われた.
著者
宮野 秀市
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2004-01

制度:新 ; 文部省報告番号:甲1839号 ; 学位の種類:博士(人間科学) ; 授与年月日:2004/1/21 ; 早大学位記番号:新3683