著者
竹内 純一 高橋 規一 實松 豊 川端 勉 川喜田 雅則 香田 徹
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

機械学習,情報理論,およびそれらの応用に関する諸課題について,記述長最小原理に基づく統一的視点のもとに研究を行った.特に,Markovモデルの幾何学的構造と確率的複雑度の関係,通信路容量と確率的複雑度の関係について考察し新たな知見を得た.また,アンサンブル学習等に関して考察し,効率的アルゴリズムや推定法を提案した.さらに,これら基礎的知見に基づき,ネットワークセキュリティにおけるインシデント検知,ポートフォリオ(分散投資戦略),超解像などについて,新たな学習手法を提案し,その有効性を示した.
著者
香田 徹 實松 豊 緒方 将人
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

次世代無線通信方式として注目を集めるOFDM(直交周波数分割多元)方式は,ドップラー効果による周波数のずれに対し脆弱な点を課題として抱えていた.研究代表者らは,サブキャリア間の直交性を必要としない擬似直交マルチキャリアCDMAを提案し,さらにこの結果を発展させたユーザ間の時間・周波数の同期誤差に強い耐性をもつGabor-Division(GD)-CDMAを提案した. GD-CDMAシステムは次の3つの特徴を兼ね備えている.(1)負のマルコフ符号を用いることでユーザ間干渉を独立同分布(i. i. d.)符号に比べ最大9/25まで削減可能(2)時間と周波数のオフセットを同時に推定可能な2次元同期捕捉が可能.(3)時間領域,周波数領域, 2種類のマルコフ符号を使って信号帯域を同時拡散する.符号のマルコフ性により平坦な周波数スペクトルが得られる.以上の結果から, GD-CDMAは, OFDM方式で問題であったドップラー周波数シフト対策が可能であることが示された.周波数の同期保持にはフィードバック構造のPhase Locked Loop(PLL)回路がもっぱら用いられるが,超広帯域通信での応用を見据え、研究代表者らはこれとは異なり、ニュートン法に基づく到来波から周波数と位相を直接同定する手法を提案した。
著者
西 哲生 緒方 将人 高橋 規一 NISHI Tetsuo 佐藤 秀則 實松 豊
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究課題では、解の個数に関する一つの結果を与えるとともに、トランジスタ回路を含むより一般の能動回路、すなわち、ニューラルネットワークやCNNのシステム方程式の安定性について検討し、特に安定性に関しては種々の安定条件を求めることが出来た。結果の概要は次の通りである。(以下で発表論文の番号は成果報告書の文献番号を示す)1.トランジスタ回路の解の個数に関しては、トランジスタの中の非線形抵抗特性である単調増加な指数関数及び線形項からなる2元(2変数)の非線形方程式に対して、解の上限がちょうど5個であることを証明している。この結果は、解の個数が高々2の次元数乗ではないかという予想が正しくないことを示したことになる。さらに一般の場合に関して、解の個数の上界を与えている(発表論文4,22)。2.トランジスタを含む能動RC回路に対して、浮遊素子により生じる分母多項式の高次項が負とならないための回路構造上の条件を与えた(発表論文1,12,21)。3.ニューラルネットワークのうち、1次元離散時間CNN(Cellular Neural Network)の安定性を定義し、このもとで、安定であるための必要十分条件を与えた(発表論文2,5,6,9,13,15,16,19)。4.微分方程式で与えられた2次元CNNが大域安定であるための必要十分条件を与えた(発表論文3,8,10,11,13,18,20,23)。